表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が『見』てるセカイ、君の生きるミライ  作者: 六錠鷹志
第一章 異世界転移 と 出会い
8/33

07 おふろ

本日2度目の投稿です.

 風呂は建物とは違い木が使われている部分が多い印象だった。

 バスタブにはお湯が溜められ、蛇口からお湯は足され続けている。

 シャワーはなく、代わりにいくつかの桶があった。大きさはそれぞれ異なっている。

 俺は取り敢えず、その中でも中くらいの大きさの桶を手に取る。大体、100均とかで売ってる手頃なサイズだ。

 お湯をすくって、風呂椅子に座らせたミーシャの背中からゆっくりとかける。


(うわ、まっくろ……)


 お湯にミーシャの泥が混じり真っ黒になってしまっていた。

 その作業を何回も、俺と交互に繰り替えす。

 すると、ミーシャの肌色が所々に見え、泥もほとんど流せたようだ。

 風呂にあるものを見ると、桶の(ほか)には手に収まるサイズの石鹸とボディタオルの代わりかスポンジが置いてあった。

 スポンジは柔らかく子どもに使っても大丈夫そうな感じだった。

 俺は石鹸を使ってスポンジを泡立てると優しくミーシャの腕から洗い始めた。


(全然食べてなかったんだな………それは置いておくとして、なんで山なのに。もっと山の幸的な、キノコは……置いておいて、木の実とかなかったのか(・・・・・・)な?)


 俺はすぐに真っ黒になったスポンジをお湯を汲んでおいた大きめの桶で洗い、石鹸をつけミーシャの汚れを落としていく。

 そして、ミーシャの髪の毛は手洗いで洗う。


(ブラとパンティー、髪の毛とかの毛という毛は手洗いが基本よってよく言われたからな、ミゾレに………)


 ミーシャの髪は彼女の腰のあたりまで伸びている。

 手に石鹸で泡を立て、髪を()くように洗い、お湯で流す。


(おお。これはこれは)


 ミーシャの髪の毛は薄いピンク……桜色だった。


「ミーシャの髪の毛は綺麗だな。綺麗な桜色をしてるし」


 ミーシャは俺の何気ない一言に反応する。


「ジンも、おなじこと、いった」


 ミーシャは俺の顔を見て続ける。


「サクラ………サクラって……みたこと、ない。でも、きれいな、はなって」


 ミーシャの言葉に俺はーー


「桜はきれいだぞー。………この世界にもあるのかは知らねえが、いつか見ような」


 --というと、ミーシャは嬉しそうに笑って頷いた。


「うん」


(………めっちゃかわゆうござんす)


 そして、俺はミーシャにさらに聞いてみようと考える。


(ここは少し踏み込んでみるか…………それにしても、ミーシャはとてもかわいかった。マジで。ガチで。白い肌はもう…美白ってこれなんだなって感じがした。目は黒っぽい色をしているが、ミーシャはバリバリの外国人顔ではないのでとても似合ってる。………ああ。そうだ踏み込んで聞くのだったな…「また踏み込まないのね、イリッ……タケル」なんて、言って欲しいけど、言われないように俺、ガンバル)


「ミーシャ………ジンってミーシャのお父さんか?」


 これは聞いておくべき質問で一番安全そうなものを俺は選んだ。

 何処に地雷があるか分からない内はあまり聞かないほうが良い。

 簡単なことを聞き出し、今後に役立てるために必要なことを聞こう。

 今の質問のように、確認だけ取る。それでも大きな違いだ。


(後は、ミーシャが自分から話してくれるのを待てばいいんだから)


 俺はいつの間にか、この子と一緒にいることを前提として考えている。


(いきなり辺鄙(へんぴ)なところに放り出されたような状況が似ている気がしたからか。同情心からか?)


 ーー(いや)


(そもそもミーシャが通訳してくれないとやっていける気がしないのに、何を俺は偉そうなことを考えているんだ。カンペキにバカじゃん)


 俺はミーシャが「うん」と(うなず)くのを見ながらそんなことを思っていた。

 そして、返事からさらに思考する。


(ジンに何かあったことは確実だな。こんなに可愛らしいミーシャを森にいきなり放り出す訳がない)


 それに、『桜』をジンは知っていて、ミーシャは知らない様子からジンはやはり日本人だと、俺は確信する。

 すると、ミーシャが日本語がわかることが説明がつく。


 俺は全身を洗い終えたミーシャを湯船に入れ、今度は自身を洗い始める。

 上半身を洗ってから、足を洗おうとするとーー


「あちゃー。これはマズそうだな」


ーーミーシャに噛まれた部分が黄色に変色し、膿が沸き始めていた。


 スポンジで洗って、それに菌とかが付くのは避けたいので、そこは手洗いをする。

 少しジーン、としみる程度で痛みは少ない。


(ここまで歩くこっちゃ歩けたし、問題なさそうだが、走るのは当分控えないとダメだな、こりゃ)


 ミーシャにはあまり心配はかけたくない俺は、怪しまれないように右足の(そこ)ばかり洗わないように、左足も素手で洗い始めた。

 ミーシャに目をやると、両手をお椀にしてお湯を掬って、また、湯船にサラーと流して遊んでいた。


(ほほえまー)


 ミーシャは年相応の好奇心? ってやつで遊んでいるのだろうか。


(………ん? ミーシャって何歳なんだろう)


 てっきり、見た目からして小学生低学年位かと思っていたが、ここは異世界だ。

 同じ世界でも外人で成長早い人いるし、勝手な思い込みは良くない。

 俺は、湯船に浮かばせた桶が継ぎ足される湯に流されるのを見て、遊びを切り替えたミーシャに聞いてみる。


「なあ。ミーシャって今いくつなんだ」


 ミーシャは頭に???(クエッションマーク)を浮かべたので、聞き方を変える。


「えっと、じゃあ。ミーシャは何歳なんだ。生まれてから何回誕生日が来た?」


 すると、ミーシャは人差し指をピンと伸ばし、元気よく言った。


「いっさい、なの。もうすぐ、にさい」


(はぁ?!)

「はぁ?!」


 思うと同時に声が出ていた。

 ミーシャはそんな俺の反応にびくっとしたので俺はゴメンと言いながら、優しくなでなで(さわさわ)する。


(ちょっ、成長早すぎだろ。……異世界人怖っ!)


 俺の空いた口を見て、ミーシャも同じようにホワーっと口を開けていた。


(かわいいな~)


 少年はデレデレになっていた。


次回は、一度異世界人(金髪君)目線の話です.

//ストックの関係から、これからは3日ごとに投稿になると思います.


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ