06 えっ? ナニ♂
これは不可抗力だ。
そうだ。犯罪ではない。
どこぞのTENJIN/DAKARAさんにバレたらドツかれそうだが、俺はやましいことなんて考えていない。お咎めナッシングだ。
本当だしー。実際、俺の息子は反応していないしー。
(だから、俺がミーシャの服を脱がそうとしているのはふつうのことなんだ!)
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金髪君の魔法で飛ばされた先は、何処かの町のようだった。
硬い材質でできた道は整備され、尖がった屋根が目立つレンガ造りの街並みを突っ切っていた。
実際に見たことないけど、ちゅーせのまちなみって言えばば楽に伝わるかと思う(KONAMI)。
「*****、***」
金髪君に連れられ、俺とミーシャは先刻までの森とは正反対で、物凄く硬く感じられる道を進む。
村人A:「****」(おばはん)
村人B:「***」(デカい剣持ち)
村人C:「*ー****」(チビ)
金髪K:「*! ***!」
金髪君はリア充らしい。
(でも、何でいちいち怒鳴ってんだろうな)
金髪君は町の色々な奴らに声を掛けられているが、全部「ア゛?」みたいに返している。
(もしかして、悪口でも言われているのかな)
余計な考えは避けよう。単独であーだこうだ考えるのは危険だ。
金髪君は少し丘になったところにデーンとある一際大きい建物のドアを両手で押し開く。
そこは、椅子と机が所狭しと、今ある場所が最善だと言わんばかりの雰囲気でならび、そのほとんどが空席だった。
席に座っているのは酒を飲んでいるのか、ジョッキを片手に机に突っ伏している人や椅子を横に並べて寝ている人だ。
中には食事をしている人もいる。
(酒場か?)
「***! *****-**?」
金髪君がまわりの客? にお構いなしに大声を出す。
するとーー
「うわっ」
「?」
「***」
--先刻まで俺ら、ってかほぼ金髪君の脳天目がけて黄色の光の軌跡を空間に残しながら入口の壁に刺さる。刺さったそれを見ると、小型のナイフだった。
「****! ***! ***!」
店の奥から出てきたのは焦げ茶の髪を短く刈りそろえ、めっちゃ厳つい体躯をした人だった。
肌も同じようにやけており、日本にもいた軍隊の人みたいだった。
金髪君は先刻の攻撃をサラッと2つの意味で受け流して何かを言うーー
「***、***ビャレョェヲォッ**、***」
--「こちらがバルトさんです」的なことを言った………のかな。
2人は何かしら言い合うと、海軍ことバルトさんは俺とミーシャを上から下まで確かめるように見るとーー
「****、*******! ***! **」
--こっちへ来い? と手で招いてきた。
(え? 何かやらかしたか?)
「おふろ、はいる、って」
あー。そういうこと。
(あー。ビビった。ナニカ♂されちゃうかと思った)
だって、バルトさん。………GPWとかに出てきそうだし。
まあ、今までずっと泥んこだったし。ここは言葉に甘えようと、俺らはバルトの後に付いていった。
「***! *****!」
バルトはいつの間にか、入り口から外に出ようとしていた金髪君に何かを言っていた。
それに、金髪君はマンガなら『ビクッ!』という効果音がデカデカと書かれそうなリアクションをしていた。
バルトは俺とミーシャを小さな脱衣所に案内すると、その部屋にある湿気で茶黒くなった木製のドアを開け、何やら唱えると「**、***」何やら言った。
そして、「**、**」って言って出て行った。
(コンニャク欲しい。………べっ別に、変なことに使うわけじゃないからね。あの、……翻訳するコンニャクが欲しいってことだからね)
俺がそんなどーでもいい、しょーもないことを考えていることはつゆ知らず、ミーシャはコンニャクの代わりをしてくれる。
(一応言っておくけど、下ネタじゃないからね!)
「ここ、おみせのひと、のおふろ。でも、つかって、だって」
そう言ってたのか。そんなことかなとは思っていたが、やっぱり確証が持てるのは安心感が違うな。
俺は手早く学ランを脱いで裸になると、床に置いてあった籠に軽く畳んでしまう。
ミーシャを見るとまだ、脱いでいなかったので俺は脱がそうと手をかける。
ミーシャは少しいやそうに抵抗した。
(あっ。ミーシャって今まで気にしてなかったが………女の子だったか)
失念していた。
けれど、泥んこのままではいけないよな。
「ミーシャ。お風呂にはいんないと病気になるぞ」
(森のふっかふかの土だ。どんな病原菌がいるかもわかんないし)
俺は少し強引に、ぷくっと頬を膨らませたミーシャの服を脱がす。
されど、ミーシャがケガをしないように慎重に。ゆっくりと。1枚1枚………。
(父上、母上。どうか、お許しください。仕方なかったんです。善意しかなかったんです。だからーー)
そのまま一緒に茶黒い木目が目立つドアを開け、風呂に入った。
(ーー僕を笑うことなかれ)
『町』に入ったことで、少しずつキャラが増えたり、この物語の世界観が明らかになっていきます.