R4 ツルツル~
この話の投稿日の今日、9月6日は妹の日だ~、うっひょぉぉぉぉぉ。
………って、特にいつもと同じように過ごしてる作者です。
ミリスに肩を借りながら入ってきたタケルにミーシャは駆け寄り抱き着く勢いで飛びつく。
ミーシャの飛びつく力は、その小さな歩幅の助走と骨っぽい節々が相まってかなり弱いように見えたが、タケルは簡単にバランスを崩した。
「おっと、危ない危ないよう」
「ミーシャちゃ~ん、ミリス~んもこっちこっち~」
ミリスはタケルの身体を支えると、レイカの誘導に従って、椅子にタケルを座らせる。
「****、*****」
「****、****」
タケルとミーシャは何やら話しているが、<にほんご>のため、よくわからない。
ランド語ーー世界最大のユルランド大陸に広く使われている言語ーーしかわからない彼、彼女たちは、空気を読んでそっとしておく。
「ミリス~ん、こんにちわ~」
「ういっす。ミリス」
「どもどもレイカ。それから、バレルと………」
そこで、ミリスはバルトを睨み付け、負のオーラをまとい始める。
バルトはいちいちそれに反応せず、一応挨拶をする。
「おう、久しぶりだな。ミリス」
「…………………チッ」
「その舌打ちも、しばらくぶりだな」
「…………………変態」
「おい、なんだよ。せっかく人が友好的に話しかけてやってんのによ」
「そうだよ~、ミリス~ん。お父ちんにも、じあいの心を持つんだよ~。優しく~、みんなに優しくぅ~」
バルトに加勢した、レイカを見てミリスは「ふぇぇぇ」と変な声を出す。
「レイカっとは、そいつの味方するの? 変態の………うぅぅっずっ」
そして、声には震えがまざり始めーー
(………てか、若干泣いてる? 泣いてるよね、いい年こいて。店の中で他人目も気にせずないてるよ………。まぁ、実際、見知った輩しかいないんだが、、、)
ーーバレルがそんなことを考え、まばらな酒飲みに視線をきょろきょろと動かす。
そして、正面に戻した時、ミリスはキレていた。
「…………………」←ミリス
(あぁ~あ、、、)←バレル
声には出していないが、あれめっちゃ不機嫌な顔ーー
(やめて、まじこわいから。逃げたい、ここから逃げて、部屋に引きこもりたい、、、って、追い出されたんだよな。バ・ル・ト・に!)
--とバレルはミリスからそれを感じ取った。だてに、ミリスとバレルは幼馴染をやっているわけではないのだ。
だから、後のことは放って置いていいと、何となく思ってもいたのだった。
理由としてはーー
「あ~も~、あっつい油でもかぶって溶ければいいのに。うぎゃぁぁぁぁぁ」
--数度なにか話した後、自分から勝手に捨て台詞的なことを言い残して、去っていくのだった、、、からだ。
「相変わらず何がしたいんだ、あいつは」
「ミリスんもちゃ~んと、考えてるんだよ~、、、わかんないけど」
「わかんないのかよ…」
相変わらずなレイカの調子にやんわりと突っ込みを入れたバルトは、ミリスの『よく分からない行動』で後回しになっていたことを話し出す。
「タケルは大丈夫だな。食って寝たら元通りだと思うぞ」
「さすがあのクリスんだね~。伊達にツルツル光ってる訳じゃーなくて、みんなの希望のヒカリだね~」
「……本人の前で言うなよ。ああ見えてすげ~気にしてんからな」
「べつにいいと思うんだけどね~、ツルツル~。バレルはどー思う~?」
バレルはそれにギクッと体を硬直させる。
バレルの内心↓
(おいおい、俺に話し振るなよ。今、いい感じにステルス発動してたのに……ここは、さりげな~く、さりげなく………やり過ごさなければ)
「…いっ、いいんじゃないか………(小声)」
「そうだよね~。バレル~、わかってる~」
「なでるな、なでるな」
レイカは子供を可愛がるように、バレルをなでなでする。今、<にほんご>で話し続ける2人、タケルがミーシャにしているような、ほんわかするなでなでだ。
バレルはレイカのその手をやんわりと退け、ちゃっかり『止まり木』に居座ろうと、目立たないように、正確にはバルトに追い出されないようにするがーー
「んまぁ、タケルが無事戻って来たことだし…………………バレル、帰れ」
バレル(心):(ですよね~、知ってたよボク)
ーーそのちゃちい努力空しく、バルトからの強制立ち退き命令が下る。
それでも、バレルはめげないーー
「おっ、俺に帰るとこがないの知って…」
「んで? 関係あるのか?」
「うぎゃぁぁぁぁぁ」
ーーことはなく、つい先刻のミリスと一致した動きで帰って行った。
否、正確には、バレルに帰る場所はないので出て行ったである。
そして、バレルが『止まり木』をの出入り口の鈴を鳴らすと同時に、ゴーン、ゴーンと重いチャイムの音が鳴り響く。
バルトはチャイムの音を認めると、立ち上がり頬を叩く。彼なりのオンとオフの切り替えだ。
「もう夕方だ。ちゃんと、働くぞ」
「お~」
レイカもそれに続く。彼女を初めて見た人なら、やる気のなさそうに見えるが、ちゃんとお仕事モードに入ってーー
「ね~、お父ちん。ミーシャちゃんと遊んでいい~? ね~、もーそろそろいいでしょ~」
--いるわけではないが、一応やることはやる………従業員だ。
「なにがいいでしょ~、だ。んまぁ、遊ぶのはダメだが、客が増えるからな………タケルとミーシャは部屋に戻してこい。飯は作っとくから、後で頼むな…そのあと、少し位なら遊んでいいぞ」
「わ~い、さすがお父ちんだよ~」
「少しだぞ、少し………まあ、もしもの時は、ラウラにでも頼むわ」
「そうして~、万事うまくいくのだ~」
「ラウラの扱い、ひでぇな」
「お父ちんがそれいう~?」
「………まぁ、とりあえず、タケルとミーシャのこと頼んだぞ。夜になったら、風呂は俺らのをまた、使わせてやれ」
「わかったよ~ん」
そうもっそりと動き出したレイカを一瞥した後、バルトもこれから押し寄せてくる客に飲み込まれないよう、準備を始めるのだった。晩飯や晩酌を目的にこの『旅人の止まり木』へと、『止まり木』の宿を借りている者を含め、大量に来るのだった。
この日、レイカが一度も店に顔を出さなかったのは、ミーシャと一緒にお風呂に入ったり、おしゃべりしたり、遊んだりしていたことが原因で………あったのは言うまでもない。
ラウラがクタクタになるまで無給料で働かされたこと、レイカにミーシャを取られタケルが拗ねたこと、レイカの可愛がりぶりに困惑したミーシャのこと、バレルが町の噴水の縁で寝て寝ぼけて溺れかけたこと、翌朝バルトがレイカにおしよきをしたこと、そして、ミリスがクリスから預かって『止まり木』まで持ってきた手紙がタケルの『これから』にかかわることは、また、今度の話である。
なかなか作業に取り掛かれず、更新が遅れました………ペコリm(__)m
そして、しばらくの間不定期更新になるかも………てか、そんな感じになると思います、スミマセンm(__)m
頑張って書いていきますので、お付き合いいただけますと、作者、うれしいです。