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俺が『見』てるセカイ、君の生きるミライ  作者: 六錠鷹志
第一章 異世界転移 と 出会い
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R3 『選べ』

 周囲の目線を気にせずバレルは少女(ミーシャ)を正面に抱えながら走る。

 少女(ミーシャ)先刻(さっき)のグロテスクな光景に声こそあげていないが、バレルの服に涙のシミを作っていた。


「バレルうぅぅ…ちょっ、おま少女趣味だっ………どうしたんだ!」

「知るか! 俺が聞きたいわ!」


 奴らも何かが起こったような気配を感じ取り、軽口をやめる。

 けが人を運んでいるわけではないので急ぐ必要はないのだが………バレルは少女が泣き出したので、どうしたらいいかわからないし、ミリスの切羽詰まった声から、気持ちが焦っているのだ。

 しかし、転移の『術』をとっさに使用しなかったのは幸運(ラッキー)だった。もし、使用していたら『止まり木』がただの廃木になっていたかもしれないのだから。



 『止まり木』に到着したとき、出迎えたのはレイカだった。

 レイカはバレルたちに気づくと、彼女独特のスキップするような歩き方(ステップ)で長い金髪をふわふわと踊らせながら近づき、のんきに挨拶をしてくる。


「あー、バレル………」


 そして、バレルが少女(ミーシャ)を抱きかかえてることに気づき、トッと小さく飛んできて、耳元でまるで隠し事をするように手で隠しながら続ける。


「……もしかして、少女趣味ぃ。コノコノ~………あれー、どうしたの、えと、ええ、………ミーシャちゃん、こっちくるっす!」

「おっ、おお………?」


 レイカはバレルが抱えている少女が、今朝タケルという、ここで面倒を見ることになったジンと同じ国出身の同胞であるーーとバルトが言っていたーー少年と一緒に来た少女、ミーシャであることに気付く。

 そして、彼女(ミーシャ)が泣いていることをすぐ見抜き、バレルからミーシャをひったくり、かばうようにしてバレルに疑惑の目を向ける。


「9歳になって働きもせずもふらふら、ぶらぶら、ぶら~んぶらんして………そーゆうの、<にもの>っていうんだっけ~。と~に~か~くっ、お(とう)ちんにめいわくかけるだけじゃ、あきたらないの~ッ! バレルは、、、イテッ」

「<にもの>じゃなくて、<にーと>だったと思うぞ。………それに、その呼び方はやめろっていってるじゃねえか」


 厨房から様子を見に来たお(とう)ちん、ことバルトにコテンと拳をぶつけられ猫のように縮こまったレイカはミーシャを抱きかかえたまま、首だけで背後(うしろ)を振り返り、バルトに目で不満をあらわし、なぜか、ニト~とした笑みをバレルに向けいう。


「お(とう)ちんはお(とう)ちんだよ~。………いいでしょ~」

「どして俺に………何が『いいでしょー』だ。もし、俺が嫁にそんな呼び方されても全然うらやましくもっっっ、ぜんっぜんうらやましくもないんだかっ…」


 言葉に詰まり目に涙を浮かべる成人男性、バレルにバルトは拳をぶつける。レイカにしたそれとは違いズンと重い音だ。『ぶつける』よりも『めり込ませる』という表現が適切かもしれないというほどだ。

 その拳による肉体的損傷か精神的損傷か、バレルは少し涙目だった。


「で、てめぇはなんで此処にいんだ? 答えねぇんなら手前のケツから腸詰が生えんぞ。3本な、3本」

「ひっ」


 右の親・人・中指、3本指をうねうねさせ、バレルに尻の心配(きょうふ)を植え付けるバルトに今度はレイカが怒る。


「ちょっと、ミーシャちゃんの前でそんな下品な言葉を使わないで~? 大丈夫、ミーシャちゃん」

「ちょうずめってなあに?」

「あ~ん、か~わ~い~い~」


 声を震わし赤い目をこすりながら、コテンと首を折るミーシャに、若干のキャラ崩壊を起こしながら頬をスリスリするレイカであった。



 ミーシャは隅のテーブルでバルトの作った野菜のスムージーをちびちびと吸っている。

 レイカはそのミーシャの隣に座り、ニマニマしている。

 その少女(ミーシャ)(レイカ)ーーバルトとレイカは夫婦である。子供はいないーーの様子にこころを鎮めたバルトは床に座らせられ、ガクブル気味のバレルに状況を聞いた。

 バレルの順序がごちゃっとした、まとまりのない話を何とかかみ砕いて理解したバルトは机に肘をつき、はぁとため息交じりに口を開く。


「んで、突っ込みたいことが多すぎんだが………タケル大丈夫なんだよな」

「突っ込みたい♂って、あらやだ」


(#^ω^) ←バルト

(;^ω^) ←バレル


 バルトの眼光と無言の攻撃力は半端なく、バレルはまじめに答えるしかない。


「ミッ、ミリスが持って行っ、もとい、連れて行ったからそこんとこは心配ないと思う。クリスの『術』で何とかなるし、痛そうだが生命(いのち)には、かかわんなそうだし」

「はぁ、そんならいい。タケル(やつ)ジンの(・・・)同胞(・・)だ。奴のことはそんな知らんが、『知りたい』と思ってる。『ジンの手紙』のこともあるし、当分は面倒を見るし、おせっかいも焼きたいもんだ」

「………では、そのついでにわたくし、バレルのことも面倒みて…」

「それは、無理だ」


 バルトは即答し、続ける。


「そもそも、今回の出来事はほぼお前がちゃんと仕事をしていたらよかっただけの話じゃねぇか。お前が泊まったその宿、新しくできたばっかだろ、若いやつが一世代でつくったやつ。そこで、なんだ、無銭飲食宿泊………ったく、どんな神経してんだ?」

「無銭飲食とは失礼な、ツケにしてもらおうとしただけだよ………バルト名義で………」


 バルトのターン

〔コマンド〕

1. 殴る(一方的に)←

2. 蹴る(一方的に)

3. 刺す(一方的に)


「いたっ、人を殴るってそっちこそどんな神経してんですか。あんたの脳内選択肢には暴力しかないんですか」

「ああ、お前に対するのはそんなもんしかねぇよ。あと、蹴ると刺すが残ってるから、『選べ』」

「うえぇぇぇ」


 バレルが刺すを刺す♂と連想し、吐き気からくるうめき声を出したとき、レイカが半ギレで声をだす。


「そこ~! ミーシャちゃん鑑賞のじゃましな~い、静かにする~」


 レイカに注意された男2人が会話をいったん止めたとき、ガランと入口のドアが開きーー


「<たけりゅ~>!」

「<ミーシャー>!」


 --ミリスに肩を借りながら、タケルが戻ってきた。



セリフ中の<>に囲われた部分は日本語の発音で話しています。バルトらの使う言語にも、<にーと>に類する言葉はあります。

例えば、R編で『ニート』と書かれていたら、彼らの言語で会話されており、翻訳すると日本語のニートに当たるということです。逆に、『<にーと>』と書かれていたら、日本語で話しており、意味もまんま日本語です。


……次回更新が遅れるかもしれません。、、、作業する時間がなかなかとれ、げふんげふん。

ストックが切れそうになっている今日この頃です。。。

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