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22章 暗中の宴
「惜しかったわね」「ああ」
勇敢で清き魂の最奥。それを穢そうとする者等は、約束された昏き部屋でくつくつと嗤う。
「またあいつだ、神の呆けた妹」
「私達はこんなにも主を厚く信仰しているのに、何故何度も邪魔するのかしら?」
『雌蛇』は舌打ちし、常にぬめる蛇体をうねらせながら杯を傾けた。犠牲者達から絞り取られた血涙は赤黒く臭気を放っていたが、そうさせられた原因に比べれば欠片もおぞましくはなかった。
「問題無いさ。忌々しい海神の加護は消え、夢使いの術も最早無力だ。もう何時でも『ここ』へ呼べる」
彼女と瓜二つの魂を持った『雄蛇』が、人を模した唇を歪める。
「何なら、先にこっそり邪魔者を消しておくか?爺共の時みたいによ」
「は?私達は現実に干渉出来ないのよ。あの小娘達に手を下すのは不可能だわ」
ビタンッ!尾が苛立たしげに壁を叩く。
「ああ、そうだったそうだった。流石は俺の輪廻転生」
「フン。過去と未来の私なら、もう少し頭を使いなさい。―――で、次の一手は?」
馬鹿にし、されながらも、相手の手の内は分かり切っている。自分達は一対の存在にして、互いの輪廻。罵倒も賞賛も、全ては次の生で自らに跳ね返って来るのだから。
『雄蛇』はニヤリと笑み、奥の壁を見上げる。視線の先には美しき『希望』が磔で項垂れていた。




