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Sound of Magic ~カエルが鳴くから歌いましょっ!~  作者: ブルー・タン
第2章 3歳児お披露目珍道中編
99/124

98 3日目の予定

話が長くなったり端折ったりで時間経過が解り辛くなってますが、98話からはお披露目終了から3日目です。

王都生活も残り4日間でどれだけの人に会わなければいけないんでしょうね?


王様一家が結構黒いと判明した食事会が終了した後、叔父叔母達との歓談中にカヤヨさんが再突入を仕掛けて来たりとハプニングは有ったものの、転生者とはいえ基本的には三歳児の体力しかない俺は眠気に勝てず、翌日、カヤヨさんから館に来て俺が対応することと、爺さんから領地に戻る前にもう一回王城へ顔を見せに来る約束をさせられて館に戻った。

まぁ、戻る途中の馬車の中で疲れ果てて寝ちゃったらしく、フーに呼ばれて目を覚ましたらベッドの中で朝日が部屋をさわやかに照らしてたんだけど。


「ロック様、昨夜はかなりお疲れの様でしたが、疲労が残っていたりしませんか?」

「おはよう、フー。どこで寝ちゃったのか覚えてないけど、グッスリ寝れたみたい」


王都に着いた時にぶっ倒れて以来、フーが前日の疲れが取れているかどうか確認するのが最近では日課になってしまった。

仕事の範囲とはいえ俺の体調を心配しての事だから、俺も下手に見栄を張らずに正直に答えてる。

一応、疲れが抜け切れてなかったりした場合は、朝食の後に少し長めの休憩を入れたり、日中の昼寝の時間を増やしてくれたりと、俺が倒れないようにフーと両親が話し合って調整してくれる。

まぁ、お披露目前までは体調が悪くてもしなきゃいけない事が多すぎて、あんまり調整し切れてなかったみたいだけど。

お披露目終了後にフーから領地に戻る旅程の前に体調を万全にするために、ちょっとでも体調がおかしければすぐに言うように釘を刺されてる。

因みに、領地に戻る日程については、王都への道程で遡上してきた命の川を下って行くため、来る時より3日ほど短いそうで、途中で補給等のために港に立ち寄る必要もなく一気に領地まで船を走らせるそうだ。


「もう二人とも食堂にいってるの?」

「はい。そのまま向かいますか?」

「そうだね。二人を待たせちゃ悪いから行こうか」


そういうと、ベッドから出てスリッパをはいてそのまま食堂へ向かった。

やっぱり寝巻のままで食事を出来るのはかなり楽だけど、領地に戻ったらそう言う訳には行かないんだろうな。

食堂へ移動しながら昨日の晩に初めて脳内アーカイブを活用できた事について思い出してみる。

俺の能力じゃ映像が保存できないから必ずしも該当項目を検索できるわけじゃないが、それでも名称なんかがわかっていれば情報を引っ張り出せるので、内容が充実すればかなり有用だ。

惜しむらくは、充実させた内容は自分で音読したり、お袋やフーに朗読してもらった文章だから、検索した時に微妙に覚えてる内容が有ったりして、検索して新たな知識を得ると言うよりは昔読んでもらった内容を復習してるだけなのが残念だ。

まぁ、必要に応じて脳内アーカイブの内容をちゃんと再生すれば他人に聞かせることもできるし、読んでもらった内容を全部覚えていられる訳ではないから有用であることには変わりない。

正直、前の世界に生きていた時にこんな能力が有ったら、歴史とかの暗記物のテストはパーフェクトだったに違いない。

昨日の夜は、通常は書物とかには絶対に記載されないし滅多に聞けない話を、国王やその家族自ら直接話して聞かせてもらったんだから、国家機密に当たらない部分については内容を編集して脳内アーカイブとして保存すべきだな。

国家機密に関する内容も脳内アーカイブ化しておけば便利かもしれないけど、何となくやらない方が良い気がする。

カテゴリー的には百科事典とはちょっと違うと思うから、今後、内容が増えた時に丁度いい分類が有ったら放り込むこととして、当面は「王家(仮)」カテゴリーを作っておこう。


「親父殿、お袋、おはよう」

「は~い。おはよ~」

「うむ。体調はどうだ?」

「かなり良いですね。出発前とほぼ変わらないと思います」

「うむ、良かった。何かあればすぐに言え。では食事を始めようか」

「「はい(は~い)」」

「親父殿、昨日の話でヌイグルミについては結論から言えば特別なヌイグルミは他の子には上げないと言うことだと思うんですが、シェイナちゃんに普段持って歩く用の通常の音声のヌイグルミを渡しておくべきですかね?」

「うむ、確かにそうだな。使いの者を出して事情を説明する手紙と一緒にモロー殿に渡せば良いように計らってもらえるだろう。私が手配しておく」

「よろしくお願いします。シェイナちゃんが王族より一個多く持ってる事になりますけど、爺さんから苦情もこないですよね?」

「大丈夫~。昨日の話があった上での判断だと解ってくれるわ~」


王様なんて権力闘争の中枢を担ってたら、俺如きの思惑を察するぐらい造作もないってことですね。

前の世界でもそう言う権力闘争の類とは全く無縁だったし、こっちの世界でも無縁で生きていきたいなぁ。

貴族だし、多少は有るのかもしれないけど。


「うむ。今日は午前中にアガン殿が来宅して昼食を共にする予定だ。昨夜の約束通り夕刻前にカヤヨ殿が来宅して夕食の調理を行ってくださるそうだ。料理の内容は多少変えてくださるそうだがな」

「アガンさんも前の世界の音楽について話をしたいって言われてましたし詳しく話してないからまだわかるんです」

「うむ?カヤヨ殿に何か問題が?」

「カヤヨさんの料理は、食材の違いも原因の一つでしょうが、元になった前の世界の料理より全部おいしいんです。例えるなら屋台の料理に一流の料理人が創意工夫を加えた状態です」

「でもね~。カヤヨさんとしては~、その違いこそ知りたい部分じゃないかしら~?カヤヨさんの料理はおいしいからお母さん、いくらでも食べられるわ~」


そりゃあ、そんなにしょっちゅう転生者なんていたら対応ももう少し違うだろうから、仕方ないのか。

でも、お袋は自分の希望が漏れ出ちゃってるな。


「うむ。カヤヨ殿は何を言っても引かないであろうから、ロックも無駄な抵抗はするな。料理について聞かれたことに答えていればそれほど害も有るまい」


確かに、質問に答えないで暴走される方が色々と問題を起こしそうな人物ではあるな。

前の世界で夏と冬の年2回執り行われていたオ○クの神事でもそこまで暴走する人物はほとんどいなかったんだが、どうもこっちの世界の人は極端な人が多い気がする。

その最たる人物は俺の親なわけだが。


「うむ。この後、アガン殿が来るまでと、昼食後はカヤヨ殿が来るまでは何の予定も入れていないから、身体を休めるなり王より依頼のあったサジックスの作成を進めるなりしてはどうか?」


まぁ、それも良いんだが。


「今まで作った2本のサジックスは基本的には俺が遊ぶために作ったものだから、サイズが子どもの手のサイズだと思うんですよ。今日は折角アガンさんが来てくれるんですから、サイズや魔石の配置について楽師としての意見を取り入れた方が今後の為だと思うんです」


この方法だったらお互いWinWinな関係になれるんじゃなかろうか。


「なので、昼食後のアガンさんの時間が取れるようでしたら、お昼までにサイズとかについて意見をもらった上で、木管を作ってくれた家具職人の工場へ行ってみたいです」


王都観光もしてないし、工場の後はアガンさんに聞きながらチョットでも王都を見て回ってみたい。

エントシーとは違う雰囲気の大都市に来てるのに、このペースで人と会う予定を入れられ続けてたら王都観光なんて夢のまた夢だもんな。

楽師なんてやってたら町の事とかにも詳しそうだし、面白い物を見せてくれるかもしれないしね。


「うむ。ホー、イーマス家に理由を話し、急な話で申し訳ないが午後も予定を開けてもらえないかと確認しろ。予定が有るようであれば無理は言わないとも伝えよ」

「了解しました」


そういうと、ホーは静かに食卓から退室した。

親父殿の護衛なのに離れちゃってもいいのか?って一瞬思ったけど、たとえ素手の親父殿相手にフル装備でも勝てる人なんてめったに居ないんだから問題ないのか。

その後、朝食が終わるころにホーが戻ってきて、もらった返事は『大歓迎』だった。

アガンさんは一体、大歓迎を表現するのにどれだけの言葉を使ったのか、ちょっと気になったが、今まで馬車の中からしか見る暇のなかった王都の見物にワクワクしてきた。


ロックは以前から脳内アーカイブを一生懸命充実させていますが、目指すべき着地点は、不完全ながらも転生物のテンプレ「鑑定」を自力で作成することです。

あと、国家機密を脳内アーカイブ化しなかったのは術式の影響によります。

段階としては【何となく喋らない方がいいような気分】になり、【絶対に喋るもんか】って気分になり、【死んでもしゃべるもんか】を経由した後に、最終的には喋ろうとしてもしゃべれません。

通常の生活を送っている範囲では術式の影響を感じさせないのはそのためです。


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