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Sound of Magic ~カエルが鳴くから歌いましょっ!~  作者: ブルー・タン
第2章 3歳児お披露目珍道中編
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97 叔母上たちの嫁ぎ先 後編

切どころが解らなくなった長文の後編です。

途中、ファンタジー金属のこの世界における性能説明が有りますが、全体としては影響がないので飛ばしてもらって大丈夫です。


「他国との同盟を含んだ結婚ってのは無いんですか?」

「有るけど、国内に降嫁するよりはるかにハードルが高いんだ。近い将来、ユマイアが隣の大陸で交易のあるビッポヌ聖霊国に嫁ぐことになってるよ。フィリアナもゴウラ王国に嫁ぐ予定だったんだけど、どうやら無くなりそうだね」


ユマイア姫様は1番上の叔母さんで、フィリアナ姫様が2番目の叔母さんか。

ゴウラ王国ってこの前の俺氏誘拐未遂事件を起こした国だよな。

ビッポヌ聖霊国って知らないよ。


「親父殿、ビッポヌ聖霊国ってどんな国ですか?」

「うむ。10年程前から国交が結ばれて交易を開始した国だ。交易開始以来、外洋が比較的荒れにくい時期を狙ってエントシーへ年に2回ほど船団を仕立てて来国している。王都へ来る途中にモロー殿に飲んでいただいたマチャの産出国だ。こちらではあまり産出しない特殊金属の鉱石が主な交易品となっているな」

「特殊な金属って言うのは?」

「うむ。アポイタカラだ」


アポイタカラ?

ここは、ミスリル銀とかオリハルコンとかアダマンチウムとか、テンプレ的なファンタジー金属が出てきてほしかったな。

前の世界のオタク知識によるとヒヒイロカネの別名だったはずだが、また、マイナーなファンタジー金属が出てきたな。

たしか百科事典に記載があったし、チョット脳内再生してみるか。


『アポイタカラ』

『主な産出地域はビッポヌ精霊国及び近隣国。特殊な製錬技術が必要となるが製錬後は非常に硬度が高い。硬度はアダマンチウムより低くオリハルコンと同程度であり優劣は製錬の精度による』

『製錬後は青みがかった光沢のある黒い金属となる。魔力伝導率が非常に高くミスリル銀より若干効率が落ちる程度』

『最大の特徴は触れるとぬるま湯程度の熱を持っていること。ただし、熱伝導率は非常に低く、火にかける、氷水に漬ける等により熱の加減を行っても温度がほぼ変わらない』

『常に一定の温度を保っていることから、寒冷地帯の国では、冬場に手がかじかむことを防ぐ実用的な意味合いと、鞘に納めて腰につるした時にすぐにアポイタカラが使用されているのが見て取れる装飾的な意味合いを併せて、握りの一部にアポイタカラを使用した武具を武勲の恩賞とする国もある』

『アポイタカラの製錬技術についてはドワーフ主体の国家、コクウーツ国の王室秘匿技術であり、ドラ王国とビッポヌ精霊国間の交易が開始されるまでは、ビッポヌ精霊国では異常に硬いクズ鉱石として放置されていた』

『なお、一部地域ではヒヒイロカネと混同されるが全く別の金属である。混同される理由は不明』


フーの素敵ハスキーボイスでアポイタカラについて説明してもらった。

初めて脳内アーカイブが役に立ったけど、まだヒヒイロカネの項目まではたどり着いてないし、出来るだけ早く完成させて活用しよう。

でも、クズ鉱石として放置されてたってことは最初の買い取りの時にシャークとかしてそうだな。

いや、それほど長くない期間とはいえ、ちゃんと交易が継続されてるってことは、それなりの金額で買い取ったって事か?


「そうなんですか。他国との婚姻でハードルが高いのは何故ですか?」

「それはじゃな、他国へ嫁ぐ場合は3世代目以降に闇属性の子供が生まれないよう、術式を施さねばならぬのじゃが、身体に多少負担も有る上に魔力量の成長がそこで止まってしまうのじゃ」

「なぜそんな術式を?」

「ロック君、闇属性の一族が王として一国を支配していられるんだよ?闇属性の魔法で出来ることは、物の持ち歩きが楽になるインベントリの魔法だけじゃないってことだよ」

「うむ。私も詳細なことは知らされていないが、伝え聞いてる内容だけでも、王家と戦になった場合、ライト家では勝てないだろう」


チャイ叔父貴のこの言い方だと、多分、王家だけに伝わる戦争用の魔法とかあるっぽいな。

絶対に説明してもらえそうにない感じだけど。

でも、親父殿がそこまで言うってことは、本気でヤバイ魔法なんだろうな。


「通常の国家間でも同盟のための政略結婚はハードルが高いけど、ドラ王国の場合は婚姻が決まってから術式を施し始めるから、実際の輿入れまで結構時間がかかちゃうんだよ」

「なんで、次の子供から生まれないようにしないんですか?」

「そもそも闇属性の子どもは闇属性の両親の間からじゃない場合、非常に生まれにくいんだけど、確率は0じゃない」


たしか、光属性も比較的生まれにくい属性だって言ってたな。

統計取ってないだろうけど、親父殿は側室に別属性の人もいるらしいし、闇属性の方が遥かに出生率が低そうだな。


「他国にしてみれば自分の国に闇属性の血筋が欲しいのも含んでるから、全く闇属性の子供を産むことが出来ない姫を嫁にもらうんじゃ条件が合わないんだよ。だから、これまでもドラ王国と婚姻による同盟を結んだ国は多いし、その姫が闇属性の子どもを産む確率が0じゃないことも歴史が証明してるんだ。」

「何かだまし討ちみたいですね」

「ロック!」


しまった!

いくらフランクな王家の人たちとは言え、さすがに言い過ぎた。

言葉づかいはともかく、喋る内容は気を使わないといけないのは別に誰に対しても一緒だよ。


「ごめんなさい」

「良いんですよ、義兄さん。外交とは国対国の化かしあいです。真摯な態度の中に混ぜられた一つまみの毒に如何に気が付くかが勝負の分かれ目なんですから。ロック君も国を相手にするときは常に覚悟を決めていたまえ」

「わかりました」

「説明を続けると、闇属性の子供が生まれる確率は非常に低く、3世代目になるとほぼ0が現状でも、将来的に隔世遺伝で闇属性の子供が生まれることに期待してドラ王家の女性を迎え入れるんだ。実際に通常の4属性であれば、ほぼ両親のどちらかの属性になるけど、たまに全く違う属性の子どもが生まれたりもするからね」

「それで不義密通を疑われたりはしないんですか?」

「いや、それは常識の範囲だから、よっぽど頭の固い旦那さんじゃなければ大丈夫だよ」


違う属性が生まれて疑われるのもゼロじゃないってことか。


「そんな国家機密を僕なんかに話してしまって良かったんですか?」

「うん?別にロック君はこの話をどっかでばらす気もないだろ?」

「そうなんですが……」

「まぁ、大丈夫な理由があるんだ。インベントリ付与には王国の秘密を洩らせないようにする術式も組み込まれててね」

「え!?」

「インベントリを付与されるような有能な子どもは、得てして国の中枢にかかわる場合が多いし、そうでなくても貴族だから国の情報に関わる可能性が高いからね。国の情報が漏れるのを防ぐためにも必要な措置なんだ」


そう言われてしまうとごもっともなんだが何だかとっても納得が行かないな。


「納得が行かないみたいだね。ちなみに、インベントリが定着するのに必要な期間は本当だけど、付与の術式が完成した段階で情報漏洩防止の術式は完成してるから」


マジか!

インベントリ付与ってのは名誉って名前の付いた鎖だったわけだ。


「ほら。さっき、国を相手にするときは覚悟しろっていっただろ?でも、この話は王家から直接説明されない限り、他国に情報を売り渡そうとでもしないと気が付かないんだけどね」

「戦で捕虜になったりした場合はどうなるんですか?」

「まぁ、その場合は国家のために死んでもらうんだろうね。国や王家に忠誠を誓うって言うのはそういう面もあるってことなんだよ。でも、話せないのは本当に王家が転覆しかねないレベルの情報だけだし、それも闇属性かインベントリ持ち同士なら話せるから、私生活にはまず不利益はないよ。だからこそ誰も気が付かないんだし」


かなりモニョモニョするが既に終わった事をぶつくさ言っても仕方ない。


「そもそも、貴族って言うのは王家も含めて血筋を大事にするんだ。そうでなければ、こんな相手に不興を買いそうな内容をわざわざ話したりしないさ。父上や僕たち兄弟からしても君は大切な存在なんだ。だからこそ話をしたんだってことは理解してほしいな。それに自分の家臣に変な足かせはめて、役に立たなくなったら本末転倒だろ?」


確かに自分の家臣が役立たずになったら王家だって立ち行かないか。

不利益が無いって言うし、ならそれを信じるしかないか。


「わかりました。お話ししていただいて有難うございます。王城に働いている使用人なども術式をかけられているのですか?」

「そうだね。使用人とはいえ王城で働くわけだから紹介が必要だし、その際の雇用条件として術式を施されることに同意してもらってるよ。こっちの術式の内容はインベントリと一緒に施す術式より厳しい内容だけどね」


王様の執務室に清掃で入る人なんて、下手な貴族より機密に近いもんな。

そんな術式が存在するなら施さないわけがないか。


「ただ、メリットもあって、使用人に施す術式は左手の甲に王家の紋章が刻まれてるんだけど、それは一般的には身元を王家が保証してるのと同じ扱いなんだよ。貴族じゃなくても紋章を見れば王城で働いてるのが一目瞭然だから、良い婚姻話が来やすかったり、貴族家からより良い条件の勧誘が有ったり、女性に限るけど貴族のお妾さんになる話が来たりするんだよ」


貴族のお妾さんが良い話とはあんまり思えないけど、その辺の感覚は前の世界の記憶が有る俺とこの世界の常識に齟齬があるんだろうな。


「なるほど。話を戻しますが、ユマイア叔母さんは何時ごろビッポヌに嫁がれるんですか?」

「術式を施し終わるのがあと半年ほどじゃから、終わり次第、ビッポヌに連絡して出立じゃよ。国の為とはいえ、海の向こうに嫁がせるのは寂しい限りじゃ」

「嫁ぐのにあんまり時間がかかると、相手にばれたりしないんですか?」

「婚姻が決まってから王家の姫が嫁ぐのに必要な準備をし始めるわけだし、長くかかると言ってもごまかせる範囲だし、この大陸内の国ならドラ王国の姫を嫁としてもらうならそう言うもんだって思ってるはずさ」


ドラ王国の長い歴史が秘密を守ってるってわけか。


「でも、闇属性は生まれにくいはずなのに、お袋以外はみんな闇属性ですね?」

「生まれなくする術式が有るなら、その逆も有るって事さ。術式は秘密だけどね」


なるほど。

王家の人はフランクな態度とは裏腹にかなり黒いと解りました。



ヒヒイロカネとアポイタカラは同じ金属を表しているそうですが、この作品内では作者の独断により全く別の金属として取り扱いたいと思います。

また、金属としての特徴も作者の創作で、色はガンブルーを想像してください。

ちなみに、ビッポヌの発音は日本と同じ感じでお願いします。


文章が4000文字を超えてしまったのですが、脳内アーカイブの説明文は本文に入れないであとがきに入れた方がいいのでしょうかね?


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