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Sound of Magic ~カエルが鳴くから歌いましょっ!~  作者: ブルー・タン
第2章 3歳児お披露目珍道中編
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96 叔母上たちの嫁ぎ先 前篇

後半は第一王子のターンです。

切どころが解らなくなって普段より長い文章になってしまい、無理やり前後編に分けたのに普段の倍近い文章量です。


人の口には戸が立てられないって前の世界のジャパネスクの格言にあるけど、それにしても俺が転生者って話の流出する速度が速すぎないか?

さっきの会話で給仕さんとかも居たから、下手すると数日中に王城の使用人でアンテナを張り巡らせてる女性や、そこから情報を得てる人達なんかには知れ渡ってる気がするな。

えてしてこういう大きな組織に所属していると、外部に漏らすか漏らさないかは別にして、組織内での噂が流れる速度は想像を絶するスピードを持つ場合がある。

下手すると俗に組織内で【事情通】とか言われるような人は既に俺が転生者であることを知ってるんじゃなかろうか?

アガンさんに隠した方が良いってアドバイスをもらったりもしたし、叔父様叔母様方はさっき素敵なお返事をしてたけれど……。


「爺さん、これだけの人数に知られたらもう無理でしょ」

「……すまんのう」

「まぁ、爺さんが謝る話じゃないと思うけど」


と言いつつ第3王子様の方に視線をチロ~リと霞めつつカヤヨさんの方を見る。


「リニョールが()()に話を広めてしまったことは本当に申し訳ない。カヤヨも普段は人の話を聞く男なんじゃが……」


俺も今まで大した努力もしてないけど、出来るだけばれないように行動をしてきたつもりではあるのだ。

なんせ、俺の魔法についてばれる前に話をしたのはお袋と爺さんだけだし、俺が転生者だって事については自分からばらしたことはないのだ。

……こういうと何だか自分の演技力の無さに絶望するけど。

この世界はエアリーディングスキルレベルの低い人が多すぎる。

たまに高いと爺さんとか見たいにしなくていい気苦労を背負って、他人の分まで謝罪してそうだ。


「王家に生まれたわけじゃないから王様業の事はわかんないけど、王様がそんなに頭下げてたら他人に示しがつかないんじゃないの?」

「いや、カヤヨが()るからおかしなことになってるが、一族だけであれば問題ないのう」

「俺、一応、外戚なんだけど?」

「娘婿と初孫と言う(くく)りにしておくのじゃ」

「それで問題ないって言うなら俺が何か言う筋合いじゃないけどさ」

「そうじゃ、ロックが気を使う所ではないのう。しかし、折角の初孫じゃ。もう少し頻繁に王都に顔を見せに来れんものかのう?」

「内孫の方が可愛いんじゃないの?」

「まだ孫はロックとルーナしかおらんわい」


あれ?第1王子とか結婚してる年齢だよな?


「チャイッド王子様は結婚してますよね?」

「ロック君、折角身内だけで集まってる食事会なんだから、王子様はやめてくれないかい?家族も僕の事を愛称でチャイと呼ぶから、チャイ叔父さんとでも呼んでくれればいい」

「え?良いんですか?」

「父のざっくばらんな性格を見てもらえればわかる通り、家の家族はあんまり堅苦しいのが好きじゃないんだよ。人前でも叔父さんで構わないよ?もちろん公式な場ではきちんとしてもわないと困るけどね」

「じゃぁ、叔父さんって言うのも照れくさいんで、チャイ叔父貴ってどうですか?」

「叔父貴ってなんだか裏社会を題材にした物語みたいで面白いね。是非そう呼んでよ」

「わかりました。ちょっと不躾な質問ですけど、チャイ叔父貴にお子さんはいないんですか?」

「うん。ちょっと結婚相手を選ぶときにいざこざが有ってね。王太子妃が輿入れしてまだ半年しかたってないんだよ」

「じゃぁ、叔母様方も?」

「そうだね。ミアス姉さんみたいに生まれたときから嫁ぎ先が決定してる場合は別にしても、王家から降嫁する時は貴族家の現状をよく見て実行されるんだ」


どういうこっちゃ?

俺の頭が疑問符だらけになってるのに気が付いたチャイ叔父貴が話を続けた。


「政変なんかで状況が変わった時に当主が自らの既得権益すら維持できない程度の能力しか無い家に嫁がせるわけにはいかないんだ」

「生活能力の無い奴に嫁はやれんって。って理解でいいですかね?」

「平たく言うとそういうことだね。貴族家なら年金も出るけど、それだけで貴族の家を維持できるような金額じゃないからね。家格が上がれば上がるほど、年金以外に収入が必要になるんだよ」


貴族だから年金だけもらってニートってわけにはいかないって事か。

領地とか持ってたら不労収入が多いってことになるのかな?

不労収入って言ったって、直接労働じゃないだけで領地持ってるだけで必要な手続きとか仕事はたくさんあるもんな。

仕事しないでいいなら、親父殿の執務室があんなに書類が積みあがったりしないはず。


「ライト家の様に領地を持ってる場合はわかるんですが、それ以外の場合はどうなるんですか?」

「能力とコネが有れば何らかの役職に付くのが一番良いね」

「コネ?」

「そう、コネ。一番大きいコネは親が役職についてる事かな。成人したら閥の下官として見習い期間を過ごして、当主が交代する時に見習い解除して正式な役職に着いたりね」

「役職も世襲ですか?」

「世襲とまでは言わないけど、それに近いかな。でも、悪い事ばかりじゃなくて、成人する前から家庭で閥の仕事を教育されるから、見習いとして入ってきた段階でそれなりに仕事がこなせる場合が多いんだよ」


なるほど。

閥の業務に特化して教育されてるから、それ以外の人間より一歩も二歩も先んじてるわけだ。


「あと、もともと家が商売をしてて金で貴族になったような家は、稼業が貴族家を支える体制になるよ。下位の爵位を持ってる家に多い形態だね」


ジャパニーズの夜明けZEYO!って言った人の実家に近い感じかな?

武士としての地位は低い家柄だけど、家自体は裕福だったらしいし。


「貴族家が直接商売をしたりはしないんですか?」

「基本的にはやらないね」

「それは何故?貴族の名前が有れば商売もしやすいのでは?」

「直接商売してると社交界で『金に汚い』と言われて、攻撃対象になりやすいんだ」


そう言えば、ムルスイの豚親父も親父殿の事を金の亡者的な表現で罵ってたっけか。

他人に借金するよりはずっと良いと思うんだけど、ハポンとは価値観が違うのか?


「でも、ライト家は光属性で、光源として魔石の販売をしてますけど?」

「ライト家も建前上は一族の別の人が商会側を運営して、そこからの依頼で魔石に魔力を込めて、それを紹介に卸してる形態になってるんだよ。実質的には直接商売をしているのと変わらないんだけど、貴族社会は建前が大事だからね」

「僕が作ったヌイグルミを貴族に売るのは問題ないんですか?」

「それについてはグレーな部分でもあるけど、基本的には個人の依頼に対して自分の持ち物や技術を売るのと、不特定多数の為の商品を扱うのでは、周りの扱いが違うと思っててくれればいいよ」

「具体的にはどんな人がそういう方法で収入を得てますか?」

「才能さえ有れば、画業とか彫刻とかで収入を得る貴族もいるし、そういう人達は注文もひっきりなしな上に尊敬もされるよ。特殊な属性を使用した商品って意味ではロック君のヌイグルミも当てはまるね」


なるほど。

売ってくれって言われての受注生産なら大丈夫で、個数を作ったり買い集めたりして不特定多数に販売する場合は貴族が直接やっちゃいけないと。


「大分話がそれたけど、どんな方法でも貴族家の当主は、法や慣習に逆らわない範囲で自分の家を維持できるだけの収入が必要だし、王家から降嫁させる場合はそれらを綿密に査定した上で行われるよ。他にも基準は有るけど」

「他の基準ですか?」

「当たり前だけど王家に敵対的では無いとかね。国の運営だから絶対服従である必要は無いけど、王家に敵対する家に王女を降嫁させて権勢を広げられても困るよね」


そりゃそうか。

ちなみに、あれだけしつこかったカヤヨさんはどうしたのかって言うと、気が短すぎて俺のスルースキルに業を煮やして厨房に戻っていったよ。

出来れば今後もジャパニーズフードを食べたいから後でフォローしに行かなきゃ。

でも、キレて厨房に戻るなら最初から出てこないでくれれば何の問題も起きなかったのにさ。



ちなみに王子様Sの名前はド○キッズの名前をもじってます。

ぶっちゃけ、名前が思いつかんのです。

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