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Sound of Magic ~カエルが鳴くから歌いましょっ!~  作者: ブルー・タン
第2章 3歳児お披露目珍道中編
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88 エルフと言う種族

シェード家との昼食はシェード親子が終始ご機嫌で滞りなく終わった。

モローさんは俺達が王城へ行く予定を事前に知っていたらしく、国王様へよろしくお伝えくださいと言って帰って行った。

シェイナちゃんは帰るときに、まだ遊ぶと駄々をこねて、ふくれっ面のまま右手にヌイグルミを大事そうに抱え、左手をモローさんに引かれて馬車に押し込まれていた。

馬車が動き出したあたりであきらめたのか窓から顔を出して手を振りながら何か言ってたけど良く聞こえなかった。

まぁ、あのくらいの年齢なら、また遊ぼうねとかだろうけどさ。

とりあえず、蛙の歌のヌイグルミについてお親父殿に相談してみるか。


「親父殿、相談が有るんですが」

「うむ」

「王都に居る間に残りの3人にも同じヌイグルミをプレゼントしたいんですが、まずいですかね?」

「うむ。モロー殿はそもそもライト家と友好関係が深い上に人となりがわかっている相手だから特段問題にしなかった。ムルスイもあれで王家に対する忠誠は高いゆえに本当に口を噤むべき事は弁えている。チャスタリア家についてはムルスイに口を閉ざさせるよう言い含めれば問題なかろう。問題は残った1家だな」

「モックロー家ですか」

「うむ。あの家の者はエルフの血が流れていることを鼻にかける傾向が有る。典型的な上に媚びを売り下に強く出るタイプの人間であまり信用できないと思っている」

「ムルスイ家は信用できるのですか?」

「うむ。お前がどのように思っているかはわかる。だが、あれは歪んではいるが、根源には絶対的な王家への忠誠心がある。お前の詳細な情報が他国へ流れた場合のこの国へのデメリットに考えが行かないほど馬鹿な男ではない」


マジですか?


「信用できないと言う顔だな。だが、全ての臣下が他国へ下るような状況にあって、あの男だけは王のそばを離れないだろう」


え?何その【漢】と書いて【おとこ】と読む感じ。

義理と人情をはかりにかけたら義理が重たい感じ。

とてもそんな男気溢れる人間には見えないんだけど。


「お前にもいつかわかる。ムルスイ家の忠誠心ほど揺らがぬものはこの国に無いことを」


え゛!?

それが気にくわないからサジックスをいきなり踵落としでぶっ壊す人に対する評価なの!?

そんな忠節の人がどこをどう拗らすとああいう行動に出るのか全く分からん!


「あのね~ロック~。え~とね~、あんまり私から言うことじゃないんだけど~、ムルスイさんね~、私の事好きだったの~。たぶん、今でも好きなんじゃないかしら~?」


ブバ~~~ッハァ!俺がアレ的な表情になっちまったぞ。

この世界に生まれてから現在に至るまでの【俺の残念な瞬間ランキング】No1に一気に躍り出るくらい残念な瞬間だったじゃねぇか。


「忠誠心も厚いし~、相手が私じゃなければ降嫁も有り得たんだけどね~?お父様に直談判までしてたけど~、私が光属性で旦那様に嫁ぐことも決まってたから無理だったの~」


マジですかムルスイの俺に対する態度はただの嫉妬でしたかそうですか。


「だから~、ライト家に対する困った行動の大半はそういう理由なの~。大人の事情に巻き込んでごめんなさいね~」

「では、嫉妬で目が曇ったりは?」

「うむ。この前の事は長年の鬱憤や嫉妬など負の感情がないまぜになり、瞬間的に感情が爆発したのであろう。今後、長い目で見れば嫉妬でお前を他国に売るようなことは有りえない」

「断言しますか」

「うむ。加えて、テサードについてはおそらくモロー殿の誘いに乗らなければ、インベントリを付与されることは無かったであろう。それによって、ムルスイのお前に対する印象はかなり好転している。サジックスを壊した負い目も加味して考えれば心配する必要は全く無い。むしろ、私やミアスを抜きに考えればお前の味方になる可能性が高い」

「なんでそこまでムルスイを信用できるんですか?」

「うむ。ムルスイ家とはそういうものなのだ。好意的になる必要は無いが信用はしていい」


ムルスイ家が信用できるってことは理屈じゃない感じですか。

世界の真理とか絶対的な法則とかそんな感じのやつですか。

まぁ、親父殿も好き嫌いと信用の有無は別っぽいし。


「わかりました。話を戻しましょう。問題はモックロー家だけと言うことになりますが?」

「うむ。エルフの血を継いでいることもあり、エルフィン王樹国との繋がりがかなり強い。今回の件も既に話が漏れていると考えて間違いないだろう」

「エルフィン王樹国?」

「うむ。命の川の遥か上流にある王樹を中心に広がる大森林を版図としする国民の9割がエルフの国だ。」

「エルフですか」


エルフの国と言うことは、血を引いてるだけで純粋なエルフじゃないラングラックですらあんなにイケメンだし国民総美男美女の国なんだろうか。

一度でいいからエルフの実物もお目にかかりたいものだ。


「大森林内は自分たちの国と考えており、他国の版図に平然と大森林を拡張してくるため、近隣の国とのいさかいが絶えない国でもあるが、最大の問題は大森林内で守勢に回ったエルフの軍にはまず勝てないということだ」


何か前の世界の物語では、エルフって言うと森に引きこもってるイメージが強いけど、この世界のエルフはずいぶんとアクティブなんだな。


「勝てませんか」

「希少な属性で軍を編成すればあるいは可能性があるかもしれないが、ライト家の領軍では負けずとも勝てないな」

「なぜですか?」

「ライト家の領軍は基本戦術に光魔法を取り入れているため、海戦や野戦など相手の軍との間に遮蔽物が少ない場所で戦うことが前提となっているからだ。向こうの飛び道具も当たらないだろうが、こちらの光魔法も遮蔽物が多すぎて効力が半減以下となる」


「親父殿、話を戻しますがモックロー家に対するヌイグルミのプレゼントはどうすべきでしょうね?」

「うむ。モックロー家に関しては判断材料が少なすぎるな。今日の午後より王に会うのだし、王に判断を仰いでみるのも一つの手だろうな」

「では、準備だけはしておきますので、モックロー家へプレゼントが不可なら他の家にもプレゼントしない方向がよさそうですね」

「うむ。それでよかろう」


さすがの親父殿でも必要な情報が少ない状態では判断のつけようがないか。

でも、何か聞いた範囲だと変にエルフに情報が行くのも嫌だけど、敵対するのはもっといやだな。


作者的にはお披露目後の王都の話を引き延ばしたくないため、エピソード間の話をぶっ飛ばしながら書いてますが、裏では準備が有ったり交渉が有ったりとしてます。


次の投稿は8月18日(月)10:00を予定しています。

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