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Sound of Magic ~カエルが鳴くから歌いましょっ!~  作者: ブルー・タン
第2章 3歳児お披露目珍道中編
86/124

85 シェード家襲来!

8/16 文章の矛盾点を指摘いただきましたので、誤字と含めて修文しました。

お披露目が終わった次の日は、丸一日、食っちゃ寝で過ごさせてもらった。

正直なところは、自分ではあんまり動かないとはいえ、船旅に馬車旅でかなり疲れてたし、王都に着いた直後に崩した体調も完全とは言い難く、食っちゃ寝も何も食後に襲ってくる眠気に勝てなかっただけだ。

たぶん、シェイナちゃんへのプレゼントも、王様に初孫様として可愛がられに行くのも、お披露目の次の日を避けたのはこうなると予想できてたんだと思う。

さすがに、身体がまだ若いって言うか幼いせいで回復力が高いのか、丸一日グッタリして朝起きたら体も頭もすっきりしてた。

旅行中だけでも朝食は寝巻のままでと言う主張も通ったため、俺は今、ボンボン付寝巻とスリッパと言ういでたちで食堂に向かっているところだ。


「フー、シェード家と昼食を一緒にって話だったけど、来るのは何時ごろか聞いてる?」

「はい。旦那様方もそれなりに話があるようですから、昼食の前にシェイナ様と遊ぶ時間は有るかと」

「いや、そういうことを聞きたかったわけじゃないんだけどまぁいっか」


この世界、機械式の時計も有るにはあるのだが、一般的な生活には全く根付いていないうえに制作技術があるのも隣の大陸だ。

この大陸で時計を所持しているのは、ごく一部の貴族や豪商などに限られ、それすらも自分の経済力を誇示するために所持しているに過ぎない。

時計を持ってない人たちが何を目安に時刻を知るかと言うと、日時計はこの世界にもあるため、それを基準に正午に鐘を鳴らすのため、それによって大まかな時間を把握している。

待ち合わせなどする場合も、正午の鐘の前後どのくらいかで決めてるので必ずどちらかがそれなりの時間待たされたりするのが普通だ。

が、そういうものだと言う認識なのか、誰も文句ひとつ言わない。

前の世界で分刻みのスケジュールに追われてた身としてはかなり違和感を感じるが、前の世界でも電車が5分遅れただけで文句が出るのはジャパニーズくらいだったし、この世界では、むしろ俺の感覚がおかしいんだろう。

でも、朝起きる時間はほぼ定刻だが、体内時計の性能が前の世界の人間よりいいのだろうか。


「親父殿。お袋。おはようございます。今日はモローさんとシェイナちゃんが来たらどうしますか?」

「うむ。私もモローと話がある。シェード家が来宅したら、お前はシェイナ嬢を連れて居間で遊んでなさい。ヌイグルミはその時プレゼントすればよかろう」

「わかりました。お袋はどうします?」

「シェイナちゃんがとっても可愛いから一緒に行くわ~。あのまっすぐ伸びた銀髪を編み込んでみたいの~。私がお城に住んでた頃は妹たちの髪の毛を編み込んであげたりしてたから、結構上手なのよ~」

「お袋はお姫様たちと仲が良かったんですね。でも、髪を編み込んだりとか、身だしなみに関することって、お付きのメイドさんとかがやってくれるものじゃないんですか?」

「もちろん公の場に出るときは専門の女中さんがやってくれるのよ~?でも、妹たちにとってライト家に嫁ぐことが決まってて王位継承権のない私は、甘える相手として丁度よかったのよ~?きっと」


なるほど。

血のつながりがあり、かつ、自分たちを陥れる必要のないお袋は確かにちょうどいいかもしれない。


「王家の王位継承権はライト家みたいに魔力とかで決まったりしないんですか?」

「闇属性の魔力が一定以上あることは条件の一つだけど、それだけじゃないのよ~。私は最初から継承権がなかったから教えてもらってないけど、いくつかの条件がそろわないと王様になれないみたいね~」

「そうなんですか」

「お前たち。今日は人も来ることだ。話をするなら食事をしながらにしなさい」

「「は~い」」


そうそう。

この世界の貴族の嗜みの一つとして、食事中の会話ってのもある。

元ジャパネスクの俺としては食事中に会話をするのは違和感を感じるし、そもそも、ライト家の食卓で会話が弾むことはめったにないのでなかなかその手のスキルが身につかないでいる。

今は嫌味を言う異母兄弟たちが一人もいない。

俺たちは食事が終わるまで親子3人で今日の話も含めつつ、穏やかで楽しい会話をしながら食事を済ませた。

親父殿は基本的に相槌を打つだけだったけど。


 ・

 ・

 ・


「ロック様、シェード家の馬車が通りを向ってきているようです。旦那様より出迎えのために玄関へ向かうよう指示がありました」

「ありがとう、フー。それから、お袋が「プレゼントなら箱に入れてリボンをかけないとね」って言って包装しておいてくれたから、出迎えてる間にこれを居間に置いておいてくれない?」

「了解しました。さぁ、旦那様たちがお待ちですよ」


そういうと、フーはヌイグルミを入れてリボンをかけた箱を受け取って部屋から出たので、俺も後を追って部屋を出て玄関へ向かった。

玄関扉の前には既に親父殿とお袋が待機している。

お袋なんて、貴族が着るようなちゃんとしたドレスを着てるのに、なんでいつも俺より行動が早いんだろうか?


「うむ。丁度、車寄せに馬車が到着したようだ」

「ロック~、シェイナちゃんがせっかく遊びに来てくれたんだから、やさしくするのよ~?」「お袋、俺はたいていの場合は誰にでも優しくしてますよね?」

「それじゃぁだ~め。シェイナちゃんは可愛いんだから特別扱いで優しくしなさ~い。いいわね~?」

「わかりましたけど、今以上に優しくってどうすればいいんですかね?」

「それはね~、ロックも男の子なんだから自分で考える事だと思うわよ~」

「はぁ、まぁ、なんとかやってみますよ」


そんなやり取りをしていると、玄関の扉が開いた。


「ディーン殿、お招きいただきありがとうございます。いや~、昨日の晩からシェイナがロック君に会うのを楽しみにしてましてねぇ~。はっはっはっ」

「こちらこそようこそおいでいただいた。本来であればこちらが参上すべきところ、ご足労いただきありがたいと思っている。ロック!シェイナ嬢を居間に案内せよ」

「こんにちわシェイナちゃん。父上たちはお話があるそうだから、僕たちは居間で遊ぼうよ」

「ろっくくん、こんにちは。おとうさまってばいつもおはなしばっかりしててシェイナとはあんまりあそんでくれないのよ?だからろっくくんとあそぶのたのしみだったの!なにしてあそぶの?」

「居間にいってから一緒に考えようよ。あと、僕からプレゼントもあるんだ」

「ほんとに!?シェイナ、ぷれぜんとってわくわくするからとってもだいすきなの!」

「じゃ、行こう!」

「うん!」


そういうと、俺はシェイナちゃんと手をつないで居間に向かった。

後ろからはお袋がニコニコしながらついてきてくれた。


幼稚園くらいまでは男女関係なく一緒に遊んでたような気がします。

親どうしの交友もあるんでしょうが、女の子の家にも遊びに行ってました。

小学校以降は学生時代のうちに女の子の家に遊びに行く機会はほぼ皆無だったので、貴重な体験をしてたと後から気が付きましたけどね。


次回の更新は8月11日(月)10:00を予定しています。

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