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Sound of Magic ~カエルが鳴くから歌いましょっ!~  作者: ブルー・タン
第2章 3歳児お披露目珍道中編
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82 やっぱりプロは違う

お腹もいっぱいになったし、サジックスを探すと、楽師の人たちが演奏してる横に2台、椅子とセットで配置してあった。

親父殿の話だと、俺が演奏の準備すれば楽師さん達は適当に切り上げてくれるだろうって話だったな。

って言っても、調律とかあるわけじゃないから、椅子に座るだけなんだけど。

いきなり椅子に座ったら楽師さん達も対応に困るだろうから、お辞儀してから座ることにした。

楽師の人たちが演奏している楽器は弦楽器と笛で構成されている。

弦楽器は前の世界で言うところの二胡のような感じで、縦に構えて指で音程を調整しながら弓で演奏したり、弦を下から抑える小さな大を上下させながら指ではじいたりしている。

ギターのネックみたいにフレットが有るわけじゃないみたいだし、音程を作るのはその人の感覚によるところが大きいのかな?

笛は軸を前後させると音程が変わる構造で、前の世界の記憶だと子供のオモチャにそんなのがあった気がするけど、あれを立派にした感じ。ちょっとトロンボーンにも似てる感じか?

聞いてると何だか音が低音から高音まで滞りなく移動したりするし、前の世界とは音楽に対する感覚が違うんだろうけど。

見てて飽きないけど、俺も子供たちのために演奏することになってるし、アイナ姫様も誘っちゃったから、さっさと席に着く。

緩やかな演奏の中、5人いる楽師さん達の中のリーダーっぽいオジサンがこちらに視線を向け、好奇心の強そうな表情をした後にてニッコリ笑って頷いてくれた。

リーダーっぽいオジサンの方を見てれば演奏を始めていいタイミングを合図してくれそうな雰囲気だ。

しばらくそっちを見てると、目配せしながら演奏が収束していき、オジサンがまた頷いた。

まずは、キラキラ星からやろうかな。

子ども達の中でも目ざとい子やお腹がいっぱいになった子達数人が、周りに集まってきていてワクワクした表情でこっちを見てくる。

ネタは俺しかわかんないだろうけど、楽しい歌の時間の始まりは……


“キーン コーン カーン コーン”

“キーン コーン カーン コーン”


……一音間違えたけど、そんなの知ってる人はこの世界にはいないから問題ない。

でも、これってビック・ベンから流れるチャイムが由来なんだよな。

グレートブリテンの方々、間違って伝えてごめんなさい。


他の楽器とは違う特徴的な、そして謁見の間での楽しい記憶と直結する音を耳にして、子ども達が一斉にこっちに視線を向け、どんどん集まってきた。

だいたい集まったところで、もう一回、今回は間違えないよう気を付けながらチャイムをならす。


「じゃ、始めるね~」


そういうと、俺はキラキラ星を演奏し始める。

シェイナちゃんたちを筆頭に、だいたい歌詞を覚えてる子ども達が一斉に歌い始めた。

歌詞を覚えてない子も、だいたい音程に合わせて声を出してる。

隣では楽師さん達がビックリしてるが、音魔法にびっくりしてるのか子供たちが上手に歌い始めたのにびっくりしたのかはわからない。

晩餐会を楽しんでる子ども達の親も、一様にこちらに視線を向けて微笑んでる。

キラキラ星の2番を始めたところで、楽師の人達が曲に合わせて演奏し始めた。

さすがは王城で働く楽師の人たちだけあって、1回聞いただけで上手に音を併せて演奏を重ねてきて、そこに子供たちの歌声が合わさり、会場全体が非常に楽しげな空気に包まれた。

何回か同じ曲を演奏したところで、リーダーの人に目配せしてキラキラ星の演奏を終える。


「ねぇ、もうおわり?」

「えぇ……」

「つぎはかえる?」

「かえる!?」

「「「「かえる!」」」」

「「「「か・え・る!」」」」

「「「「か・え・る!」」」」


おーう。

前の世界のお父さんの帰巣行動、かえるコールですか。

これが前の世界のアーティストだったらうれし涙で目の前が煙るレベルかもしれんが、俺は残念ながらアーティストではない。

俺はいそいそと隣の椅子に座り直し、蛙の音でチャイムを鳴らす。


“キュロロロ キュロロロ キュロロロ キュロロロ~~~”

“キュロロロ キュロロロ キュロロロ キュロロロ~~~”


どうやら、子ども達もこれが始まりの合図なんだと何となく理解してくれたのか、音が鳴った瞬間にパッとかえるコールを辞めた。

楽師さん達が、今度こそ音魔法の音にビックリして驚愕の表情を浮かべてこっちを凝視してるが、この世界の大人の反応としてはもうお約束だ。

はっはっはっ!そんな期待に満ちた眼差しで俺を見つめないでくれたまえよ。

ビビりの俺でも期待に答えたくなっちゃうじゃないか。


「蛙の歌を始めるね~」


さぁ!蛙の歌を聞け~ぇ!


学校のチャイムについて調べたら、ウェストミンスター宮殿に付属する時計塔【ビック・ベン】が奏でるメロディーだそうですね。

作者が中学の頃には既に機械化されて自動で流れていたようですが、放送委員をしてた時に、放送室でカバーをかぶった四本しかない鉄琴を叩きまくって遊び、先生にメチャクチャ怒られたことがあります。

学校にもよるでしょうが、あの鉄琴は何時ごろまで使ってたものなんでしょうかね?


次回の更新は7月31日(木)10:00を予定しています。

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