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Sound of Magic ~カエルが鳴くから歌いましょっ!~  作者: ブルー・タン
第2章 3歳児お披露目珍道中編
7/124

07 あなたのために(改稿版)

昨日、書き溜め分を毎日10時にアップするように設定して見ました。


6/7 誤字の報告をいただきましたので修文しました。

6/14 口調などを含め一部改稿しました。

9/23 表現や口調・矛盾点等について改稿いたしました。

今朝、お袋が目の下に隈をつくったまま、ルーナを抱いて食堂へ入ってきた。

美人は隈が出来ても美人だとは思うが、肌も荒れ気味だし髪の毛はほつれちゃってるし、ちょっぴり薄幸そうな残念美人系になりかけてる。

原因はルーナの夜泣き。

日中は良い子にしてるんだが、昼寝をしてることが多いせいなのか、夕方になるとグズりはじめるし、一回寝ても夜中に目を覚ましてしまい夜泣きする。

昨夜も夜中に泣き始めて明け方近くまで抱っこしてあやしてたようだ。

夜中に目を覚ましてもお袋が子守唄を歌うと機嫌が良くなりウトウトと寝始めるが、子守唄をやめた瞬間に火がついたようにギャン泣きする、とフーに教えてもらった。


これは俺の出番に違いない。

夜中、眠い目をこすりながらグズったふりをしてお袋の部屋の前へ。

守衛が俺を見つけてどうしたのか確認してきたので、お袋に会いたいと伝えるとノックして中に声をかけてから戸をあけてくれた。

部屋ではお袋がルーナを抱いて、子守唄を歌いながらあやしてた。

ルーナ本人は子守唄が聞こえてるおかげで、今は機嫌が良いみたいだ。


「あら~?ロック、こんな時間にどうしたの~?」

「……今日は“ズズッ”一緒に寝たいです……」


鼻をすすりながら上目使いでお願いしてみる。

これで目を潤ませてればさらに効果的なんだがな。

前の世界では意図的に涙を出せる奴らが結構いたがあれってどうやればいいかわかんないな。


「でもね~、夜はルーナが泣くから一緒にいると眠れないと思うわよ~?」

「……だいじょうぶです……」


ベソベソした振りをしてみるが、前の世界でも役者の経験なんて全く無いから上手く涙が出ないなぁ。

こんなやり方で騙されてくれるかしら?


「ロックがこんなに甘えてくるなんて珍しいわね~。良いわ~。ルーナの泣き声がうるさくて眠れなかったら自分の部屋に戻るのよ~?」

「……わがりまじだ……」

「じゃあ、ベッドに入りなさ~い。子守唄をうたってあげる~」


OKOK俺の作戦通りに事は進んでいるぞ。

まず、お袋の子守唄の音声をサンプリン・・・な、なんだこの歌声はっ!?

天使!?

これが世に言う天使の歌声なのか!?

ルーナが生まれる前に一緒に寝てた時も聞かせてもらっていたはずだが、歌い始めの所で寝落ちしてたし、録音を使い切って寝た体で気絶してたからこんなにじっくり聞くのは初めてだ!

透明感のある声!美しいビブラート!完璧なリズムと音階!

まるで大いなる愛に包み込まれるような安心感!

これこそが慈母の愛なのかっ!


……はっ!?

いかんいかん。

あまりの歌声の美しさに意識がこの現実世界とは全く違う、今まで人類が到達したことの無い新たな次元に飛んでしまった。

まったく、おれはどっかの評論家か。

まずはやるべきことをやらなければ。

子守唄が歌いだしに戻ったところで、意識が別次元への旅に出発しようとするのに必死に抵抗しながら音声を録音開始。

全体で2分程の歌だが、特に歌詞は無く、最初から最後までハミングの曲だ。

どうにかこうにか曲全体を録音し、また歌いだしに戻ったところで俺は大いなる愛に包まれながら意識を別次元への旅へと送り出した。


 ・

 ・

 ・


突然の大音量での泣き声で俺は一気に目を覚ました。

鳴き声の原因はもちろんルーナ。


「あら~、ロック目が覚めちゃったの~?ごめんなさいね~。今、ルーナを寝かせるから」

そう言って抱き上げると、さっきの子守唄をうたい始めようとする。

「母上。これからおきる事は父上にも内緒にしておいてくださいね」

「え?」


俺はお袋にそう切り出すと、さっき録音した音声をループ再生設定にして流し始めた。

どこからともなく流れ始めるお袋の子守唄。

思惑通り録音した音声でもルーナは泣き止んだ。

抱っこされながらの子守唄じゃないと寝ないんじゃないかと言う危惧もあったが、どうやら作戦は成功だ。


「僕の魔法です。このまま朝まで歌は流れ続けるので一緒に寝ましょう」


そういうと、俺はいそいそとお袋のベッドにもぐりこんだ。


「これはどういう魔法なの~?」

「音を溜めておいて、自分の意思で自由に出せる魔法です。魔力は溜めるときにいっぱい使って出すときはほとんど使わないので、寝たままでも音を出し続けられます。今日からは一緒の部屋で歌を流しながら寝ますから、母上もゆっくり寝ましょう?」


俺が説明し終わるとお袋はいきなり俺に飛びついてギュ~ッと抱きしめてきた。


「なんて優しい子なの~。おかげで今夜はぐっすり眠れるわ~。でも、なんで内緒なの~?」

「僕もまだ使い方が良く解ってないんです。父上に話をするのはもうちょっと色々調べて、使い方がわかってからにしたいのです」

「わかったわ~。ほかには知ってる人はいるの?」

「いいえ。ちゃんと魔法について説明したのは母上が初めてです」

「あら~、ロックの秘密を最初に話してもらえるなんて~、とっても名誉なことね~。あなたの魔法が何なのかを心配して一生懸命調べてくれてる父上には悪いけど~。そういう事だったら~、しばらくは二人の秘密にしときましょう~」


・・・親父とはあんまりしゃべったことが無かったけど、俺の事そんなに心配してくれてたのか。

何だか秘密にしてるのも申し訳ない気がするな。


「さぁ~、三人でゆっくり寝ましょ~」


俺は自分が再生している子守唄に包まれて再び意識を幸せの地に送り出した。


 ・

 ・

 ・


翌朝。

お袋は俺を起こして開口一番。

「何年か前のゴースト騒ぎって~、貴方が原因じゃないの~?」

といたずらっぽい笑顔とともに言われた。


当分、ばらす予定はなかったんですけどねぇ・・・

なんでこうなったんだ?


次の話は明日の10時にアップします。

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