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Sound of Magic ~カエルが鳴くから歌いましょっ!~  作者: ブルー・タン
第2章 3歳児お披露目珍道中編
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68 ヌイグルミの末路

「3歳の祝いとして披露目することを許す。」

「はっ!わが息子、名をロック。ライト家の第四子として誕生。属性については光属性ではないため継承権は無し。3歳児としては知能は高く将来有望」


お、親父殿。

短いよ、もうちょっと引き伸ばしてくれよ。


「ほう。黒目・黒髪であるし闇属性ならば王女に婿入りもあるな」

「残念ながら闇属性ではありません。属性については現在調査中です」


俺の属性については一応はぼやかしてくれたな。

ま、こんな大人数の前で特殊な属性だって言っちゃうのもまずいか?

でも、献上品見せたらばれないかね?


「なるほど。属性がわかったら教えてくれるのだろうな?」

「御意」


御意ってリアルで初めて聞いたわ。

簡潔な返事で親父殿らしいと言えばらしい。


「献上品の用意があります。紹介はミアスから」

「ほう?ミアスから紹介してくれるのか。嫁いでから王城に戻るのも久方ぶりだの。では紹介してくれ」


・・・来た!


「お父様、お久しぶりです~。謁見の間でこちら側からお父様を見るのは初めてだわ~。まず一つ目から紹介するわ~」

「一つ目?複数あるのか?」

「うふふ。お楽しみは後に取っておいた方がいいでしょ~。フー、一つ目の箱を出して」


ヌイグルミの紹介から始めるんだな。

そりゃそうか。

演奏始めちゃったら時間取るしな。


「これ、蛙の形したお人形なの~。【ヌイグルミ】って言うのよ~。妹たちの人数分用意したから~」

「ほう」

「でね?これに魔力を通すと・・・」


“キュロロロロ キュロロロロ キュロロロロ”


「ほら~、可愛い声で鳴くのよ~。素敵でしょ~?」


あ、王様の目玉が転げ落ちそうなほどビックリしてる。

どうも大人はみんな、音魔法を見ると似たような反応を示すな。


「そんな魔道具は初めて見たのう。どんな効果があるのだ?」

「可愛い声で鳴いて~、とっても可愛いの~。アイナ、こっちいらっしゃい~」


王女様達が固まって座ってる席から6歳くらいの女の子がトコトコとこっちに向かってきた。

しかし、さっきからお袋は王様の娘とはいえ、公式な式典中に自由だなっ!


「姉様!お久しぶりです」

「はい、お久しぶり~。このピンクの蛙、可愛いと思わない?」

「可愛いです!私たちに下さるのでしょう?」

「ええ~。お父様~、みんなに先に渡してあげてもいい?」

「かまわんよ。」


王様の許可を取るとお袋はアイナ姫様に直接ヌイグルミを手渡した。


“キュロロロロ キュロロロロ キュロロロロ”


「アイナ、可愛いかね?」


“キュロロロロ キュロロロロ キュロロロロ”

“キュロロロロ キュロロロロ キュロロロロ”


アイナ姫様、王様のお言葉を無視するほど夢中です。


「アイナはとっても気に入ってくれたみたいね~。アイナ~?箱ごと持って行って皆にも渡してあげて~」

「うん!」


自分の分はしっかり手に握ったまま、箱を受け取るとトテトテと自分の席あたりに戻って行って姉や妹に配り始めた。


“キュロロロロ キュロロロロ キュロロロロ”

“キュロロロロ キュロロロロ キュロロロロ”

“キュロロロロ キュロロロロ キュロロロロ”

“キュロロロロ キュロロロロ キュロロロロ”

“キュロロロロ キュロロロロ キュロロロロ”

“キュロロロロ キュロロロロ キュロロロロ”


お姫様方、今、式典中です。

蛙の音声を鳴らしまくるのはよろしくないと思います。

王子様方、今、式典中です。

自分たちの分が無いからって不機嫌顔はよろしくないと思います。


子供におもちゃを与えたらその場で遊び始めるのは鉄板ですよね。


次回の更新は6月26日(木)10:00を予定しています。

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