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Sound of Magic ~カエルが鳴くから歌いましょっ!~  作者: ブルー・タン
第2章 3歳児お披露目珍道中編
54/124

54 豚が嫌いになりそうだ

6/29・7/12 誤字等について修文しました。

俺はちょっと涙目のまま、割れた木管から魔石を一個ずつ丁寧に抜き出していた。


「ロック君、すまない。あまりにも唐突なことで動けなかったんだ。」

「うむ。ロック、すまん。」

「ロック様、申し訳ありません。お茶の用意をしていたばっかりに・・・」


なんか、みんなが俺に謝って来るけど、謝るべき人間はちょっと離れた木陰で転がってる。

その横でオレンジの髪の毛のムルスイの子供がこっちを涙目で睨んでる。

悪いのがあの豚でも、自分の親がボコボコにされたらそりゃ恨みがましい目でこっちを見るわな。

睨んでる相手が、ぼこにした親父殿じゃなく、自分が腕力で勝てそうな俺なのがちょっと気になるけど。

とは言え相手は3歳児だし、トラウマとかになって変に性格が歪んだりしなきゃいいけど。


「ディーン殿、今回の件については私からも王に証言しよう。内容はそうだな。子供に向かって暴力を振るわれそうになったから、守るためにうっかり殴ってしまうのを横で目撃しました。くらいでどうだい?」

「うむ。すまない。」

「さて、ロック君。さっきから魔石を丁寧に抜いてるけど、その楽器の木の部分は割れてしまってもどうにかなるのかい?」

「・・・グズッ。木管の太さなどを調整しないといけませんが、魔石と漏斗の部分さえ無事ならそれほど時間はかからないと思います。幸い、もう一つの方が無事なので、職人さんに同じ位置に穴をあけてもらえばいいですし。」


よかった、魔石は全部無事だ。

魔石って材質的にはガラスっぽい感じで意外ともろいんだよな。


「そうか。良くは無いけど、最悪の事態ではないってことだね?では、王都にうちの屋敷に出入りしている商人が拠点を構えているから、腕の良い職人を紹介させよう。楽器職人でいいんだよね?」

「楽器職人に頼んだら高くついてしまうのでは?家具職人に乾燥済みのヒビが無い丸太を加工してもらえばできます。」

「そうか。では一流の家具職人を紹介させよう。・・・シェイナ、泣いてるのかい?」

「だって、だって、ろっくくんがないてるとかなしんだもん。」


それを聞いて、幼児にまで心配をかけてることに気が付いた。

でも、天使はやっぱりいつでも天使ですね。


「あの・・・。シェード様、ライト様?」

「うむ。モックロー殿か。お恥ずかしいところをお見せした。どうにもムルスイとは折り合いがつかなくてな。」

「ムルスイ様と折り合いがつく人の方が少ないでしょう。先代は素晴らしい方だったんですが・・・。どこで道を間違えたのやら。」


茶色い髪の毛が大分上の方に後退した50代のおっさんと、翡翠色の髪の毛の将来イケメンを連れて声をかけてきた。

ずいぶん年齢が行ってからの子供なのか?


「ところでライト様、その少年は特殊属性なので?」

「うむ。ロックと言う。本人は自分の魔法を“音魔法”と呼んでるがな。はたして新しい属性として定着するかどうかは世代を重ねてみないと解らんな。」


あ、特殊属性って俺みたいに今までに存在しない属性の事な。

ごく稀に、非常にレアな属性や、全く今まで存在しない属性を持って生まれる子供がいるらしい。


「そうですか・・・。うちにも久しぶりに樹属性の子が生まれたので、インベントリをいただけると思うんですが・・・。侯爵家が居る上に、特殊属性の子とは・・・今回はなかなか競争率が高そうですね・・・。」


そう言えば、公・侯爵家は何もなくともインベントリが付与されるんだっけか?

ってことは、今回はシェイナちゃんは確定で、俺もほぼ確定って事か。

競争率って言ってるし、一回のお披露目で付与するインベントリの数が決まってるのかもしれないな。

後で親父殿に確認してみよう。

しかし、このモックローって人、何か会話に変な間の入る人だな。



作者も髪の毛は学生時代からかなり将来性の無い状態でした。

むしろ、就職して実家を出たら、親がしょっちゅう育毛剤等を買ってくるプレッシャーから解放されたのか、社会人になって以降は少し盛り返している気がします。

ただ、アデ○ンスやマ○プ等による過剰な宣伝が、ハゲが悪いものと言う世相を加速させている気がします。

被害妄想ですかね?


次は6月4日に更新します。

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