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Sound of Magic ~カエルが鳴くから歌いましょっ!~  作者: ブルー・タン
第2章 3歳児お披露目珍道中編
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45 小市民的金銭感覚

うん。たった一泊するための部屋が4LDとかありえないと思う。

およそ20畳ほどのリビング・ダイニング、それぞれ10畳ほどの寝室が2部屋に書斎にクローゼット、それとは別に入り口付近に使用人室1室ですか。

窓からの景色は木々の向こうに街並みがあり、その向こうに川が見える。

伯爵家だけにうちは3階角部屋を使わせてもらうことになってた。

ちなみに、この階はこの部屋より上のクラスが2部屋と同クラスの部屋が3部屋しか無いって。

前の世界の俺は、太守が用意してくれた部屋の内の寝室一部屋以下のサイズのアパートの家賃を払うためのサラリーを得るために精神を削っていたわけだが。

家具の類はさすがにライト家には劣るが、全体的に高級感あふれる部屋だ。


「この部屋に泊まるために一泊いくらかかってるんですか?」

「うむ。王国の直轄運営であるため、国の主催する式典や業務、他国の賓客が使用する場合等は王国持ちで費用は掛からないな。私は個人的に使用したことは無いが、一回の使用につき金貨10枚と聞いたことがある。」

「え?一泊ですか?」

「いや、最大半月まで金額は変わらないそうだ。」


平民が8年以上遊んで暮らせる金額ですか。

正にスーパーセレブ的な人たちのための宿泊施設だ。

まぁ、前にヌイグルミの代金の話が出たときに、貴族の価値観だと金貨3枚で安いって話だったし、前の世界の小市民的な金銭感覚を引きずってる俺とはまさに世界が違うのだろう。


「私はこの部屋に泊まるのはこれで2回目よ~。最初はライト家に輿入れする時ね。」


あ、もちろん先に部屋に入ってたお袋も一緒に居ますよ?

あと、フーとかホーも使用人室に居ます。


「太守からホールの使用許可をもらってる。昼食後に早速練習を開始しようと思うが?」

「そうね~。三人での練習は本当に楽しいわよね~。王にお披露目する時が本当に楽しみよ~。」


俺はプレッシャーで胃に穴が開きそうですけどね。


“コンコン”


「ディーン様、食事が参りました。」

「うむ。相変わらずムバルは仕事が早いな。ダイニングに持ってきてくれるよう言ってくれ。」

「了解しました。」


別館の使用人であろう女性達がしずしずとワゴンで食事を運び込み、部屋いっぱいに旨そうな香りが漂ってきた。

船内での食事も、あの嫌味魔神の異母兄弟殿がいないから非常においしくいただいたが、何分あまり変わり映えがしないメニューだった。

ここの食事はおそらく貴族が納得するような味なんだろうから、かなり期待が持てる。

と言うか、香りが漂い始めた段階で俺の腹の虫が泣き止まないのをどうにかしてくれ。


「普段から食の細いお前がそんなだとは、よっぽど腹が減ってたんだな。」

「王都へ向かい始めてから、ロックがいっぱい食べてくれて私もうれしいわ~。」

「そうですね、出発してからは食事がとてもおいしいので、思わずいっぱい食べてしまいます。」


いえ、普段から意外と食堂に行くまでは腹が減ってるんですよ?

あいつの嫌味を聞いてると、ナイーブでセンシティブな俺としては前の世界の職場の事とか思い出して非常に食欲が減退するんだよね。

あと、フーとかホーとか使用人の目があるから、今は丁寧な言い回しにシフト中ね。


「父上、先ほどの話についてはどこまで話して問題ないのでしょうか?」

「うむ。ミアスは問題ないが、それ以外の者についてはある程度検討してあるので、私から話しておこう。話してほしくない相手はいるか?」

「えーっと、継母と異母兄達とその周りには話してほしくないです。」

「うむ。問題ない。そのあたりの者に話す予定はもとより無い。」


さすが、出来る親父殿は分かってらっしゃる。


作者はもちろんスイートルームに宿泊なんてしたことはないですが、仕事の都合で一回だけ日本のとあるホテルのスペシャルスイートを観る機会がありました。

ホテルなのにキッチンとかついてり、会議スペースがあったりと、スペシャルスイートに泊まる様な人は、ホテルですらゆっくりできないのだなと思ったものです。


明日も10時に投稿されます。

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