04 うーうーまーまー(改稿版)
4月12日にタイトルの数字を【4】から【04】に変更しました。
6/14 口調などを含め一部改稿しました。
9/23 表現や口調・矛盾点等について改稿いたしました。
たぶんだが、今の俺は1歳くらいだと思う。
最近はかなり日中に起きてられるようになってきたし、夜中に腹が減って目を覚ますことも少なくなってきた。
ちょっと前までは、考え事してる途中に寝落ちするし、あまりの空腹に夜中に目を覚ましたりと睡眠が安定しなかったせいで、自分の能力について検証する余裕があまりなかった。
断じて美少女と言っても過言では無い母親のおっぱいを吸うので手一杯になってたわけではない。
しょっちゅう腹が減るし、ネコミミの人を中心に常に抱っこされてし、泣く変わりに運動しなきゃいけないし、そうかと思えばすぐに寝落ちるしで、本当に自分の能力について検証する余裕が無かったのだ。
だって、抱っこされてる時にいきなりファイヤーボールとかかましたらビックリされるかもしれないし、何よりネコミミの人の毛皮が焦げちゃって肌触りが変わったりしたら大惨事だろ?
・・・まぁ、結果的にはそんな心配は必要なかったわけだが。
最初に自分の能力がわかったのは生まれてから半年くらい経って、一回の起きてる時間生まれたころよりかなり増えてきてからだった。
そのころの俺は周りの人達が何言ってるかわからない状態にかなりイライラしており、出来るだけ早く会話を覚えたいと思ってた。
教育の一環なのか、単に俺が喜ぶ顔が見たいだけだったのかはわからないが、ネコミミの人が俺に絵本の読み聞かせをしてくれてる時に、絵本と言葉を聞き比べながら何となく『前に持ってたICレコーダーで録音できれば後から何度も聞けるのにな〜』とか思ったら、その直後にプツッと意識が途絶えた。
意識が戻ったらベビーベッドに居た。
寝落ちするようなトローンと意識がなくなる感じではなく、本当にいきなり意識がなくなった事に俺はかなりビビった。
だが、言葉では上手く説明できないが、意識の中に録音した音声があるのが何となくわかった。
これも何となくその音声を再生するようイメージしてみたら、読み聞かせ中の音声がいきなり流れ出したのであわててストップと意識したら音声が止まった。
これはもしや?と思い、今回は意識的に録音を使ってみようと思った瞬間にまたしても俺の意識はスイッチを切ったように飛んだ。
その後、俺は自分の能力が判明したことに夢中になり、その後は録音と気絶の繰り返しをした。
余にも頻繁に起きたり寝たりを繰り返したせいで、周りの人たちが何かの病気じゃないかと心配しだし、上を下への大騒ぎでベッドに押し込まれ、ネコミミの人が医者を引いて部屋に駆け込んできて、呼吸を荒げた年寄の医者に色々と診察をされた挙句、得も言われぬ珍妙な味の薬を口に押し込まれた。
ただ、その日は自分の能力で何が出来るかとかに考えを巡らせるのに夢中だったため、ベッドに押し込まれたのはむしろ好都合だったけど。
翌日は、録音時間の確認。
昨日の事から、読み聞かせ中等の周りに人がいる時に気絶すると大騒ぎになることは判明した。
なので、今後はギリギリまで録音して、録音時間を使い切るのはおっぱいを飲み終わった後等、俺が寝てしまっても問題ないタイミグみと決めた。
そもそも俺は肉体的には赤ちゃんだから1日に何度も寝るし、また大騒ぎにならないようかなり気を付けて確認作業等をしたのでその後は大騒ぎになるようなことは無かった。
それからはタイミングを見計らいながら半年ほどおんなじことを繰り返してきたおかげで、感覚的に録音時間が切れるタイミングも解るようになってきた。
色々と試しながら自分が出来ることもちょっとずつ確認した。
まずは、音声の再生だが、音声が俺だけに聞けるバージョンと周りに居る人にも聞こえるバージョンの2種類あることがわかった。
自分だけ聞けるバージョンはとりあえずヘッドホンと呼んで色々試しているが、このバージョンは自分の耳に音声が聞こえてくるわけではなく、頭の中で音声を認識している感覚だ。
これが噂の脳内再生。音声と一緒に映像も録画・再生できればパーフェクトだったのに。
周りの人にも聞こえるバージョンは、再生したときにどこから音声が出ているのか、いまだに判然としない。
音声を再生したときに、俺の体が振動してるわけでも、俺の体から直接音がなってるわけでもないから、俺自身がスピーカー状態ってわけでもないようで、何となく俺を中心に再生されている感じだ。
これが魔法クオリティーか。
ただ、音声の発生源については、練習を重ねたら、自分で位置を指定できるようになった。
距離はせいぜい自分から1mでそれほど離れた場所から音を発生させられるわけじゃないが、これはかなり面白い能力だった。
すこし前に面白半分で、ハイハイで扉の近くまで移動したり、抱っこされて別の部屋に移動してる最中に、ノックの音を扉の向こう側から発生させる。
という悪戯をいろんな場所で繰り返していたら、使用人を中心に屋敷中で幽霊騒動になってしまい、聖職者を呼ぶほどの大騒ぎになってしまった。
呼ばれた聖職者は屋敷中を調べた上で、この屋敷にはゴースト等のアンデッドの類は存在しないと断言していたにも関わらず、屋敷に仕えるメイド達が怯えてしまっていたため、かなり高額なお布施を聖職者に支払って屋敷全体を清めてもらっていた。
俺はこころの中でごめんと謝っておいた。まだしゃべれないしね。