24 竜との邂逅
6/7 誤字の報告をいただきましたので修文しました。
ガツン ガツン
親父が部屋を飛び出してからしばらくたつと、大きな音がして船が揺らいで止まった。
ガオーーーーーーーン!『確認したいことがあるだけだ。攻撃する気はないから剣を納めてくれないか?』
「うわっ!」
「ロック様。どうかなさいましたか!?」
頭痛て~!今、頭に直接言葉が響いたぞ!?
例えるなら、脳内再生を最大音量にして強制的に聞かされた感じか?
「フー?今の声、聞こえなかったの?」
「声、ですか?竜の鳴き声は聞こえましたけど?」
「フー!急いで父上の所に行って!竜に戦う意思はないって!」
「本当ですか?」
「そう聞こえたんだ。こっちにけが人が出る前に!僕も後から行くから!」
「了解しました。ロック様を信用しますが、念のため安全が確認されるまでは出てこないでください。」
そういうと、フーは部屋から駆け出す。
現状、部屋にはお袋と二人っきりにだ。
「ロック、本当に聞こえたの?私には何にも聞こえなかったわよ?」
「記録した音については、外に出さないで頭の中だけで聞くことが出来るんですが、それを大音量で聞かされた感じですね。」
「ふーん?ロックの魔法が関係してるのかしら?」
ガオーーーーーーーン!『剣を納めてくれたか。竜の声を聴く者がいるようだな。ちょっと出てきてくれないか?』
「いだだだだだだだだだっ!もっと声を抑えてくれっ!」
「ロック!大丈夫なの!?」
「竜が呼んでます。また話しかけられる前に声を小さくしてもらわないと頭が持ちません。甲板に連れてってください。」
「わかったわ!ホー!」
扉が開かれてホー(フーの旦那さん)が入ってくるのが見えた。
俺は頭痛がひどくて目を開けるのも一苦労な状態だ。
「はい、奥様」
「ロックを抱えて甲板に出て。大至急よ!」
「竜がいるんですよ!?」
「連れてかないと、ロックが死んじゃう!」
「!?了解しました。」
ホーが俺を小脇に抱えて狭い船内の廊下を疾走する。
「ホー、甲板に出たら竜に向かってしゃべらないよう言ってくれ。」
「?わかりました。体は大丈夫ですか?」
「・・・ものすごく頭が痛い・・・」
船員のほとんどは戦闘準備を終えて甲板にいるようで、誰ともすれ違わずに甲板に到着する。
「水竜!しゃべるな!」
ホーの指示に反応が無いってことはしゃべってないってことかな?
とりあえず話をするにも声が大きすぎて話にならないので、こっちの要望を聞いてもらおう。
「声が大きすぎるので、頭がひどく痛いです。あれが普通の声なら、ささやき声でも聞こえてますから、極力小さな声で話してください。」
グルルルルル『お、お前が竜の声を聞くものか。竜と話のできる人間と会うのも何千年ぶりで加減を忘れていた。すまないな。』
「わかりましたが、ちょっとダメージが大きすぎたようです。意識を保ってられそうにないので、僕が起きたら話をしましょう。それまでこの船に危害を加えないでください・・・」
グルゥ『そ、そんなにか。本当にすまなかった。』
と言う声を最後に俺は意識を手放した。
明日も10時に投稿されます。




