23 結成!親子でトリオ
6/7 誤字の報告をいただきましたので修文しました。
6/15 誤字の報告をいただきましたので修文しました。
その日の夕食後からサジックス(仮)の練習が始まったが、旅程も半分近く消化し残り時間が少ないせいで、運指を含む演奏方法まで練習してる時間は無いと判断した。
結局は親父と話し合った結果、俺が鉄琴の音の低い部分でベース的にリズムを取り、親父がメロディーを演奏することになった。
「私だけ仲間外れにしないでよ〜。」
「う〜む。謁見の間で一旦演奏を行い、許可を取って夜の披露パーティーに借り受けて再度演奏を行うことも可能か。演目はライトの知っている曲目がよかろう。」
わかりました。家の親父は「う」と「む」だけで感情表現する生物ということですね?
「では、母上が歌ってくださった子守唄が良いかと思います。」
「え?」
「あの歌はまるでなにか優しい物に包まれるような感じがして、とても素敵な歌だと思います。」
「え〜。あれは適当にリズムと音程を付けてただけで、別に歌と言うわけではないから恥ずかしいわ〜。」
・・・天才がもう一人いたよ。俺の親、両方とも天才杉ワロス。
親の出来が良すぎて、俺、将来にプレッシャーを感じちゃうわ〜。
「うむ。たまにミアスの部屋から聞こえてくる歌か。確かにあれは素晴らしい。ロックの希望でもあるし、あの曲にいたそう。」
「き、聞いてたの!?」
「たまに部屋の前を通るときに聞こえてきたものでな。心地よい声だったから何回か一曲通して聞かせてもらったことがある。全員知っている曲もほかになかろうから調度良い。」
「〜〜〜っ!?」
お袋、顔真っ赤にしてイヤンイヤンってしてる。
親父、にこやか(?)に微笑ましく見つめてる。
息子としては親が仲良くしてるのを見て楽しそうな演技するのも大変なんすよ?
と、言うことでさっさと練習を開始してもらおう。
「では早速始めましょう。父上、どうすればいいでしょうか?」
「う、うむ。」
「そ、そうね。」
「ロックが演奏するのはリズムにあたる部分だから、非常に重要だ。まずはお前の体のサイズではサジックスを抱えるのは難しいかもしれないから、停泊地で簡易なもので良いから固定台を造らせよう。それまでは、フー。お前が支えなさい。」
「かしこまりました。」
え?なんでフーがいるのかって?
舟の中は狭いし、通常業務も少ないから護衛がメインでくっついて歩いてるんだ。
まぁ、この船ライト家が王城で使用する専用の光属性の魔石を運搬する際に使用する船舶で、護衛艦も含めて全部ライト家の所有だって。
他にも、外洋からエントシー経由で王都に来る賓客なんかは、この船を迎賓送迎用として使用するって言うし、かなり由緒正しい船らしい。
何が言いたいかって言うと、そんな厳重な船に乗ってて護衛が必要なこともほとんどないけど、やっぱり対外的に護衛がついてるぞって見せるのも大事ってこと。
ま、なんか書類仕事とかしてる時以外は俺のおはようからお休みまで俺の近くにいますよ。
「では、さっそくはじめようか。初めての演奏であるし、使う音は左手と右手で2音ずつにして、魔力の細かい操作が必要ないように、魔力を込めるのは両方の手の人差し指に込め、触ったら音がなり、離したら音が消えるように魔力は込めたまま指の操作だけで演奏するのがよかろう。」
「・・・こう・・・ですか?」
「ふむ。なかなか上手いな。では私がやるように順番に魔石を触っていき、音とリズムを合わせるのだ。」
“キュッ キュッ キュロロ キュッ キュロロ〜”
“キンッ キンッ キーーン キンッ キーーーン”
「・・・くっ、難しいです。」
「いや、なかなか上手だ。次はこうだ。」
“キュキュキュッ キュッ キュッ キュッ キュキュキュッ”
“キ キ キンッ キンッ キンッ キンッ キ キ キンッ”
しばらく、最初のリズムと二つ目のリズムを交互に練習していた。普段やらない魔力を込めることと同時に別の事をやるのがこんなにも難しい物だとは全く思わなかった。
最初の演奏はしょせん一本指打法で、順番に魔石を触っていただけだからな。
汗が吹き出し、かなり披露し始めたころ、それは起こった。
カンッ カンッ カンッ カンッ カンッ
「警報!?大型モンスターでも現れたか!?」
あ、良くある木板をたたく音だなこれ。録音、録音。
『水竜が出たぞ〜。』
『回避しろっ!面舵いっぱい〜!』
『うわ〜!こっちによって来るっ!』
『護衛隊!抜刀!』
「竜!?お前たち!このままここに居ろ。ロック。今の言葉を領主最後の指示として記録せよ。俺が死んだら、領主はルナーには無理だ。領主代理を立てよ。フー。ロックを頼んだ。何としても逃げ延びよ。」
そう言うと親父が剣をもって部屋から駆け出した。
竜って言うと、ファンタジーで最強と言われるあれですよね?




