21 なんだ、ただの天才か
6/7・7/12 誤字の報告をいただいたので修文致しました。
「ちょっと楽器の名前を考えたいので、失礼します。出来ればお二方も何か良い案がありましたらおっしゃってください。」
「うむ。」
「わかったわ~。この楽器ってとても面白いから、貸しておいてくれないかしら?」
「では、この部屋に置いておきますね。」
俺はそういって部屋を辞した。
うーん、いきなり楽器の名前決めろって言われても思いつかないよ。
笛でも弦楽器でも打楽器でもないしなー。
【魔道式蓄音再生音階機】とか全部漢字の厳つい名前しか思いつかないや~。
スマートかつスタイリッシュな名前が良いな。
俺の貧相な認識だとスタイリッシュな名前って言うと英語だな。
俺の魔法は音魔法だから英語で言うとサウンド・オブ・マジックか?
頭とお尻をとって複数形にして、サジックスとかどうよ!?
ちょっとサックスっぽい響きだし、けっこういいじゃん!俺天才!
ってなことを午後いっぱい考えて、夕食前に報告するために親父の部屋に向かった。
“キュロロロロキュロキュロ~~~キュキュロキュロ~キュ~ロキュロロ~~ン”
「え?」
親父の部屋からなんかすごい流ちょうな蛙の鳴き声が聞こえてきますけど!?
イヤもはやこれはもはや歌声と呼ぶべきか?
音の一つ一つがビブラートしてるけど、魔力の強弱で調整してるの!?
いろんな和音が流れてますけど、指ごとに魔力量の調節してるの!?
完成して披露したの、今朝なんですけど?
あまりの衝撃に俺はノックも忘れて扉を開いた。
・・・楽器を手に持ってるのが親父に見えるんですけど?・・・
「父上!?」
「ロックったら。戸を空けるときはノックくらいしなさい?」
お袋・・・うっとりしながらそんなこと言っても説得力が無いです。
いや、そのうっとり顔にはある意味、強烈な説得力があった。
音楽を“聴いて”いるのはお袋だ。
「・・・ロック。魔石の間隔が狭すぎて演奏しづらい。」
親父、あれだけの演奏をしておいて感想はそれだけですか。
「父上は若いころ、貴族の女性にモテたくていろんな楽器を嗜んでいらしたのよ~。凄く上手だったんだけど、見た目が怖いから全然モテなかったんですって。」
「ミアス。余計なことは言うな。」
「・・・ごめんなさい。」
親父の残念な過去は置いておいて。
「父上、その楽器は昨夜完成して午前中にお渡ししたばかりですが?楽器の構え方等、非常に堂に入っているのはなぜでしょう?」
「魔力調整によって音を消せるので運指に癖があるが非常に楽だ。椅子に座って左足だけ胡坐をかき、左ひざと左肩で固定した状態が安定感もあり演奏しやすい。漏斗の部分は動くようだったので、その状態で正面を向くように動かしたが問題なかったか?」
「いえ、そうではなく・・・漏斗は差し込んであるだけなので動かしたことは問題ありません。」
「上の部分に紐をつけて、ベルトに載せればたった状態でも演奏できるな。式典の時等の楽隊に持たせる形状にするのもそれほど難しくないだろう。楽隊に持たせるのに蛙の声はさすがに無理だが、金属音であれば色々と使い勝手があるかもしれん。」
会話が成立しない。
俺は色々諦めた。
次の話は明日の10時に更新します。
楽器の名前は作者に命名センスがないので、適当につけてあります。
もし、何かいい名前が思いついたら感想とかに書いてください。
作者が気に入った名前があったら、どこかで話の流れでその名前に変更しようと思います。




