19 恐怖!鬼親父の真相!
6/7 誤字報告をいただきましたので修文しました。
「この楽器の基礎部分はいくらくらいかかったんだ?」
親父、いきなり金の話ですか・・・。
「お金の話の前に、こっちも聞いてください。フー、そっちをここに置いて。」
そういうと、鉄琴の方を床に置いてもらい、再度、蛙の歌を演奏する。
ただでさえ跳ね上がってた眉毛がさらに上に動きそうになりつつ現状を維持する。
親父、さすがにそれ以上眉毛を上に動かしたかったら立たないと無理だ・・・って立ち上がったよこの人。
「これは何の音で作ったんだ!?」
「鍛冶屋でハンマーで金属を打つ音を調整したものです。初めて鍛冶屋に行ったときにきれいな音だと思ったので、音を記録しておいたのです。」
あ、親父の顎が落ちた。
眉毛が跳ね上がって虎髭が下に下がったので全体的に顔が伸びたように見えてチョット面白いな。親父のこんな顔、一生に一度しか見れないかもしれないな。カメラが欲しいくらいだ。
「こっちは澄んだ金属音でこれはこれできれいな音ね~。これで音楽を創るなら、どんな曲がいいのかしらね~ぇ?」
「僕は作曲家ではないのでわかりません。」
前の世界の曲だったら色々知ってるけどね。主にアニソンだけど。
あ、親父の顎が復活した。外れてはいなかったようだ。
「で?さっきの質問に答えよ。」
「フー?いくらかかったの?」
「木製部分が銀貨1枚程度、金属部分は加工が難しかったらしく、銀貨20枚ほどかかりました。」
「え?そんなに高かったの?お金はどうしたの?」
「ロック様のお小遣いから出しました。」
え?俺お小遣いなんてもらってたの?しらねぇよ?
「いや、むしろ良くそんな金額で作ってもらえたものだ。ライト家の名でもだしたか?」
「はい。御子息のロック様の依頼と言うことで、格安で作成してもらえました。」
「え?」
格安なの!?
漏斗一個作るのに一般家庭の二月分の生活費がいるって、この世界の物価なめてたわ!
「基礎の部分は何日で仕上がった?」
「ロック様の名前を出したので、木管は2日、金属部分は1週間ほどで仕上がりました。」
「基礎部分と魔石がそろった状態で、何日で作成可能か?」
「えーっと、音の調整は一回やったので、おそらく1日あれば可能かと・・・」
たぶん、また俺のためなんだろうけど、親父は金の話が好きだなぁ。
金なんて生きるのに最低限の金額があれば問題ないと思うんだが、貴族はまた違うのかもしれないなぁ。
「ロック。その楽器を王に献上することになるかもしれん。良いか?」
えー。俺のオモチャとして結構苦労して作ったのに、これって拒否権ない奴じゃないのか?
「せっかくルナーに喜んでもらおうと思って作ったのです。」(しょんぼり)
「・・・そうか。ルナーのために蛙だけ残して、金属音の方を王に献上したいのだが・・・ダメか?」
あれ?意外と拒否できるのか?
外見がゴツイから勘違いしてたけど、この人、以外と家族には腰が弱いのかもしれん。
お袋のおしゃべりをにこやかに聞いてるくらいだし、思いのほか家族思いなのかも?
「わかりました。でも、帰ったらまた作りたいので、父上も手伝ってくださいますか?」
「うむ、もちろんだ。・・・良いのか?」
「わかりました。では父上、二人でもっと立派なものを作りましょう!」
「うむ!・・・良いのか?」
「これを上げたら王様は喜んでくださいますか?」
「きっと喜ぶに違いない。いや、こんな素晴らしい物をもらって、喜ばないわけがない!喜ばなかったら殴り飛ばしてやる!」
・・・怖ぇよ親父。
次の話は明日の10時に更新します。