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120 ひとまず一段落(仮題)

更新が半年開いてしまいました。

読んでくださっている方にはご迷惑をおかけしています。


なお、サブタイトルが思いつきませんでした。

毎回、一番頭を悩ませている場所で、ついに答えが出てこない事態になってしまいました。

「雇用条件や業務内容も解らない状態ではちょっとお返事はしかねるかと」


おっと、俺が先走りすぎたようだ。

……エロい意味ではない。


「そうですね。金額については相談しながら進めていくとして、業務としてお願いしたいのはマッサージを行うスタッフの教育がメインでと考えています」

「教育と言っても……ご存知の通り、才能のあるアルブス君ですら一人前になるまでに何年もかかっているのです。果たしてほかの人の教育に何年かかるのやら……」

「医療としての施術をマスターするのであればそれだけの時間がかかるのも納得いきます。が、事業のターゲットは主に上位貴族の貴婦人や大店の商家の奥方等の富裕層のため、医療行為としては【命】属性の魔法治療を受けることが可能なので必要ありません。最終的には美容や癒しに特化したマッサージに進化させる必要性はあると思いますが」

「なるほど。ただ、私にも抱える患者がいますし、年齢的にももうかなりの年ですから。それに、教育を受ける方はどのような人たちなのですか?ターゲットがそれほどの富裕層であれば、施術を行う人もこんなうらぶれた場所まで足を運べる類の方達ではないと思うのですが」


先ほどの玄関先の状況を考えればこの地域でかなり信頼された医者であることは間違いないし、そうであれば抱えている患者がいることも納得がいく。

それに、教育を受ける者たちは親父殿やお袋の伝手を使って集めた下級貴族の子女等がメインだが、そこはこちらも通常より良い給料を出しているし、手当でも出した上で給料にも反映すれば問題なかろう。


「スタッフは主に騎士爵や僅かでもつながりが作りたい中規模商家などの子女です。一応の身分や社会的地位はそれなりですが、研修受講手当と言う名目でもつけて別途手当を支給します。また、今後可能な業務が増えるのですから給料にも反映すれば、こちらに研修を受けに来ることも受け入れられるでしょう。もちろん、その間は研修生のことは普通の弟子と同じように扱っていただいて結構ですよ」


まぁ、通常の徒弟制度なんて衣食住と技術指導を保証されている代わりに家事全般をこなすのが当たり前だしな。

ある意味、アルの待遇が良すぎると言えばいいのか、トゥルチド殿と出会えて本当に運が良かったと言えばいいのか。

トゥルチド殿の徳が高いおかげだけどね。


「派遣したスタッフにある程度の技術を教えてもらう間は、申し訳ないのですがこちらも子女を守るための護衛をこの家付近に配備させていただくことになりますがそこはご容赦ください。初期スタッフにある程度技術を教えてもらった段階で、アルブス中心に新しいサービスを開始します。およそ1か月程度とお考え下さい。その段階になりましたら、特別技術顧問として週1回程度お越しいただければと。もちろん、送り迎えの馬車は容易させていただきますよ?なんせ特別技術顧問ですからね」


今作った役職だけどな。

しかも、ビューティーサロンでしか通用しないけどな。

アルとトゥルチド殿とのつながりを考えれば、多少お金を使ってでもつながりを作っておいた方がいろいろ(・・・・)と安全だろう。


「受講手当に給与増額に護衛とは……ただの研修生にそれだけのお金を使うとは剛毅なことですね」

「先行投資というものですよ」


サービスとしてはまだ他に類を見ないものだが、真似をしようと思えばいくらでもできるのだ。

唯一、他に真似ができないのは超音波美顔機のみ。

それを売りにしつつスタッフの質が他の追随を許さないレベルであれば、他にサービスを真似されたところで回収はそれほど難しくないと考えている。


「雇い主の金離れも良いようですし、悪くない話と思えますな。スタッフの研修期間はどのような扱いに?」

「さすがに住み込みはまずいので、朝、店舗に集合してからこちらに伺わせます。その際に食事は持たせますのでトゥルチド殿も一緒に食べてください。その間こちらも素人とはいえ人手を派遣している形になりますので、講師料ではなく施設使用料ということで一定の額をお支払いすることでどうでしょうか?」

「色々と考えていらっしゃるのですね。それで結構です」

「それから顧問料についてはアルブスの給料を日額単価よりは高くしたいと思ってますので、ある程度の額が決まったらまた相談させてください。ただ、診療所の1日の売上分は保証したいとおもいますので、だいたいどの程度でしょうか?」

「大まかですが、普段であれば大体銅貨30枚、忙しくても銅貨50枚程度でしょうか」


あれ?

ターゲットが貧困層とはいえ、医療機関でその金額はかなり低いのでは?

ビフォアワールドにおけるナショナルヘルスインシュランスがあるわけじゃないから、全額患者負担だよな。

俺の資金の細かい運用なんかはサムに丸投げだったから気が付かなかったけど、もしかして俺ってかなり金銭感覚がおかしいのか?


「一人当たりの単価と施術時間はどうなってますか?」

「棒状にもよりますが概ね銅貨3~4枚程度、このあたりの人ではこれば精一杯の金額なのです。人数は平均すれば昼の金の前が6人、後が6人程度でしょうか。一人当たりの時間はマチマチです」

「アルブスへの小遣いは?」

「その話をご存知でしたか。もう少し渡してやりたいとも思うのですが、私も生活がかかっておりまして……お恥ずかしい話ですが一日に銅貨10枚です」


思っていたよりはるかに少ないな。

トゥルチド殿には申し訳ないが、今まで兄妹二人が生きてこれたのが奇跡に思える。


「ロック様。勘違いされているようですが、これでもこの一帯としてはかなり裕福な方なのですよ?」

「月の収入が銀貨10枚程度が一般的な収入と聞いていたんだが」


どこで聞いたんだったか。


「それは庶民から見たらかなりの高給取りですね。それだけの収入があれば済む場所も変わって諸色が違ってきます。スラムや貧困層がすむ当たりであれば、銀貨5枚もあればおつりが来ますね」

「基礎爵の年金が銀貨10枚で、それだけだとかなり生活が厳しいと聞いていたんだが?」

「騎士の方々にも貴族として必要な付き合い等がありますでしょうから。都市部に住んでいて社交に一切関わらないわけにもいかないでしょうし、衣服も野良着を着るわけにもいきません。そういいった貴族社会の一員として生きていくには足りないという意味だと思いますが?」


金銭感覚については後でじっくりと勉強しなおさないとまずいな。


「顧問料は1日銀貨1枚程度の心算だったんだが高額すぎるだろうか?」

「ロック様。横から差し出口を申し訳ないのですが、たとえ相手が庶民でも大身の貴族であるライト家に名を連ねるロック様が銅貨や賤貨で謝礼を払うのはさすがに外聞が悪うございます」


お?サムが傍らに戻ってき立って事は連絡は付いたってことか。

嫡男ではないとはいえ、それなりに稼いでる俺が銅貨や賤貨での支払いをすると外聞が悪いのか。

こっちのワールドにボーンしてから色々と常識も学んできたつもりだが、どうにもビフォアワールドの常識に引っ張られる。

そのせいでこっちの常識が頭に入ってきていないと感じるときが多々あるな。


「トゥルチド殿。そういうことらしいので当面は銀貨1枚ということでお願いしたいのですが」

「一つ条件があるのですがよろしいでしょうか?」

「何か?」

「先ほども話しましたがこの診療所も小なりとはいえ抱えている患者がいるのです。研修期間が終了して私が顧問として赴くようになりましたら、アルブス君に代診をお願いしたいのです」

「つかぬ事を聴きますが、休診日などは設けていないのですか?」

「貧乏暇なしを地で行っている診療所ですから。それに、人は予定に合わせて病気になってくれるわけではありませんし」


まぁ、江戸時代の商家なんか店を休むのは盆暮れ正月だもんな。

その時代から考えればサラリー男の週休2DAY’Sなんて甘すぎてあんこにはちみつぶっかけて食べるようなもんだな。

それに医療機関はヴィフォアワールドですら救急体制が問題になるほどだから、この世界でトゥルチド殿が休めないのはさもありなんって感じだ。


「アルの代診についてはこちらとしては問題ありませんので、当人同士で相談してください」

「わかりました」

「では正式な話はおって書面に……これは失礼。私の魔法を使用して音声で書面の代わりとしましょう」

「これはお気遣いありがとうございます。契約魔法は行わないのですか?」

「こちらも実働に対して支払いを都度行うつもりですのでそこまでしなくてもいいでしょう。ではトゥルチド殿。今後ともよろしくお願いします」

「これは最後までご丁寧に。こちらこそ何卒よろしくお願い申し上げます」


話が順調に進んでよかったよかった。

あとは、アルの今後について本人と相談した上で、あいつの実家への対応を決めないとな。


「サム。アル達は引き留められたんだな?どこにいる?」

「もちろんでございます。街門の辺りの広場で妹様と合流してお待ちいただくよう話をしてあります。どうなさいますか?」

「では向かうとしよう。ではトゥルチド殿。慌ただしくて申し訳ないが失礼させていただきます」

「はい。ではまたお会いする暇でご健勝であらせますように」


ご健勝でとは医者らしい言いようだな。

さて、アル達の所へ急ごう。


当面、リアルの仕事がひと山目を超えたので、しばらくは週一のペースでUPできればと思ってます。


トゥルチド先生が意外とがめついように見えますが、カツカツの生活を何十年も続けていると、どんな聖人でも自分の働きに対する対価がどの程度になるのかは最初に気にすべき話になるとおもい、こんな方向で進めてみました。

ま、作者の過去(BIG父さんの家庭をプゲラできるレベル)もあるので、貧乏人の感覚はそんなもんだと思って読んでください。

月々のサラリーがもらえるって本当にすばらしいですね。

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