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Sound of Magic ~カエルが鳴くから歌いましょっ!~  作者: ブルー・タン
第2章 3歳児お披露目珍道中編
109/124

108 最後の夜の前に

あけましておめでとうございます。

本年もゆるゆる更新していこうと思いますのでお付き合いの程よろしくお願いします。

俺は再びこの地に帰ってきたっ!

今、港町リセムです。領地への帰路で、ライト家の船が係留してありますからもちろん立ち寄ってます。

なんていうか、前の世界ではかつ丼より天丼派でした。

でも、主食は主に牛丼チェーンとして名高い吉○家より松○派。

卵に焼き肉用のおろしポン酢しょうゆタレを少し混ぜて汁ナシで頼んだ牛丼にぶっかけるのが俺にとっての永遠のフェイバリット。

話は変わるが、この世界ではあまり牛肉は食用にされない。

主に、農耕の労働力や乳を搾るために飼い、食すのは年を経て農具も引けず乳も出ずいつ死んでもおかしくないような老牛であり、あまりおいしい肉と言う認識はない。

貴族相手の商売として食肉用の牛を育成しているところもあるらしいが、それらはかなり内陸のごく一部であり食肉としては非常に高価である。

そもそもカネの唸ってるライト家ですら、育成している地から距離があるため仕入れることが出来ないがかなり美味いと聞いている。

では、庶民が何を食べてるのかと言うと、主に豚さんであり、それ以外は害獣として駆除されたモンスターが主なタンパク源だ。


いや、話が全く別の方向に行った。

牛丼が食べたくても醤油とかみりんとかないと食べることができないが、カヤヨさんとの話ではそれらは存在してないから、無い物ねだりなのに。

現在、一行はリセムの町の入り口まで到着した。

町までの馬車による道中は本来ならやることもなく暇なはずだったが、サジックスの練習をしたり、フォルテと今後の話をしたり、シェード家の馬車に乗ってシェイナちゃんの歌に伴奏を付けたり、その合間の昼食の時間にほかの家の子も混ぜて歌ったりと、結構忙しく過ごしたが、往路の様な緊張感が全くないため非常に楽しく過ごすことができた。

思うに、テンプレ的転生者が目立ちたくない系の行動をとりつつ最終的にやたら目立つのは、俺同様に人前に立った時に失敗してはいけない等のプレッシャーに弱い系統のジャパニズムメンタルによるものではなかろうか。


リセムの町と言えば、セバスチャンと呼びたい男ランキングNo.1のムバルさんとか、王国内ではカヤヨさんに次ぐ料理の腕前の料理長とか、うっかり音魔法を披露してしまった武器屋とか、いろいろと記憶に鮮明だ。

まぁ、俺が前の世界も含めた人生で初めて誘拐された場所としての記憶も鮮明だけどな。

また、リセムの太守館で一泊してから乗船したら、そのまま3日でライト家の領地に到着するから、この旅もようやく終盤だ。


そのまま馬車で太守館まで乗り付けると、またしても使用人一同のお出迎えだ。

違うのは、ムバルさん自ら先頭に出て一行をお出迎えしてくれたことか。

まぁ、侯爵位のシェード家が一行にいるんだから当然と言えば当然なんだけど、なんか変だな。


「ご一同様、無事にお披露目が終了しましたこと、心よりお慶び申し上げます。なにより、ライト家のロック様の演奏と皆様の歌によりこのご一同すべてがインベントリをいただいたとか。ぜひ一度、その演奏を伺ってみたいものですな」


情報早いなと一瞬思ったけど、この一行が王都を出る前に何組もこの館を使用してるんだろうから、情報源は今回の参加者の親とかだろうと想像がついた。


「そうなんですよ~。この館でロック君はシェイナの友達になってくれたのがきっかけみたいなものだし、この館に対する思い入れも一入なんですよ~」

「それはそれは。この館が皆様の今後に対する一助となれたこと、館を預かる私としても鼻が高うございます」

「うむ。恐らくこの先、子供たちがこのメンバーで一堂に会することも無かろう。後ほどホールをお貸しいただけまいか」


あ、そっか。

今日でシェイナちゃんたち5名とはお別れだし、必要がなければそれぞれの領地から出てくることも無いだろうから全員が集まることって、連絡を取り合って時期を合わせない限りほぼ不可能なのか。

第一、俺は精神的には大人だけど実年齢は3歳で、当たり前だがほかの子ども達も同い歳だから、成人して自分の意思で領地を出れるようになるまで全く合わない可能性の方が高いわけか。

せっかく初めての人間の友達なのにそれはちょっと寂しいから、今後、ヌイグルミとかサジックスで稼げる金でみんなに手紙を書こう。


「最後の演奏会ですか?それは願ってもない素晴らしい提案ですね。是非ともお使いください。もし差支えなければ、ホールの端で構いません。演奏の際に私も含めた当館の使用人達を同席させていただけませんでしょうか?お披露目後にこの館をお使いの皆様がどの方も素晴らしかったと絶賛されておりましたので、是非聞いてみたいのです」

「ロック君、どうだろう。シェイナたちに最後に楽しい思い出を作ってあげてくれないかい?」


そりゃ、そんな他の味方されたらさ。


「もちろんです。ほかの家の方達もよろしいんでしょうか?」


そういって周りを見渡すと、どの親もニコニコしながらこちらに微笑み返してきているから、OKってことなんだろうな。

ムルスイの親父すらニコニコしてて、往路の態度とは打って変わってるのがちょっとキモイ。


「では、太守様もよろしければぜひお聞きください。でも、父上。楽器が1台しかないんですが、演奏はどうしましょうか?」


金属音の方は王様に献上しちゃったからね。

アイナ姫様にねだられたけど、結局、当初予定通りルーナのお土産として持って帰ってきたし。

まぁ、ライト家への僕からのお土産としては噴水市場で買った組み紐があるから上げちゃっても問題はなかったんだけど。


「うむ。ミアスの歌は私が演奏しよう。子ども達の歌はお前が演奏しなさい」

「わかりました。シェイナちゃん、今日の夜で最後になるから、みんなでお歌を歌おうね。その時は僕の母上も歌を歌ってくれるって」

「え?きょうでさいごなの?なんで?もっとろっくくんといっしょにおうたをうたいたいのに」

「シェイナ。明日にはお家に帰る船に乗るんだよ。ロック君たちもみんな自分のお家に帰るんだ。爺や達もみんな待ってるよ」

「やだやだやだ~っ!もっとおうたをうたうんだもんっ!」


あ、シェイナちゃんが館の庭に向かって駈けて行っちゃった。

本来の3歳児に楽しい遊びは今日で終わりって言っても理解できないよな。

そういう意味ではチョット可哀想ではあるな。


「ありゃ~。ちょっと失礼、ロック君すまんね。晩餐までにはなだめておくからよろしく頼むよ」

「そうですね。最後の晩はできればシェイナちゃんにも楽しく過ごしてもらいたいですから」

「ありがとう」


そういうと、モローさんはシェイナちゃんを追いかけていった。


「では、ご一同様。ひとまず部屋へご案内いたしますので、晩餐までおくつろぎください」


ムバルさんの一言を皮切りに使用人たちが動き始め、それぞれの部屋へ移動し始めた。

最後の演奏会を皆が楽しめるよう練習でもすっかな。




子どものころって楽しい時間はずっと続くんだと思ってました。


本当は長期休暇を利用して昨年中にアップしようと思ってたんですが、大掃除等、年末は休暇中でも忙しいことを再確認しました。

昨年中にアップできなかったので、今回は本日直接投稿しました。

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