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Sound of Magic ~カエルが鳴くから歌いましょっ!~  作者: ブルー・タン
第2章 3歳児お披露目珍道中編
101/124

100 マイスター

100話目だと思ってたんですが、一話状況説明回が入ってたので、投稿としては101話目でした。

ストーリー上の100話目と言うことで。


その後、木工所へ着くまでの間も俺とアガンさんの会話は1対50くらいの配分で進み、アガンさんの会話の3割は女性に関することだった。

王城のお披露目の時は紳士的な態度だと思ってたが、どうやら認識を女好きとかエロ親父に改めなければならないらしい。

因みに馬車の中で異性や性交渉に関する認識が全く違う種族であるフーすらナンパしていたのだから、女好きも徹底してる。

ちなみに、前にも話したがこの世界の獣族と人間の間には子どもは生まれないし、世間的な認識もお互いに変態扱いだ。

なのに、モックロー家の様にエルフなんかは人間との混血が可能だし、脳内アーカイブによればドワーフもOKと聞いている。

アガンさんがナイスミドルなのに独身だそうだが、俺が思うにマシンガントークとナンパ好きのせいで、常に女性に声をかけてるために不特定多数の女性とお付き合いがあるように見えるせいじゃなかろうか。

本人に確認したら女性と不真面目な交際をしたことは無いって言ってたしな。

木管を頼んだ木工所は王都の職人地区と言われるところにあり、その中でも職種ごとに区分けされた火気厳禁の布や木工関係の職人の集まる区画にある。

区画が近づくにつれて新鮮な木や染料等の臭いが入り混じった独特な臭いが立ち込め始め、木を打つ音がそこら中から響いており音が大きくて会話にならない。

前の世界みたいに染料に有機溶剤は使用してないみたいだからそれほど刺激的な臭いではないし、少し甘いにおいも混じってて俺は嫌いじゃない。

コーンコーンとリズムよく響く音は今までサンプリングしてないし、新しくサジックスに使う音源としてとりあえず保存。

今、ふと思いついたけど、親父殿と約束した大型サジックスを作るときは、複数の音源が再生できるようにしても面白いな。

あとで、アガンさんに相談して、場合によってはエントシーへ来てもらおう。


「ごめんください。先日、シェード家からご紹介いただいて木管を作ってもらったロック・ライトと申します。どなたか居ませんか~?」


作業場の入口から中に向かって声をかけると木槌の音が止み、中から親父殿を縦に潰して縦横の比率を1:1にし、肌を赤銅色にしたような背の低い筋肉ダルマが何か威圧的な何かを漂わせてノッソリ出てきた。

正直、親父殿で強面に馴れてる俺でも怖い顔だ。

アガンさんなんてあまりの強面っぷりに絶句してる。


「先日作ってもらった木管のサイズや形状を変えたものを作ってもらいたくて相談に来たんですが……」

「……あれか……」


地の底から響くような声でつぶやくと、作業場の方を顎で示して一人で入っていってしまった。

多分、一緒に来いって事なんだろうけど。


「ロ、ロック君。彼はマイスター・ガルハルトじゃないか!は、初めて会った。彼は王都一腕が良くて王都で3本の指に入る気難しい職人だぞ。だ、男爵程度じゃ作ってもらいたくても会ってさえもらえない相手なんだよ!?だ、大丈夫かね?」


アガンさんが絶句してたのは別の理由らしい。

マイスターって巨匠って意味だよな。

貴族から巨匠って呼ばれちゃうようなすごい人に子供のオモチャ作らせてたのか……。


「シェード家の紹介ですし、前回もちゃんと作ってくれてますからたぶん大丈夫だと思うんですが……」


王都に来た時に、豚親父に壊されたサジックスの木管を作ってもらったときは、手配とかは全部親父殿任せで俺は直接来なかったから知らなかった。

アガンさんとコソコソ喋ってると、マイスター・ガルハルトが作業場から顔を出した。


「……おい……」

「す、すいません。すぐ行きます!」



超こえ~!

作業場に入ると、隅にあるテーブルにマイスター・ガルハルトが座り、正面に座ることを促してくる。


「マイスター・ガルハルト。本日は急に来てしまって申し訳ありません。私、イーマス男爵家のアガンと申します。このたびは初の御目文字……」

「……いらん。今回は何だ……」


うわ!貴族の自己紹介を一刀両断かよ!


「今回はですね……」

「……お前じゃない。坊主、喋れ」


しどろもどろになりながらも、俺はマイスター・ガルハルトにサジックスと言う楽器を作ること、形状については楽師であるアガンさんの意見を取り入れたいこと、試行錯誤の為いくつものサンプルが必要なこと、ついては先日木管を作ってくれたマイスターに協力してもらいたいことを話した。


「……あれは……楽器の一部だったのか……」

「はい」

「……見たことが無い……」

「最初は僕の妹のために作ったんですが、今までにない物だったので僕の父親であるディーン・ロック伯爵が王家へ献上しました」

「……献上品……」

「マイスターには申し上げにくいんですが、最初は子どものオモチャとして作ったものでしたが、王より直接作成の依頼があったため、形状などについてもできればより完成度の高いものにしたく……」

「……楽しそうだ……」

「え?」

「……アガン、下手で良い。この紙に実寸で描け……」


そういうと、マイスター・ガルハルトはテーブルの脇から大判の紙を取り出してテーブルに広げた。


「作ってもらえるのですか!?」

「……早くしろ……」


その後、アガンさんと俺は、サジックスの木管の形状を身振り手振りとマシンガントークを交えて説明しながら絵を描いた。

マイスター・ガルハルトは解らない部分が有るたびに、絵を指でトントンと叩き、そのたびにアガンさんが絵を埋めて行き、横にマイスター・ガルハルトが説明書きを足していく。

1時間もすると横に説明書きの書かれたかなり詳細な絵が完成していた。


「……意匠は……」


プロの楽師と巨匠と呼ばれる職人が俺の考えた楽器をより良い形にしてくれるなんて、通常じゃ有りえない幸運だ。

美的センスなんて皆目あるかどうかも解らない俺が意匠について意見なんて言えるわけがない。

ビビッてそう思っていたら、アガンさんが答えてくれた。


「お任せしますが、指を滑らせる部分には彫刻をしないでください」

「……明日、同じ時間に来い……」

「有難うございます。マイスター・ガルハルト!」

「……ガルで良い……」

「わかりましたガル親方」

「……親方?まぁいい。坊主、名前は……」


あ、俺ってば促されるままに説明を開始したから、入るときに名乗った後にちゃんと自己紹介してなかったわ。


「ライト家のロックと申します」

「……ロック。新しい物を生み出すことを楽しめ……」


いや、楽しむも何も超怖いんですけど。

でも、最初にアガンさんが言ってたほど気難しくもないし、すごい職人気質なだけなんじゃなかろうか?

最初に話しかけられた時より緊張せずに話せるようにはなった。



前に脳内アーカイブを後書きに書いていこうかと思い、今回はエルフとドワーフについて文章に起こしてみたんですが、文字数が大変なことになるためSound of Magic(脳内アーカイブ)を別に立ち上げました。

今回は以前本文中にあった【アポイタカラ】と【エルフ】【ドワーフ】【獣族(総合)】を追加。

今後は本文中で脳内アーカイブを使用した場合や既に書き溜めている設定を修文したり、要望が有ればそれに回答する形で項目を追加していこうと思います。

内容は微妙にそれっぽい書き方をした設定資料なので、読まなくてもストーリー上は全く問題ありません。


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