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Sound of Magic ~カエルが鳴くから歌いましょっ!~  作者: ブルー・タン
第2章 3歳児お披露目珍道中編
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99 ダンディズムとエロ親父

アガンさんの長ゼリフで非常に読みづらくなっています。

アガンさんは朝食後、定刻通りにライト家の館に訪れ、俺と前の世界の音楽について語り合った。

と言っても俺が語れる音楽の知識なんて多寡が知れてる。

知ってる曲は好きなアニメのオープニングとエンディング、音楽番組で流れてた曲や好きなアーティストの曲程度だし、知識も1オクターブが12音階でドから始まってとか、音楽の授業で赤点を取らない程度だ。

ただ、こっちでは音階と言う概念があまりないらしく、12音階で1オクターブあたりへの食いつきはよかった。

凄かったのは、俺が鼻歌で聞かせたメロディーをアガンさんが持ってきてくれた楽器でその場で再現してくれたり、この世界風にアレンジしてくれたりと非常に楽しめた。

サジックスのデザインについては、現在の木管にラッパがついている形状は当面は変更しないことになった。

ただし、現状のままではプロでも演奏しにくい形状らしいので、アガンさんにはこれから作るサジックスのうちの1台提供した上で、より演奏しやすい形状を模索してもらうことになった。

アガンさんもプロの楽師だし、形状が音にそれほど影響しないサジックスであれば、演奏しやすさに主眼を置けるだろう。

王家へのサジックスの売却益の一部をアガンさんにあずけて、木管の形状や材質についてより良い物を作るための資金にしてもらうことにした。

お金についてはアガンさんも最初は固辞したが、木管やラッパの形状を試行錯誤するには大量のサンプルを作る必要があるだろうし、今の素人が適当に工作したオモチャとプロの使う楽器では自ずと開発費用は違ってくるだろう。

最終的には王家に納品するための制作コストを考慮した廉価版と、アガンさんの様なプロが使うフルオーダー版が出来ればと思っている。

どっちを作るにしても、俺がやることは魔石に音を込めるだけなんだけど。

それから、アガンさんから既存の楽器の音ではサジックスを作らないように要請された。

何でも全ての楽器の音がサジックスで再生できてしまうと、現在の楽器の演奏技術等がすたれてしまうことを危惧してるそうだ。

確かにこれは明らに既存の文化に対する侵略行為だな。

そこまでよく考えないで作ってたし、好きな音で楽器が作れれば楽しい以上の事を考えてなかった。

確かにサジックスは音階がついてたりと多少の違いはある物の、同じ音が出て演奏を覚えたら汎用性があるサジックスの方が汎用性が高いのかも。

現状ある文化が廃れるのはよくないから絶対やらないとアガンさんと堅い約束を交わした。

ここまでが昼食終了までの経緯だが、アガンさんはあのマシンガントークで会話が本筋から外れたり戻ったりを繰り返し、俺2割でアガンさん7割、その他1割くらいのペースでしゃべり続けてたのをまとめるとこんな感じだった。

会話の途切れない昼食も終了して一息ついたので、今からイーマス家の馬車で木工所へ向かうところだ。

アガンさんはの馬車は通常より大型で、普段から馬車で移動する時も車内で練習したくて特注したそうだ。

そのため、木工所への移動時に俺とフーが乗ってもかなり余裕があり、ここに親父殿やお袋を載せてもまだ余るほどだ。


「サジックスは非常に素晴らしい楽器だね。今まで音楽的な音色を奏でていた動物の声や自然の音をそのまま使えるなんて、こんな画期的な楽器は今までにないよ。ただ、さっき試しに弾かせてもらった限り、木の肌がそのまま出ているのも良いけど、耐用年数を伸ばすために出来れば表面に蜜蝋を塗り込むべきだね。その上で装飾は表側の最小限にしてすべりをよくすれば、非常になめらかな運指が可能になるだろう。あぁ、自ら新しい楽器の制作に携われる日が来るなんて、今日と言う日はなんと素晴らしいのか。芸術の女神が僕の音楽に対する真摯な態度と湧き上がる才能に裏打ちされた魅力に負けて微笑みかけているに違いない」


まぁ、サジックス開発の話をアガンさんに振ってから、アイディアが泉のごとく溢れているらしくずっとこの調子だ。

話しかければちゃんと応答してくれるし、質問にはちゃんと答えてくれるから特に問題は無い。

と言うか、それほど押しが強いわけじゃなく、ただひたすらしゃべり続けるだけで、たまにこっちが方向修正すればいいだけなので、カヤヨさんより対応が楽だ。


「アガンさん、僕はお披露目の前は演奏の練習漬けで、終わってからは人に会ってばっかりで王都の観光をまだしてないんです。王都に暮らしてるアガンさんはお詳しいのでしょう?どこか観光するのに良い場所は無いですか?」

「ロック君はまだ王都を見て回ってないのかい?でも、一番の見どころである王城は先日中まで入ってるし、異国情緒あふれるエントシーで育ったロック君を驚かせるようなものはなかなか思いつかないねぇ。それに王都に集まる珍しい物の半分以上はエントシーを通して他国からもたらされたものなんだよ。しかも君は転生者でこの世界とは全く違う素晴らしい物に囲まれていた記憶が有るだろうから、そんな君を驚かせるものと言っても中々……そう言えばエントシーには噴水はあるかい?」

「エントシーから陸路で移動する商人のための交易路の出発地点に広場があって、そこに小さなものが設置して有ると聞いたことがありますが、僕はあんまり街中を歩いたことが無いので、見たことは無いです」

「では一度、噴水広場を見て、それから考えてみようか。噴水広場には常に市場が立っているし、いろんな屋台で食べ物や何だか怪しい物を売ったりしていて非常ににぎやかな場所なんだよ。町としての人口は流石に王都の方が多いから、売られている物も買いに来ている人もそりゃー多種多様で僕なんかは一日中あそこで人を眺めていても飽きないね。新しい曲を作っていて息詰まると良くあの広場の屋台で軽い物を買って、噴水の周りに設定してあるベンチに腰かけると新しい案が思い浮かぶんだ。僕がそうしてる時は大体、美しい女性がイーマス男爵が来てるわよと噂話をしてるのが耳に入ってきたりしてね。しかし、ロック君。女性と言うのは本当に素晴らしいと思わないか?彼女たちにはこの世界の神秘が全て詰まっているように感じる時が有るし、美しい声で僕に語りかけてくれた時なんてこの全ての悩み事は馬鹿らしいものに感じるんだ」


つまり、噴水広場ってのはいろんなものを売っていて、それを買いに来る美しい女性を眺めるのが好きってことですね?わかります。

俺も前の世界では年2回の祭典で美しい姿をした美しい女性たちをカメラに収めるのが好きだったな。

神様は俺の能力にICレコーダーだけじゃなくてデジカメも追加してくれれば良かったのに。

アガンさんとの会話は彼の才能に関わる部分や女性にまつわる部分をスルーすれば大体成立すると今日の午前中で学んだ。


「それは楽しそうですね。ところで、サジックスに蜜蝋を塗り込むってことですが、手触りとかが変わるんですか?」

「もちろんだとも。木の肌そのままの手触りはぬくもりが有るし、意匠的に染料を塗ってもいいかもしれない。だが、そこはあえて木の肌に染料を塗ることなく蜜蝋を塗ることをお勧めする。木の肌のぬくもりを少し抑えつつも肌に吸い付くような感触になるし、楽器の大敵である水分を寄せ付けない。撥水性が高くなることによって木自体の耐用年数が非常に上がるんだよ。あのしっとりとした手触りと言い撥水性と言い、健康な若い女性の肌に例えるのが一番わかりやすいだろう。彼女らの肌に水滴を垂らすと転がり落ちるようにはじくし、その肌触りはまさに吸い付くようでいて心地よい弾力を含んでおり、その素晴らしさは筆舌に尽くしがたい」


しっとりとしてすべりも良く、木自体の持ちも良くなるってことですね?

でも、アガンさんの評価がどんどんただのエロ親父になっていくので、あんまり女性方向に話を持ってくのはやめた方がいいと忠告したい。

基本的には話題も豊富だし話も面白いし、エロイことが嫌いなわけじゃないから別に良いんだけどさ。


電車における脱線の対義語は復線らしいのですが、会話における脱線の対義語も複線で良いのか解りませんでした。

アガンさんの会話を全部文章に起こすと大変なことになるので、昼食以前は文章化するのをやめました。


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