2/5
(2)
九月のはじめ。街はすっかり普段の営みに戻っているというのに、大学生は手持ち無沙汰だ。
意味もなく昼間から街中をぶらつくと、居場所がない感じがする。
同級生の彼女はたまにやって来るし、僕もたまに出掛けたりする。
「今が人生で一番無駄な時間かも」
「…かもしれない」
だけど、何もしていないことは、何も考えてないこととは違うよ、と言ってみようかと思い、そして躊躇する。
何故かなんてわからない。けど、無駄だったのかどうか、そんなことを僕らがどうこう考えても無駄なことだ。
もう秋だ。
相変わらず暑いけれど。
…待てよ、本当に暑かっただろうか。自信がない。それ以前に、関心がない。
だけど、暑かった気がする。おそらく今でも。