表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/28

エーデルヴァイス夫人について~元侍女Cの話




 ……とても懐かしいお名前ですね。

 夫人のことはよく覚えております。

 私が初めてお仕えした方でしたので……。


 あの方と初めて出会ったのは、私がまだ十四になったばかりの頃でした。

 お歳も近いというのに、とてもお優しく、心身ともに美しく聡明な方でいらっしゃいました。


 ……ですが、ご婚約が決まったときは、ひどく落ち込んでおられました。


 まあ、それも無理はありません。

 ご婚約相手のエーデルヴァイス様といえば、当時は良い噂を耳にしませんでしたから……。


 案の定、嫁がれた後の夫人は、エーデルヴァイス様から大変酷い扱いを受けていたと聞いております。

 その内容は……とても口には出せません。どうか、お察しください。


 ですから私は、その噂を耳にする度に……彼女の苦痛を思い、胸を痛めておりました。

 もし、嫁がれたあの方のもとに私が仕えることができていたなら。

 寄り添うことができていたなら……彼女の未来は変わっていたのかもしれません。


 ……しかし悪い噂が広まったことで、エーデルヴァイス夫妻は逃れるように町外れの辺鄙な屋敷へ移り住まれました。

 ですが、それから数年も経たぬうちに、今度は夫人を残し、彼だけが別の屋敷へ移られたそうです。


 その後は最期まで一度も、互いに顔を合わせることはなかったと……聞いております。


 その代わり、夫人には数多くの豪華な品を買い与えていたとのことです。

 豪商ゆえ、金には困らぬ方でしたから……望むものを与えていれば、それで十分だと思っていたのでしょう。


 夫人もまた、そんな旦那様に対して、文句ひとつ口になさらなかったと聞いています。


 ……ええ。

 エーデルヴァイス様は病に臥せ……夫人より先に亡くなられたそうです


 ですから、その財産はすべて夫人のものになったのでしょう。

 ですが……果たして本当に、それで良かったのでしょうか。

 私には……想像もつきません。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ