インポッシブル ツー 2
今年最後の投稿です。ありがとうございます。
「おい、お前、名前を言え」
兄貴と呼ばれてる目出し帽男が僕に銃を向ける。体がビクンと跳ねる。
「み、みやた、り、りくです」
「ん、みみやた、りりく? ふざけてんのか?」
「みやたっ! りくですっ!」
「なんだと、宮田陸ってあのスーパーレイパーか。ブタ箱にはいってんじゃねーのかよ」
「同姓同名です」
「まじかぁ、じゃ、余計処刑しねーとな。凶悪犯と同じ名前の自分を恨め」
ううっ、このままじゃ殺されちまう。いや、僕には力がある。今の数瞬でポイントが100以上溜まった。やるしか無いのか? 生き延びるために。けど、今、動画撮られてる。できれば目立ちたくない。
「なんだよ。おめー。目が死んでねー。怯えるんだよ。怯えて、クソやションベン打ちまけやがれ!」
「うがっ!」
いきなりお腹を蹴られた。一瞬体が浮き上がって激痛がやってくる。あぶねー。また出しちゃうとこだった。良かったさっき漏らしてて、漏らしてなかったら多分日本中に曝されるとこだった。いてぇー。僕は痛みで寝転がってうずくまる。
「止めてっ!」
えっ、華さん。立ち上がって僕の前で両手を広げてる。なんで? 僕なんかのために?
「おお、そうか姉ちゃんが変わりに死にたいのか。ってお前見た事あんな。配信者だっけ? ハナ、確かそんな名前だったな」
男は口の端を上げて華さんをジロジロ見てる。
「姉ちゃん、ここの高校だったのかー。よかったな。お前有名なんだろ。目立つの大好きなんだろ。多分今みんな見てるぜ。じゃ、もっと有名になろっか。そうだなー。まずは、下着になろっか」
えっ、下着? 多分華さん穿いてないよ。
「い、いやよ」
「へぇ、そうなのかい。嫌なのか? 鉛弾ぶち込まれるよりはマシだろ。脱げって言ってんだよ。ん、お前、ポケットに何入れてやがる? ゆっくり出してみろ」
ゲッ。もしかして華さん、ポケットに入れたまま。なんでだよ。
「い、いやよ」
「おい、チンカス、そいつのポケットのものを出せ」
男が拳銃の先で華さんを指す。どうする。まだ我慢するべきか? もっとポイントが溜まるまでまつべきか? 僕はゆっくりと華さんのポケットからブツを出す。透明ビニール袋にピッタリと入った布。僕と華さんのパンツだ。けど、よくここまで小さくできたな。それより、よくこんなものずっとポケットに入れてたな。天然なのか?
「なんだそりゃ? パンツか? ブリーフと女ものか?」
兄貴、すげぇ。よく一発でわかったな。パンツのプロなのか?
「お前、もしかして学校でヤッてたのか? ゆ、ゆるせん。俺なんて高校の時は女の子の手をダンスで握ったくらいなのに」
「なっ、ヤッたって、そんな訳ないでしょ。汚れたから脱いだだけよ」
「そうかいそうかい。で、そのブリーフの持ち主は誰なんだ? まあ、だいたいわかるがな。おい、クラスのヤロー共。全員立ってズボンを脱げ。気が変わった。処刑するのはそのブリーフの持ち主だ。こんな可愛い女の子とヤッたなんて許せん。そいつから地獄に送ってやる」
少し状況が好転したかと思ったが、そのパンツの持ち主は僕だよ。頼む、誰かノーパン趣味の男、居てくれ!
男子は全員起立して下半身パンイチで手を頭の上に組んでる。ノーパン男子は居ませんでした……地獄絵図だ。もっこり祭りだ。普通物語ではこういう時って女子が餌食になるものだよね。誰得だよ。少しは目の保養したかった。まじツイてねー。けど、ポイントはごいごい増えた。
「おい、性犯罪者。おめーもズボン脱げよ」
兄貴が顎で僕に指示する。なんか僕だけ放置してたって事は確信してたんだね。けど、わかってて脱がせるって、もしかして兄貴って違う兄貴だったのか?
「まってください兄貴」
目出し帽子分が兄貴に声をかける。
「そいつをぶっ殺す前に、女も全員ひん剥きましょうよ。多分、そいつが脳みそ打ちまけたら漏らす奴いると思うんで、下着姿の方が撮れ高とれそうですよね。それに、そいつらが脱いだら垢バンされるから最後にしやしょう」
そして、男子女子下着姿ですわってる中、僕と華さんだけが制服のまま立たされてる。
「じゃ、舞台は整った。十数えるうちに脱げ。お前が脱がなかったら、ハナを脱がして撃つ」
立ってる華さんの横には目出し帽子分の一人が中屈みでスカートを握っていて、もう一人が狙ってる。僕は兄貴に銃口を向けられてる。確かに僕の最強運のスーパー状態は奇跡を起こしてきた。けど、これは絶対無理なんじゃないか? 僕か華さんのどちらかは見せちゃいけないものを見せてしまいそうだし……
【インポッシブル・ツー! テロリストに占拠された教室で美少女を人質にされしかも自分も銃で狙われてる。ノーパンでスラックスを脱げと脅されてる状況から、ピーを露出する事なく、テロリストを犠牲者を出す事なく無力化せよ】
「おい、数を減らす毎にハナのスカートを上げろ」
兄貴がエグい事を言う。けど、少しだけ、ほんの少しだけ見てみたい僕もいるのは内緒だ。絶対だめ。さすがに、そんな事されたら、華さんは配信者として死ぬ。
「十、九、八、」
兄貴のカウントが進む度に華さんのスカートがまくられていく。華さんはガクガク震えてる。
許さない。女の子を怯えさせやがって。やる! やってやる!
「インポータント・インポッシブル!」
おお、体に力がみなぎる。心が全能感につつまれる!




