インポッシブル ファイブ 7 前
「こっちだデカブツ!」
孤を描くように走り、バルコニーを背に立つ。大声の挑発で化け物はこっちを向く。これで、桃たちから気を逸らす事ができた。ん、奴がしゃがむ。なんか相撲の立ち会いのような構え?
「コロコロッ!」
ドゴン! バキバキガリガリッ!
轟音と共に突っ込んで来た奴が床と窓を破壊してバルコニーに出る。ヤベぇ、凄い音がしたのに、奴は無傷だ。やっぱりあの体はめっちゃ硬いみたいだ。大きくかわして難を逃れたが、また桃たちがを背にしている。また今の体当たりを食らったら巻き込む恐れがある。けど、これで戦術が増えた。屋内では風が吹かない。
「とおっ!」
奇しくも吹き始めた強風が僕を攫い、化け物の上を飛び越えその後ろに回る。
俺と化け物は対峙する。元は華さんだったけど、退治するしかないのか? 奴のデカい目は充血して僕を凝視している。理性があるようには見えない。また、奴が相撲の立ち会いポーズを取る。やられる前にやるしかない! 僕は両手を広げ存在をアピールする。
「かかってきやがれ、欲に塗れた醜い化け物!」
一瞬奴の目が吊り上がる。やっぱ元々華さんだけあって、『醜い』って言葉は届くみたいだな。
ドゴン!
床を破壊しながら奴が突撃してくる。さながら爆発だな。俺はその場で跳躍し、化け物をかわす。
バキバキバキッ!
奴はバルコニーの手すりをぶっ壊しながら大空に突っ込んでいった。知性がない獣みたいだな。マタドールになった気分だ。クッ、凄い風圧だ。ギリギリがいけなかった。俺も巻き込まれて大空に投げ出される。だが問題ない。化け物は一直線に地面目指して突っ込んでくが、俺は両手を広げ、モモンガみたいに優雅に螺旋を描きながら降りていく。墜落はもう超越している。いい感じに吹く風が落下を調節してくれる。恥ずかしい話で約30ポイント、憧れの華さんが化け物になって100ポイント増えてたお蔭で助かった。飛行は100ポイントは消費するからな。
ドッゴーーーーン!
下から激しい破壊音。さすがにこの高さから落ちたらどうしようもないだろう。
華さん。どうにかして助ける事は出来なかったんだろうか? けど、桃と舞さんを助けるためにはしゃうがなかった。徒手空拳で化け物を倒せるほどの力は俺にはない。自爆させるくらいしか方法はなかった……
げっ、立ち上がってる。バキバキに壊れた地面からのっそりと立ち上がり僕を見上げている。なんて奴だ……しくじった。俺とした事が化け物を街に解き放ってしまった……
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