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 インポッシブル ファイブ 1

 

「ううーん。ここどこ?」


「サメー、でっかいサメーっ!」


 やっと桃と桃の友人の舞が目覚めた。僕の衣装は水を吸わない素材なので問題ないけど、二人ともずぶ濡れだ。なんとかしてあげたいけど、ラックポイントは底をつきかけてるから何も出来ない。

 

「おい、クソ兄貴、ここはどこなのよ?」


「携帯、家に置いてきたからわかんないねー」


 桃と舞は携帯持ってたから現在地はわかったけど、びっくりするくらい遠くに来てた。


「まあ、けど、よかったんじゃないの? さっきの倉庫からかなり離れてるから、君たち警察には捕まんないんじゃないの?」


 そう、僕らにはアリバイが成立してる。倉庫からはありえないほど遠くにいるから、僕たちが倉庫に居たって事は立証できない。音速を超えたサメに乗って移動したって言っても、誰も信じないだろう。


 また、桃が僕の顎を掴んでくる。


「じゃ、なんとか助かったって事か? 正直、訳がわからないが、一応、礼だけは言っとく。ありがとうな」


 そう言うと桃は僕を離してそっぽ向く。照れてるな。可愛い妹だ。


「けど、どういう事か説明しろよ」


「ひっ、ちょっと、桃ちゃん桃ちゃん」


 舞が桃の裾をクイクイしてる。その視線の先には……


「はぁい。また会ったわねー」


 モデルウォークでしゃなりしゃなりと変態が歩いてくる。


「今日は特別にお友達にもわたしの姿が見えるようにしてるわぁん」


 バニースーツにマスクの巨漢。スパサラが言うには、愛と欲望の神カルマ。


「初対面の方もいるから、一応自己紹介しとくわねぇ。わたしの名前は愛と欲望の神『カルマ』。わたしの聖典に『カルマスートラ』ってものがあるからみんな良く知ってるわよねー。みんな大好きカルマお姉様よん」


 マスク越しにウィンクしてきやがった。背筋がぞぞぞーっとする。


「それで、そのカルマ様が僕たちになんの用なんですか?」


「あら、あなたサラちゃんの使徒なのに何も聞いてないのぉん? そんな事より可愛らしくなっちゃって。あなたも目覚めたのねぇん。やっぱり男ものの服より、女ものの服が可愛いから着ちゃうわよね」


 奴は両手を頭の後ろに組みグリングリン腰を回す。うん、もっこりだ。凄いもっこりだ。桃と舞の視線もそこに注がれている。


「なんだよテメー、キメーんだよ」


 桃のいきなり金的! 神って聞いても動じない桃はすごい。


「ふんっ!」


 カルマはオッサンみたいな野太い声と共に逆に桃の足に向かっていく。


 バシッ!


 クリーンヒットだけど音が軽い。


「ああっ。いいわー。もっとーもっとー蹴ってー」


「うえっ」


 多分今のは距離を詰める事で桃の蹴りを押し込んだ。イカレてる。僕が同じ立場だったらよける。


「桃、手を出すな」


「わかったわ。クソ兄貴」


「それで、なんの用なんですか」


「知ってるわよ。あなた。もう出し過ぎてすっからかんでしょ」


 僕から桃と舞がササーッと離れる。


「兄貴、あたしらの濡れた体に欲情して……」


「もしかして、私、寝てる間になんかされたの? 大人の体になっちゃったの……」


「なっ、何もしてないよ。そんな時間あったと思う?」


「信用ならないな。脱げ。今すぐ脱げブツを直接改める」


「そうね、お兄さん、潔白を証明したいなら今すぐ出して見せてください。何もしてないのなら、そばで臭いを嗅いでみれば多分私にもわかるはずです」


「ええーっ。無理無理。こんな開けたとこじゃ無理だよ。せめて、人目につかないとこで」


「じゃあっちの林に行くぞ。あたしも服が濡れて気持ち悪すぎるから脱ぎたいとこだし」


「そうね、行きましょう。私もショーツびちょびちょ。早く脱ぎたいわ。お兄さんの見るんだから、私もみっ見せないとね……」


 なんなんだこの流れ。けど、どうやら林に行くともれなく桃と舞の裸も拝めるみたいだ。まあ、この娘たちがそこまで言うなら行かないと。据え膳なんとかってやつだな。初めてが妹と妹の友達と三人でというのはなんか上級者向けっぽいけど、ドキドキが止まんない。

 ん、カルマ? 口角を上げて暖かい笑みを浮かべている。

 いかん、やられてた。精神攻撃だ。僕はほっぺをぺちぺちしてその痛みで我に帰る。危ねー、何、妹と妹の友達と三ピーしようとしてんだよ。少し心残りもあるけど、それは無い無い。


 ペチン! ペッチーン!


 舞と桃の頬を叩く。桃にはいつもの恨みで少し強めだ。


「なにすんだよクソ兄貴!」


「いったーい。両親にも叩かれた事無いのにー」


「ごめん、けど、冷静になって。あいつのそばにいると、欲望に飲み込まれるんだよ。冷静になって」


「げっ、あたし何言ってたんだろ」


「…………」


 どうやら正気にもどったみたいだ。


「もう、茶番は終わったのかしらん?」


 おめーのせいだよという言葉を飲み込む。話が進まない。


「今から、わたしはあなたにマキアをしかけるわ。この世界での神同士の戦争は『マキア』って言うわん。今のマキアのルールは、使徒同士で争わせて、負けを認めた方が負けよ」


 ん? マキア?


「我、神カルマは、神サラスバティーにマキアを行う」


 カルマが右手を上げると空に向かって一筋の光が上っていった。


 


 読んでいただきありがとうございます。


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