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 インポッシブル フォー 10

 題名変えてみました。しっくりくるまでまだ変えるかもです。


「インポータント・インポッシブル!」


 僕は最低な語調の魔法の言葉を唱える。そして、パンツに刺した仮面を装着する。うおおおおおーーーーっ。キタキタキターッ!


「ナニそのキモい言葉? インポなんとかってあんたの事なの?」


 妹がマントクイクイするが、今は構ってられない。僕はインポじゃないわい。でも、コンプライアンスが激しい昨今、ここまでインポを連呼してるのは俺くらいだろう。俺様は自由だっ!


「その仮面が力の源なの?」


 妹友達が尋ねてくる。まあ、仮面は気分をアゲるためだけのものだけど、力の源って言えば付けると存分に動けるのは確かだ。


「まあ、そんなとこだ」


「ちょっと、舞にはリアクションして、あたしはガン無視? あんたもしかして舞狙ってんの」


 妹友達、舞ちゃんって言うのか。


「ギャーギャーうるさいなー。お前だけ置いてくぞ」


「何、そのキャラ? 何イキッてるのよ」


 ここの建物は建て付けが悪くて助かった。すきま風がまとまって轟風になる。


「キャッ。なんで家の中で風吹くのよ」


「黙ってろ口噛むぞ」


 頭の中にここらの地図を思い浮かべる。確か倉庫の裏は海。そこに飛び込む。けど、そっちには窓は無い。まるで物質のような空気の塊が僕らを吹き飛ばす。俺は二人を小脇に抱える。


「なんなのよー。壁、壁、ぶつかる!」


 桃、ギャーギャーうるさいなー。壁? そんなの関係ない!


 バキバキバキバキッ! ズズズーーン!


 老朽化してたのか、倉庫の壁が風で運良く向かい側に倒れる。その斜面になった壁を駆け上る。


「ドリフのコントかよ!」


 妹がツッコむ。うん、確かにそうだ。昔見て、壁が丸ごと倒れるのには驚いたものだ。


 ゴウッ!


 更なる突風が吹き、俺は華麗に壁の端を蹴る。いいジャンプ台だ。さすがに女の子二人も抱えて空を飛ぶほどの風はラックポイントが重すぎるだろう。決して女の子たちが重い訳じゃない。


「キャアーーーーーーッ! 飛んでる飛んでる」


 桃のくせに可愛い悲鳴上げやがって。大丈夫か? 桃、また漏らさないよな? って漏らしてないか?


「キャハハハッ。高い高いー」


 どうやら、妹友達は現実逃避してるみたいだ。後遺症が残らなければいいが。

 足元にはコンクリートの堤防。それを大きく飛び越えて海に吸い込まれていく。なんか水平線の遠くに船が見える。あれって海上保安庁の船なんじゃないか? 海に潜ってやり過ごすか? いや、僕はほぼ水着だからいいが、妹と妹友達は普段着だ。さすがに泳ぐのは辛いだろう。そう思うも束の間。


 どぼーーーーーーん!


 海に僕らは身を躍らせた。けど、少し沈んだとこで足下に何か触れる。そして、それを足場に浮上し始める。下を見ると灰色っぽい大きな何か。なんかお尻にツンツン当たるのが不快だな。すぐに海からせり上がり。進み始める。


「ごっ、ごはっ。海に飛び込むならそう言ってよ」


「言うも何も見てだだろ。ギャーギャー騒ぐから水飲むんだよ。少しは大人しくするんだな」


「桃ちゃん、お魚。でっかいお魚に乗ってるよ。ぎゃギャーーーーッ!! サメサメサメサメサメサメ」


 あ、友達が壊れた。俺の足になってる物体はサメだった、多分。海上に頭を出してる。T字型の独特なフォルム。シュモクザメだな。もっと可愛い海の友達が良かったな。シャチとかイルカとか。


「大丈夫だ。大人しい奴だ多分」


「多分って何よ。食べられたりしないの?」


「いや、食べられたりしないと思うが食べたら美味しいらしいぞ、ヒレが」


 少し、足場が震えた。賢いサメだ。もしかして人語を介してるのか。安心しろ足になってもらってるから食う気はないよ。

 シュモクザメに乗って海を進む。良い感じにお尻にサメの背びれが当たっててバランスを崩さない。

 それにしても足場が悪いブヨブヨしてやがる。まあ、贅沢は言わんよ。けど、あれって多分海上保安庁の巡視船だな。さすがにこの距離では補足されてないと思うが撮影されて身元を特定されるのはまずい。


「加速するぞ、しっかり掴まってろ。サメ! トップスピードだっ!」


 ラックポイントを使い、風、海流、サメの頑張り全てを加速に収束する。


 ゴウッ!


 まるで弾丸のように俺たちは加速する。なんかサメの背びれが丁度お尻に食い込んで痛いなー。サメの体は浮き上がり、大きくV字型に海水を巻き上げながら進む。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴーッ!


 まるでジェット機のような音をたてながらサメは進む。しまったな、もっと流線型のサメだったらもっと加速できたのに。


「あばばばばばばばっ」


 桃、あれほど口を閉じろって言ってたのに。


「きゅうーーーーっ」


 妹友達は空気が抜けたような声を出して動かなくなった。女の子だからしょうがないか。

 間違いなく、僕らは船舶の夢、音速航海を成し遂げている。けど、水しぶきで何も見えないな。それになんだか熱くなってきた。僕は幸運に守られてるから何ともないが、どうやらサメが発熱し始めてるみたいだ。やり過ぎたか? 楽しかったがやむを得ない。加速を緩め、通常運行に戻す。まあ、これでかなりの距離は稼げただろう。どっかで上陸する事にするか。お、良い感じの砂浜。最後に少し加速してサメから降り、上陸して。二人を砂浜に寝かせる。水びたしだな。良かったな桃。アンモニア臭抜けてるぞ。


「じゃ、達者でな」


 サメは頭を振りながら海へと還っていった。


「フッ。ミッションコンプリート」


 ああ、疲れた。ポイントギリギリだった。一桁、2ポイントしかないよ。けど、なんとかなったのかな?



 読んでいただきありがとうございます。


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