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 インポッシブル フォー 7


【桃の友人舞視点】


「おんどりゃー!」


 ザシュッ!


「このダボがあっ!」


 ブシュッ!


「いてこましたる!」


 ブリュッ!


 ドスと呼ばれる短刀を手に突っ込んでくる厳つい男たち。それをかわしもせずにお姉さんがデッキブラシを振ると、血を吹き出して飛んでいく。マントを翻し、お姉さんはデッキブラシ片手に踊ってて、まるでアイドルみたい。たまに無駄にキラキラしたポーズをとる。あ、耳ハート。ほっぺハート。か、かわいい……けど、そのマスクは何なの? 目が隠れててもったいない。

 お姉さんは斬って斬って斬りまくる。オッサンたちはきらたら動かなくなってる。死んじゃいないわよね。しかもオッサンたちはいい感じにやれれたら集まって倒れて山を作ってる。多分数十人は倒れてるんじゃ? そして、ドスの次には刀を持ったオッサンたちが襲いかかってくる。肩などオッサンはなんか構えが格好いい。侍みたいだ。けど、ザコだった。今までと変わらずぶった斬られていく。


「ヒイッ」


 悲鳴が漏れる。お姉さんに勝てないと思ってか刀オッサンが一人こっちに向かってくる。私の目に映るのはお姉さん。あそこが多分一番安全なところ。もしかしたらお姉さんに私も斬られるかもって怯えながらもその後ろに隠れる。


「当たると危ないから、ぴったり後ろに隠れてて」


「うん。お姉さん。なんでモップ斬れるの?」


「高速で斬ったら、斬れるのよ。紙で指が切れるのと同じよ」


 いや、ないない、デッキブラシで人は斬れません。


「どやっ!」


 ジュバッ!


 あ、うそっ、斬れてる。デッキブラシが当たったとこから凄い音。高速で斬ってるんじゃない。オッサンたちが高速で斬られにきてるんだ。訳わかんない。


「お姉さん、どうなってんの?」


「簡単よ。剣を極めると、相手を斬るんじゃなく、相手が斬られにくるものよ」


 あかん。会話通じない。まあ、そんなもんだと思うしかないわ。たった一つ確かな事があるとするならば、お姉さんは強い!


 百人近くいたと思われるオッサンも、あと十数人しかいない。お姉さんは場所を変えながら戦ってたけど、さすがにもう床はオッサンまみれだ。なんて言うか、戦場? ここは日本なんだろうか? 残ったのは高そうなスーツを着た顔が怖い人ばっかだ。多分モブじゃなく幹部。


「おめぇーら。なにしとんのじゃ。はよぅいてこまさんか!」


 親分さんも何か言ってるけど、こっちも何言ってるのかわかんない。いてこます? イテという人をコマす? それとも。イテコマって事をする?


 ズキューーーーン!


 なに、なんか爆発した? サングラスのオッサンの手には黒いもの。ピストル! ピストルだわ。私も知ってる。あれはテレビで見た事ある。ワルサーP38だわ! テレビアニメのおかげで、日本人が一番名前を知ってるドイツが生んだ名銃。P38の38は製造開始の1938年からきてる。第一次世界大戦で負けたドイツが、再武装してまたヨーロッパで覇権を取り戻すために作られた銃。ワルサーP38は作られた体制を壊すために作られた反逆者の銃。私の好きな歴史の知識が頭を巡る。


「おうおう、ねぇちゃん。体に風穴開けられたくなけりゃ大人しくすんだな。俺のワルサーが火を噴くぜ」


 さすがにもう終わりだ。お姉さんでもどうしようもない。銃は剣? よりも強い。


「んー、なにそれ? 撃てば」


 え、降参しないの? 今ここが安全地帯から、危険ゾーンに変わった。私に弾が当たるかもしれない。逃げようにも足の踏み場も無いくらいオッサンが倒れている。


「ちょっと、お姉さん。煽らないで。死にますよ撃たれたら死にますよ」


「大丈夫。大丈夫。銃火器はもう克服したから」


 なに言ってるのこの人。人間は銃火器を克服? そんな事できる訳ない。この前もニュースでアメリカでイカれた人が銃を乱射して死人や重傷者が出てた。まさか私の人生で人に銃を向けられる事があるなんて。ここは日本なのに。私は立ってられないくらい足が震える。


「え、撃たないの? それとも撃ち方知らないの? ざーこざーこ。ちゃんと両手で握らないと真っ直ぐ飛ばないからしっかりとねらってね」


「くっ、イカれてやがる。ラリってるのか? そんなに死にてーなら望み通り地獄に送ってやんぜ」


 望んでない。望んでない。地獄なんて全く望んでないわ。どうしよう土下座、土下座して靴を舐めたら助けてくれるかしら。


 カチン。


 鉄があたる音?


「なんだとぉ? 不発?」


「オッサンついてないねー。日頃の行い悪いんじゃないのー? 今ならまだ許してあげるよ。家帰ってクソして寝たがいいんじゃないのぉ♡」


 高くて可愛らしい声が逆に腹立たしい。けど、不発? 銃ってそんなにダメなものなの?


「死ねや! クソガキっ!」


 オッサンの指が再び動く。


 ズキューーーーン!! キンキンキンキン!


 撃たれた……


 お姉さん撃たれた?


 え、倒れたのはオッサン? オッサンがお腹を押さえて崩れ落ちる。死んだの?


「大丈夫。無益な殺生はしないわ。峰打ちよ♡」


 銃に峰打ちもクソも無いだろ。なにが起こったかわかんないけど、助かったの?


「面倒くさいからみんな一斉にかかってこいやぁ!」


 あ、このセリフ、ももクロみたい。いい声だ。


 そして、逆上した銃や刀をもったオッサンが襲いかかってくる。銃声が鳴りまくるけど、なぜか強い風が吹いてきて、マントを翻しながらブラシを手にお姉さんが踊ると、立ってるのはお姉さんだけだった。夢、夢なの? 



 読んでいただきありがとうございます。


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