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 インポッシブル ツー 4

 


 チュンチュン、チュチュン。


 雀の鳴き声。朝か? 見たこと無い天井だ……眠い。寝よう。


 ペチン!


 何かが僕の頬を叩く。肉球? なんだ猫か。


「なんだよ、まだ眠いんだって」


「眠いもなにも何時間眠ってるのよ、あんた以外みんな退院してるわよ!」


 ん、退院? あ、ここ病院だ。僕は病室で寝転んで点滴を打たれている。良かった。助かったのか。もう駄目かと思った。そうだ。僕は目出し帽の兄貴に撃たれたんだ。そう、華さんも撃たれてた! 華さんは!


「スパサラ、華さん、華さんは!」


「落ち着きなさいよ。今、あたしはあんたにしか見えないから、一人で騒いでるように見えるわよ」


 あ、そうか、気をつけないと。僕は小声に変える。


「それで、華さんは?」


「大丈夫よ。弾は貫通してたそうで、手術も終わったそうよ」


「良かった」


「華さん、華さんって、それよりあんたよ。自分を第一に大切にしなさい! まずは残心って言葉を覚えるのよ。残心って、心を残すって書いて、しっかり相手に止めを刺したのを確認するまで気を抜かないって事よ」


 そう、僕は油断した。兄貴は足を撃たれただけ。それに、そばには銃が落ちてた。壊れてるから大丈夫だと思ってたけど、大事をとって銃を奪っとくべきだった。


「まあ、多分、まだ少し強運が残ってたからだと思うけど、良かったわね、たまたま弾が、たまたまを掠めただけだったそうよ」


 ん、こいつ、何いってるんだ? 意味がわかんない。たまたまたまがたまたまを掠めた? 新手の早口言葉なのか?


「わかりにくかったみたいね。事務的に説明するわ。テロリストが撃った弾丸が、運がいいことに、あんたの睾丸を掠めただけだったのよ」


 こうがん? 金玉の事だよね。口にした人初めてみた。猫だけど。それにしても、たまたまだとか、睾丸だとか、こいつ正体は美少女だよね? 慎みと恥じらいを少しはもって欲しい。 

 撃たれた時、痛みというか、焼けつくような感触でどこをやられたのかわからなかったけど、金玉だったのか。


「今は麻酔で痛くないでしょ、この後地獄よー」


 まじか、恐ろしすぎる。


「まあ、けど、当たり所が良かったみたいで、多分元通りになるそうよ。傷口が開くかもだから、治るまで触っちゃダメよ」


 良かった。元通りになるのか。けど、寝てたからわかんないけど、僕はどんな手術をされたんだろう? 止めとこう考えるとブルーになりそうだ。


「あ、誰か来る。じゃ、またあとでね」


 スパサラは、窓を開けると出て行った。よく猫なのに窓開けられるな。


 それから病院の先生がやってきて、僕の怪我の状態を説明してくれた。三日間も寝てたそうで、血も止まってるからもう退院していいそうだ。あとは抜糸に来ないといけないそうだ。その時は当然ブツを丸出しにしないといけないんだよね? 憂鬱だ。


 そして、次は警察の人が二人きて、まずはとても感謝された。そしてそれからこっぴどく叱られた。他のクラスメイトからの説明で、僕がテロリストを挑発しまくって運良く助かったって事になってるみたいだ。そりゃ怒られて当然だ。

 配信は途中で止められたから、僕はそこまで有名にはなってないらしい。僕が『インポータント・インポッシブル』って言ったあとは画像が乱れて声しか聞こえなかったそうだ。さすが強運パワー。


 あのテロリストたちはなんかの非合法の組織の一員で、ここは濁された、銀行強盗に失敗して僕らの高校に逃げ込んできたそうだ。はた迷惑な事この上ない。三人とも捕まって、二人は囚人用の病院にいる。


 あと、僕が気を失う前に投げ込まれたのは催涙弾で、すぐにテロリスト三人は確保され、怪我してないクラスメイトは健康診断をうけて自宅療養中だそうだ。カウンセリングで問題ない人から順次明日から登校してく流れになっている。まあ、さすがに下着姿で目の前で拳銃ぶっ放されまくったら普通しばらくトラウマもんだろう。

 明日、家でしっかり話を聞かせて欲しいと言い残し警察の人たちは帰って行った。げっ、家に警察が来るのか……勘弁してほしい。


 けど、僕はというと心理的にはなんともない。ていうか逆に満ち足りた気分だ。

 だって拳銃を手にしたテロリスト三人を一人で翻弄して、僕も含め怪我人三人だけで乗り切ったんだから。一つ心を痛めるのは、僕があと少し無敵モードを継続したら、華さんも無傷だっただろうって事だ。しっかりポイントを溜めて管理しないとね。

 あ、ポイント。ポイントを出してみる。


「500ポイント!!」


 な、なんでそんなに高いんだ。あ、そうか金玉撃ち抜かれたからか。良かったのか悪かったのか……


「だから、大声だすんじゃないわよ」


 ベッドの下からスパサラが出てきた。いつの間に来たんだろう。忍者かよ?


「帰ったんじゃないのかよ」


 当然小声で言う。


「まだ、探してるものがあるのよ」


「何を?」


「カルマよ。多分この臭いはカルマ」


「えっ、なにそれ酷くない? 僕がカマ臭いって。たしかによく言われるけど、今の社会ってそういうのモラハラって言うんだよ」


「カマじゃねー。カルマだよ。性愛の神カルマだよ!」


「せいあいの神? せいあいって何?」


「あんたって何も知らないのね。エロとラブの神よ」


「えっ、何それ。それって幸運の神より良さげじゃない? もしかして、メッチャエロい格好のお姉さんの神様?」


「そんな可愛いもんじゃないわよ。見てから喜びなさい。奴は、エロ系とかの欲望を増幅するのよ。しっかり休んで早く体を癒すのよ。絶対また何かあるから、じゃあね」


 また、スパサラは、器用に窓を開けて出て行った。

 また何か起こるのか……けど、スーパーな僕なら乗り越えられるはず。それに、テロリストの学校ジャック以上の不幸はそうそう起きないはず?


 第一章 奇跡の始まり 完



 ここで、第一章完結です。


 読んでいただきありがとうございます。


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