3:大自然
『狩人のディポラティア【3:大自然】』
―右大陸―
オーシャンから大陸列車に乗り、海を横断したサン達。
改札を抜けた先、そこには自然があった。
―ファサァァァ…!!!―
(サン)「右大陸…。」
表大陸とは違う風が、出迎えてくれた。
その風は、この旅の警告となるか、後押しになるか。
(ミア)「わぁ…。」
(ハザキ)「空にいるのも獣か?」
―バサァ…!!!―
周囲には煌めく海。風で揺らめく草木。遠くに見える雪山に火山。
強弱あれど、選り取り見取りの環境で生きる獣達が見える。
(オメガ)「弱い者はいないでしょう。全員が、進化の果てを追っています。」
(ルナ)「…お兄さんは、狩人なの?」
「あぁ。現地の人々から話を聞きたい。今何をしているかは定かじゃないからな。」
「妹は分かるの?」
「右大陸の王へと売られた。…生きているのかも分からない。…兄さんが、何かしてくれていると祈るしか。」
(ブラックソード)「王殺し…。視野に入れておこう。」
「とりあえず、進んでみましょうか。」
目的を整理し、新天地へと足を踏み入れる。
ここは大自然、右大陸。
獣が棲む場所。
―海池―
サン達は、ある不可思議な場所を見つけ止まった。
(サン)「海か?」
―サァァァ…。―
辺りには砂浜があるが、まるで池のように砂で囲まれているのだ。
しかも、海より離れた陸地に。そんな池のような海がある。
(ハザキ)「潜ってみるか?…故郷ではよく泳いでいた。」
(ブラックソード)「未知の場所で、挑戦しないといけないとは。」
「どのくらい深いのでしょうか。…その前に、酸性などの危険性もありますが。」
(ミア)「…待って。」
―ザババ…!!!―
ミアがそう言った。すると、水が波打ち始めた。
(ルナ)「…影。何かいるよ…。」
(サン)「これは…。離れろ!上がってくるぞ!!!」
水中の影はより鮮明に見えた。
―バシャアアア…!!!―
大量の水を打ち上げながら、獲物を咥えて。
(カメザメ・シャーカー)「キバッシャアアア!!!!!」
亀と鮫の融合進化。
最強の矛と盾。
無論、特異個体である。
(サン)「…!これが、獣…!」
サン達は驚愕した。
恐怖を感じるよりも、生命の広大さに。
咥えている獣が十分大きいのに、カメザメはその数倍の巨体なのだ。
―ドスン…!!!―
サン達の前。
獲物を挟み、カメザメと目が合う。
(サン)「逃げれはしないか…。」
「ギシャァ…」
―ブォン…!!!グサ…!!!―
サンの後ろから大槍が、カメザメの頭へと命中した。
「ギャオオオン…!!!」
―ドスン…!!!バッタン…!バッタン…!―
突然の衝撃に暴れるカメザメ。
―バッ…!!!―
サン達の間を、何かが素早く通った。
―ダッ…!!!…グググ!!!―
華麗な跳躍で大槍を掴み、力を加える。
「ギャオオオン…!!!」
―ガガガ…!!!―
(???)「展開だと…?」
カメザメは、頭上にいる存在をターゲットした。
すると肌は展開し、鋭利な鱗が見える。
―ダダダダダダダダ…!!!!!―
だが、周囲乱射。
頭の強い衝撃が狙いをバラつかせる。
(サン)「…!ミア…!!!」
サン達は身を守れる。
ただ、ミアと距離が離れている。
―バッ…!グググ…!!!スタッ…。―
(???)「グォォォォォ…!!!!!」
―ザン…!!!―
大槍を抜き、ミアの元へと跳躍した。
だが人であったはずの者が消え、ミアの前には獣がいる。
―シュウウウ…。―
「…。無事か?」
今度は獣が消え、人が現れた。
背に大槍を背負う男が。
「キシャァァァ…!!!」
―サバン…!―
頭から血を出しながらも獲物を咥え、カメザメは水中へと消えていった。
(ミア)「あなたは…。」
「...すまない。俺は君を知らないんだ。他にも何人か、知らない者がいるが…。まぁ、どちらでもいいことだな。今、こうして会えている。」
(ハザキ)「…早かったな。」
(サン)「…!!!」
(ディポラティア)「元気そうだな、お前達。」
ディポラティアとサン。
兄弟の再会は、早くも果たされた。




