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狩人のディポラティア  作者: 深緑蒼水


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3/18

3:大自然

『狩人のディポラティア【3:大自然】』


―右大陸―


オーシャンから大陸列車に乗り、海を横断したサン達。

改札を抜けた先、そこには自然があった。


―ファサァァァ…!!!―


(サン)「右大陸…。」


表大陸とは違う風が、出迎えてくれた。

その風は、この旅の警告となるか、後押しになるか。


(ミア)「わぁ…。」

(ハザキ)「空にいるのも獣か?」


―バサァ…!!!―

周囲には煌めく海。風で揺らめく草木。遠くに見える雪山に火山。

強弱あれど、選り取り見取りの環境で生きる獣達が見える。


(オメガ)「弱い者はいないでしょう。全員が、進化の果てを追っています。」

(ルナ)「…お兄さんは、狩人なの?」

「あぁ。現地の人々から話を聞きたい。今何をしているかは定かじゃないからな。」

「妹は分かるの?」

「右大陸の王へと売られた。…生きているのかも分からない。…兄さんが、何かしてくれていると祈るしか。」

(ブラックソード)「王殺し…。視野に入れておこう。」

「とりあえず、進んでみましょうか。」


目的を整理し、新天地へと足を踏み入れる。

ここは大自然、右大陸。

獣が棲む場所。


―海池―


サン達は、ある不可思議な場所を見つけ止まった。


(サン)「海か?」


―サァァァ…。―

辺りには砂浜があるが、まるで池のように砂で囲まれているのだ。

しかも、海より離れた陸地に。そんな池のような海がある。


(ハザキ)「潜ってみるか?…故郷ではよく泳いでいた。」

(ブラックソード)「未知の場所で、挑戦しないといけないとは。」

「どのくらい深いのでしょうか。…その前に、酸性などの危険性もありますが。」

(ミア)「…待って。」


―ザババ…!!!―

ミアがそう言った。すると、水が波打ち始めた。


(ルナ)「…影。何かいるよ…。」

(サン)「これは…。離れろ!上がってくるぞ!!!」


水中の影はより鮮明に見えた。


―バシャアアア…!!!―

大量の水を打ち上げながら、獲物を咥えて。


(カメザメ・シャーカー)「キバッシャアアア!!!!!」


亀と鮫の融合進化。

最強の矛と盾。

無論、特異個体である。


(サン)「…!これが、獣…!」


サン達は驚愕した。

恐怖を感じるよりも、生命の広大さに。

咥えている獣が十分大きいのに、カメザメはその数倍の巨体なのだ。


―ドスン…!!!―

サン達の前。

獲物を挟み、カメザメと目が合う。


(サン)「逃げれはしないか…。」

「ギシャァ…」


―ブォン…!!!グサ…!!!―

サンの後ろから大槍が、カメザメの頭へと命中した。


「ギャオオオン…!!!」


―ドスン…!!!バッタン…!バッタン…!―

突然の衝撃に暴れるカメザメ。


―バッ…!!!―

サン達の間を、何かが素早く通った。


―ダッ…!!!…グググ!!!―

華麗な跳躍で大槍を掴み、力を加える。


「ギャオオオン…!!!」


―ガガガ…!!!―


(???)「展開だと…?」


カメザメは、頭上にいる存在をターゲットした。

すると肌は展開し、鋭利な鱗が見える。


―ダダダダダダダダ…!!!!!―


だが、周囲乱射。

頭の強い衝撃が狙いをバラつかせる。


(サン)「…!ミア…!!!」


サン達は身を守れる。

ただ、ミアと距離が離れている。


―バッ…!グググ…!!!スタッ…。―


(???)「グォォォォォ…!!!!!」


―ザン…!!!―


大槍を抜き、ミアの元へと跳躍した。

だが人であったはずの者が消え、ミアの前には獣がいる。


―シュウウウ…。―

「…。無事か?」


今度は獣が消え、人が現れた。

背に大槍を背負う男が。


「キシャァァァ…!!!」


―サバン…!―

頭から血を出しながらも獲物を咥え、カメザメは水中へと消えていった。


(ミア)「あなたは…。」

「...すまない。俺は君を知らないんだ。他にも何人か、知らない者がいるが…。まぁ、どちらでもいいことだな。今、こうして会えている。」

(ハザキ)「…早かったな。」

(サン)「…!!!」

(ディポラティア)「元気そうだな、お前達。」


ディポラティアとサン。

兄弟の再会は、早くも果たされた。

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