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狩人のディポラティア  作者: 深緑蒼水


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16/18

16:王座君臨

『狩人のディポラティア【16:王座君臨】』


ー王の玉座ー

玉座にいる。

長年の宿敵が。


(狩人:ディポラティア)「ムデナ・パンドラ!!!」

(ムデナ・パンドラ)「騒がしいな。俺の城が壊れる。まぁ気にならんが。なぁ、狩人。お前も少しは変わったか?」

「お前を殺せるほどにな。」

「バハムートの開花が起きたようだな。それでよい。」

「俺を消すことが目的だろう。」

「だがお前は生きてみせた。それでこそ、"理想郷"を目指す糧となる。」

「理想郷…。何のために目指す…?全てを破壊し、それでもまだ、破壊を続けていくというのか。」

「夢の始まりは単純だ。子は親を選べない。それが例え、強い血であってもな。」

「親もまた、子供を選べない。違うか?それは本来両者にとって、喜ばしいことのはずだ。だがお前は愛されなかったようだな。もしくはお前が、愛さなかったのか?…本当の出来事は分からないが、どちらが悪かったかなど、もはや関係がない。お前は人を超えてしまった。」

「ッフ。俺が獣ということか?それでいいさ。」


ーバッ…!ー

玉座からムデナが立つ。黄金に輝く右手を胸に当てた。


ーバキバキ!!!ー

すると肉体が宝石で纏われ、鎧となった。


「…お前。」

「お前が思っている通りだ。…来い。俺たちは命を奪って先に進める。」


ーサッ…!バキバキ!!!ー

ムデナは手を動かした。その手の動きに反応し、鋭い宝石が生えた。


「俺はこの地の支配者!バハムートを消滅させ、世界に旅立つ!!!」

「お前が奪ったもの、全て取り戻す!」


ーーーーー

ーバッ…!!!ー

ムデナは両手を向けて広げた。その指先から宝石が生成され…。


ードドドドドド!!!ー

「…!!!」


ーグググ!!!ー

カメザメの甲羅で宝石を受ける。


「ほぉ?それがお前の獣か。」

「まだ多くいるぞ…!」


ーガコン…!!!ダダダ!!!ー

発射した鱗は、宝石を打ち砕く。


「発射比べはやめだ。」


ーバキバキ!!!ー

ムデナは、下から上に手を動かし、宝石の壁を作った。


ーバッ…!!!ー

走りながら、ディポラティアを囲うように壁を作り始める。


「回りくどいな、ムデナ!貴様も流れているのか?もしくは手に入れたのか?"狩人の血を"!!!獣だろう、その力!」


ーバキン!バキン!ー

トランズへと変化し壁を破壊しながら、ムデナの姿を探す。


「知っているのか。だが正確に言うのなら、"原初の血"だ。それは全ての生物の源。血を手に入れるのに、時間はかかったがな。」


ーバン!!!ー

壁を破壊し、ムデナを見つけた。

だがムデナは、首を掴むかのように待っていた。

宝石は長く伸び、トランズの首を巻き込み固定した。


「ッグ!!!」


ーバキバキ!!!ー

より一層、宝石の密度が上がり、首が締まる。


「足もつかないとはな。…そのまま死ね。」


ーバキン!!!グググ!!!ー

宝石を砕き、ジフレッドへと変化する。


ーヒョオオオオオ!!!ー

「ッ!!!」


ムデナはブレスを受けた。

宝石を纏っているため、全身が固まり動けないだけで済んだ。

だがその隙を、狩人は逃がさない。


ーグググ!!!ー

グリセスと変化し、ムデナを掴む。今度はこちら側が。

そして天井を突き破り、外に出る。


ードゴン!!!フォオオオオオ!!!ー

「いくぞ…!纏った屑石ごと粉砕してやる!!!」

高高度。減速することなく、突き破った天井穴めがけて突撃した。


ードゴオオオオオオオンンン!!!!!ー

爆発のような音と衝撃が、城中に広がる。


ーボコボコオオオ…。ー

砂煙が立ち込める中…。


「ハァ…。死んだか…?」


ーバキバキ…。ー

粉々に砕けた宝石を、踏む音がする。姿も影となり見える。


「ディポラティア…!」


ーグググ…!!!ー

その影は形を変え、巨大化していく。


「獣化か。俺も準備を…。」


ーバサァ…!!!ー

(フェンクス・パンドラ:ムデナ・パンドラ)「グオオオオオオオ!!!!!

…お前も出てこい!」


ードスン…!ー

散り散りになったカーテンを破り、もう一体の巨大な影が現れた。


(生物兵器:ヌル・バハムート)「ギャオオオオオオオオ!!!!!」

「なんだこれは…!」


生物なのか分からないそれは、大量のケーブルが体中に繋がっている。

いくつもの兵器が、肉体の一部となっているのだ。


「どうだ?"フェンクスは俺が喰らった"。だが、バハムートの血筋だ。腐らせ、捨てるのは勿体ない。だから造ったのだ!世界を滅ぼす兵器を!!!勿論、"コア"も最高品質だ。」


生物兵器の胸は、黒ガラスのように透けて見えた。


「ケイジーノ!!!」

「死してなお、奴の肉体には血が流れる!!!」


ケイジーノにもケーブルが繋がれている。

血を循環させているようだ。

巨大で強大な影が二体。

解き放たれては、かつての竜大戦を、世界に引き起こすだろう。


ーサァ…。ー

眼帯を外し、獲物を捉える。

そして家族を見る。


「眼帯はもう必要ない。今、見せてやる…。」

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