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狩人のディポラティア  作者: 深緑蒼水


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13/18

13:竜大戦

『狩人のディポラティア【13:竜大戦】』


グリセス、ダライン&グレイン戦を終えた一同。

獣化した狩人の背に乗り、スカイアワーへと移動した。


―空中庭園:スカイアワーー

ディポラティアは治療施設へと運ばれた。

しばらく待機所で待っていたところ、自動ドアが開き、

管理組織の組員が現れた。


「皆様。」

(サン)「どうなった…?」

「どうぞお入りください。…彼は無事です。話したいことがあると、言っていました。」


ディポラティアがいる部屋へと向かう。


―シュイーン…。―

ディポラティアは、ベットの上にいた。


体の症状は収まっているようだ。

ケーブルが体へと繋がれており、治療されている。


(ハザキ)「大丈夫なのか?」

「毒が体に浸透していると言われたが、見ての通り。治療剤を流している。火傷もある程度は治ると…。」


ディポラティアの話を聞く前、サン達が聞いていたことを話す。


「ディポラティア。聞いていますか?狩人狩り:スレインが、脱走したそうです。実際、我々の前にも現れました。」

「そうなのか。…まぁ、あの男がやったのだろう。」

(ミア)「話って…?」


ミアはディポラティアに近付き、聞く。


「俺が気絶したあと、夢を見た…。とても鮮明な現実で。」

(ブラックソード)「どんな夢を見たんだ?」

「少し前に話したろ?かつてこの大陸でおきた”大戦”の夢を見たんだ…。」

(皆)「…!!!」


ディポラティアは、少しか細い声で語り始める。

それは血と火が広がった、大戦の話。


―栄光の大国:ギルガルダ―

かつての地。

今は無き栄光に満ちた、狩人達の国。


(狩人:ハラド)「…。」


ディポラティア達の叔父。

彼はまだ若く、孤高の狩人であった。


―ワヤワヤ…!!!ガヤガヤ…!!!―

人で賑わい、レンガが敷き詰められた、大国の道を進んでいく。


―バン…!―

特大剣を、ある者の前に置いた。


(鍛冶師)「今日はもういいのか?」

「あぁ。血がついた。手入れを頼むぞ。」


―タッ…。タッ…。―

端的な会話で終わらせ、次の場所へ向かう。


「来たぞ。」


ある商会の店。

その商人の男に話しかける。


(商人)「ハラドさん…!」

「国門の前に置いておいた。」

「置いておいたって…。獣ですか!?」

「あぁ。」

「また売るんですか?」

「いいぞ。だが金は貰う。」

「構いません!…ただ、本当に珍しい。獣を喰らわずして、狩りを成功させていっているとは…。」


―ドス…!―

重い袋を渡された。


「まだ見ていないがいいのか?」

「えぇ。あなたは大丈夫だと信じていますよ。」

「なら早く行け。盗まれていても返しはしないぞ。」

「それもそうですね…!少し任せるよ!!!」


商人の男は一人で、ハラドが狩った獣を見に行った。


「一人で運べるわけがないだろうに…。」


―タッ…。タッ…。―

そうして、また次の場所に向かう。

その最中…。


(短剣使いの狩人)「おーい!」


後ろから男の声がする。

振り返ると二人の狩人。


「何の用だ。」

「お前か?最近噂の狩人とは…。」

「噂なのかは知らないが。」

(銃剣使いの狩人)「時間があれば、私達と飲まないか?」


栄光の大国は、狩人達の集いの場。酒場は常に盛んだ。


―ギルガメッシュ酒場―

―ダン!!!―

木のグラスを合わせる。

辺りは賑わっており、声量を上げて会話しなければいけない。


「売ったのか!?」

「売った。」

(短剣使い)「あの門前にあったのは、お前が狩ったというのか…。」


獣の強さは見た目で分かる。

その者がどんな環境で生きてきたのか、肉体が知らしめる。


(銃剣使い)「やはり変わっているな。」

「いつもの事だ。喰らったことはない。」

(短剣使いの狩人)「なぜ喰らわない?」

「自分の力が一番だ。…それに、好きな相手がいる。」

「ハハ!!!」


豪快な笑いが酒場に響く。

もう一人は静かに笑っている。


(銃剣使い)「相手は人間が好きというわけか?ッフ…。意外だな。」

「いや、相手が獣になるのは抵抗感がありそうだろ?そんなに意外か?」

(短剣使い)「感情がないような奴だと思っていたが…。普通の人間だな。」


そんな感じで、賑わう酒場であった。


ーーーーー

涼しい夜風が吹く、レンガの家々の隙間。

その男はいた。


(ムデナ・パンドラ)「やったぞ…!こいつの力があれば、俺は…。」

まだ幼いムデナ。

右大陸に君臨する、獣の王。竜神:バハムートの卵。

それを一つ、ムデナはギルドへと持ち帰った…。

ーーーーー

「もう夜だな!ありがとう!今日は楽しかったぜ。」

「俺も飲むのは好きだ。」

「では我々は…」


―フオオオオ…!!!―


(ハラド)「…。風が強いな…。」

いつもより強い風が、ギルガルダに吹いている。

何だか今日は、静かに聞こえる。


―ゴロ…。―


「…見えるか?」

カラバは先の雲を指さした。


「雷雲…?」


銃剣使いの男が、スコープを覗いている。


「いや、待て!!!」

スコープから急いで目線を外した。


「ギルガルダに…!!!」


―ゴオオオオオオオオ…!!!!!―

国全土に、その咆哮は鳴り響く。


―フオオオオ…!!!―

強風が吹き荒れ、


―ゴロゴロ…!!!―

雷雲が走る。


(ハラド)「…!」

「異常だぞ、これは!」


三人は見た。

竜の軍勢を。

全方位から大量の竜が、この地へと進んでいる。


―グオオオオオオオオオオオオ!!!!!―


そして正体を見た。

咆哮の主。

竜を呼ぶ者を。

竜は集い、天変地異を引き起こす。


「”バハムート”…!!!」


ハラドが真っ先に気付いた。


―ドオン!ドオン!―

竜達による、爆撃が始まった。


「行くぞ!!!」


―ダッ!!!―

カラバが疾走する。

バハムートの向かう方向へ。


「あいつどうした!?」

「いるのではないか…?」

「…!相手がこの国に…?」

「右大陸一番の安全地帯だ。」

「なら急ぐぞ!!!」

ーーーーー

特大剣を回収し向かう。中心部へ。


―ギュイーン!!!ドオオオオオオオオ!!!―

高出力のブレスを連発している。

既に辺りは、血と火の海。


「誰か…!」


―ジュア…!!!―

人も建物も、いとも容易く消し去っていく。


(竜神:バハムート)「…グググ!!!」

「何か探しているのか…?」


バハムートはその場から必要以上には動かず、辺りを見ている。


―ダッ…!ダッ…!―

先の二人と、その他の狩人達が集まってきた。


「お前達…。」

「お前は一人で狩り続けてきたんだろうがな…!こればかりは総力戦だぜ…。」


辺りを囲う、塵が目に見える。


「ッグオオオオオオオ!!!!!」


―バッ…!!!―

大剣を掲げる。


「狩人よ集え!!!」


―ザザ…!!!―

周囲の狩人は呼応し、武器を掲げた。


「本能をぶつけろ!!!我々もまた、獣であれ…!!!」


―ウオオオオオオオオオ…!!!!!―

「グオオオオオオオ!!!!!」


火が広がる国に獣の咆哮が、轟音として響いた。

ーーーーー

「グググ…!!!」


―バサァ…!!!―

バハムートは上空へと飛び、全身が赤く発光している。


(カラバ)「何をする気だ…。」


―ヒュオオオオオ…!!!―

空中から鋭い音が聞こえる。

音の主は輝き、落ちてきている。


(皆)「…!!!」

(短剣使い)「…メテオだ!!!」


―ドオン…!ドオン…!ドオン…!―

中程度のメテオが空から降り注ぐ。


―ギュイーン…!!!―

バハムートは星降る中、ブレスを溜めている。


「ッグ…!奴の元に行かなくては!!!」

(銃剣使い)「私が狙い撃つ!少しくらいはやれるはずだ…。」

「落ちなければ意味が無い!一回でも外したら終わりだ!狙う力をもっていると知ったら学習される!」

(銃剣使い)「ッグ…!!!」


筋肉が硬直し、震えている。


「ハラド。」


―グググ…!!!―

短剣の男は獣へと変化した。


―ギョロ…!!!―

バハムートは下を見た。


「俺がお前を飛ばし、共に奴へと近付く。」

「…それでいい。狩人達よ!闘志があるのなら構えろ!!!バハムートを撃墜し、総攻撃をおこす。チャンスは一度だ…。」

「分かっている…。」


―グググ…!!!―

手足に力を入れ…。


―ドン…!!!―

地面を割る衝撃で飛ぶ。


(バハムート)「…!」


―バサァ…!!!―

バハムートは瞬間的に高度を上げた。


「ッチ…!届くか!?」


―ブオオオオオオオオオオオオ!!!!!―

そして溜めていた豪火を放つ。


「ハラド…!!!」


―サッ…!ヒュオン!!!―

ハラドに手を伸ばし、掴んだ。

そして投げた。

その方向は、ブレスの外側。


「…行け!!!お前には自信がある…!それは強さだ…!」

バハムートの豪炎を受ける短剣使い。


―ガシ…!!!スザン…!!!―

巨大なバハムートの頭部、ハラドは乗っている。


「バハムート…!!!近付いたぞ!!!」

「ギャオオオオオオオオオオン…!!!!!」

至近距離で鳴くその声はあまりにもデカく、

特大剣を振り下ろそうとする腕を止まらせる。


「ッグ…!身が震える…。気絶しそうだ…!」


―バサァ…!バサァ…!―

次は動き回り、ハラドを振り落とそうとする。


「こいつ…!満足に大剣を振れないぞ…!」


真上へとバハムートが飛ぼうものなら、ハラドがやれることはない。

孤高の狩人であろうと、決まってしまう運命だ。


(短剣使い)「決めるしかないぞ…。」


獣の姿で、バハムートとハラドを待つ。


「…私が撃つ。」

「やれるか…?相棒...。」


―カチャ…。―

筋肉の硬直はほぐれた。

スコープを覗き構える。

だが、震えは止まらない。心臓の高鳴りが今も収まらない。

周りの火も、竜の轟音も。人の叫び声も邪魔をする。


(ハラド)「ッグ…!!!撃て!!!!!」

上空。バハムートにしがみつくしかないハラドが叫ぶ。

「望み通りに…!!!」


―ドオン…!!!―

肩が吹き飛ぶ程の反動を、一部位の獣化で抑える。

そんな威力を出す巨大な弾は加速し続け…。


―バコン…!!!―

バハムートの胸に命中した。


(バハムート)「ギャオオオオオオオオン!!!!!」

一瞬、バハムートの動きが止まった。

それが終われば、取り返しがつかないほど暴れてしまう。が…


―ザン!!!―

「十分な時間だ。俺にとっては長すぎる。」


―グサァン…!!!ブシャアアアアアアア!!!!!―

幾千の獣を生贄に武器として作られた剣は、

バハムートの首に深く傷をつけた。


―フオオオオ!!!ドスン!!!―

バハムートは地面に激突した。血を流し、満足には動けない。


「グオオオオオオオオオオオオ!!!!!」


それでもまだ鳴り響く咆哮。


「来い、狩人!!!」


―ザン…!スザン…!ドス…!ダン…!―

様々な攻撃が、バハムートに集中する。

バハムートもまた、攻撃する。


―サッ…!バキボキ…!!!ボオオオオオオ!!!ダン…!―

バハムートに掴まれ、全身を折られた者。

広範囲の炎に焼かれた者達。

尻尾の薙ぎ払いに巻き込まれ、勢いよく飛んでいった者達。

残った、狩人の数は三人。

バハムートは脚をつき、息を切らしている。


(ハラド)「なぁ、バハムートはいつから呼吸していない…?」

「分からん…。時間を数えるほどの余裕がない…。」


両者動かないまま、静寂が広まった。


(銃剣使い)「死んだのか…?」


あれから一歩も、バハムートは動かずにいた。


(ハラド)「目に光がないように見える…。」


―スタッ…。スタッ…。―

慎重に、血と火の道を進む。


(短剣使い)「行くのか!?」

「首を斬り落とす。そうでもしなければ、こいつは復活しそうなほどの生命力だ。」


―カチャ…!!!―

「任せろ。こちらも狙う。いつでも吹き飛ばせるぞ…。」


首が地面へと近い。そのまま斬れる位置だ。


―スッ…。―

バハムートの正面。剣に力を加え動かす。


―ギン…!!!―


「…!?弾かれた!?」


―バン!!!カラン…。―

刃は弾かれ、弾も地面に転がっている。


(短剣使い)「硬直しているのではないか?つまりもう…」


―ギョロ…!!!―

バハムートの目が動いた。

そして三人を見ている。


(皆)「…!!!」


心臓は止まっている。筋肉も硬直している。呼吸もしていない。

それでも、バハムートは動いている。


(ハラド)「なら死んでいるはずだ…!なぜ動いている…!!!」


バハムートは少し姿勢を正した。


―ギュイーン…!!!―

バハムートの胸は、目を失わせるほどに眩い光を放ち始めた。

それは段々と強くなり…。


(短剣使い)「お前ら走れ!!!あれはまずい!!!」


―グググ…!!!―

短剣使いの背に乗り、国の中央からできるだけ離れていく。


―ギュイーン…!!!!!―

音も光もより強くなり、太陽を直視しているかのような光になった。

音も最高音まで達している。


(ハラド)「国外はまだ半分だぞ!!!」

(銃剣使い)「岩壁に隠れるしかない!!!」


―サッ…!!!ダンダン!!!―

丁度大きく重なっている壁の裏に隠れる。

辺りには、焼き焦げたもしくは切り刻まれた人々や、竜の亡骸。

逃げられた人々が、同じようにいる。


―キンキンキーン…。―

空間が白で染まった。目を閉じているのかさえ分からない。

耳を抑えても、耳鳴りが酷く鳴る。


―ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!―


そして…。

バハムートを中心とし、大爆発がおきた。

その爆発が終わった時、国が消えていた。

ーーーーー

―フオオオオ…。―

(ハラド)「地獄なのか…。ここは…。」


巨大なクレーターが、そこにはあった。

そしてそのくぼみに…。


(銃剣使い)「あれを…」


バハムートがその爆発から残ったのみ。

それ以外の全ては吹き飛んだ。


―ダッ…!―

ハラドはクレーターに向かって飛び込もうとした。


(???)「ハラド!!!」


女性の声だ。


(短剣使い)「待て…!!!」

(ハラド)「…?…!生きてたか…!!!」

「何とかね…。」


ハラドはバハムートの方を見た。


「あれを喰らわなければ…。」

(皆)「…!!!」

「奴は死んだ。だが死体が残っている。誰かが喰らわなければ、危険すぎる。」

「今行くの…?酷い怪我…。火傷してる…。」


ハラドも、二人の狩人も、血だらけであった。全身は酷く火傷している。


(短剣使い)「命があるだけマシだと言うべきだ…。」

「俺は行ってくる。喰らい、戻ってくるだけだ。」


ハラドは、バハムートを喰らうことになる。

そしてこの日。栄光に満ちた大国は、一夜にして滅びを告げた。

ーーーーー

―フオオオオ…。―

国外の木々の中。

そこで見ている者がいる。


(ムデナ・パンドラ)「ッフ…。見たか?」

(宝竜:???)「キュア…!キュア…!」

「バハムートの命の終わり、呼応したかのように生まれたな。だがお前の親は死んだ。俺が、お前の親だ。」


ムデナは巨大なクレーターとなった場所を、とても美しく眺めている。


「ここが、俺の地になる。お前の力を俺のものとし、お前と共に。いつの日か、この地へと戻るぞ。“フェンクス・パンドラ”。」

(宝竜:フェンクス・パンドラ)「キュア…!」


子は親を選べず。


「命に名は必要だ。…王へと至る!俺の夢!!!偽りでは成せぬこと…!俺が支配者に…!!!」


手を広げ、喝采を浴びるかの如く。

ムデナと幼い小竜は森の中へと消えていった。

ーーーーー

大戦の全貌とは、ムデナが原因をつくった。

親であるバハムートが子を救うため国を襲った。

かつておきた血と火の大戦。

竜大戦である。

こんばんは。深緑です。

狩人のディポラティアも後半に入りました。

そこで少し、自分語りをさせてください。


最近ある人との会話で聞いたことなのですが、悩みが急に晴れたことがあったそうです。

作品でのセリフ、人から貰ったもの(物体でないものも)など、様々な晴れをもたらすものがあるかと思います。

皆さんは何か、悩んだりすることはありますか?


人の悩みを晴らせる、言葉または世界。

私がつくる話がなれていたのなら、とても嬉しいと思ったという話でした。

今後もよろしくお願いしますね。

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