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狩人のディポラティア  作者: 深緑蒼水


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10/18

10:空中庭園:スカイアワー

『狩人のディポラティア【10:空中庭園:スカイアワー】』


ディポラティア達を乗せた右大陸管理組織の方舟は上昇を続け、雲へ入った。

―ボファ…!!!―


(ミア)「雲の中…。」


―ファァァ…!!!―

雲を越えた瞬間見えたのは、宙に浮かぶ都市であった。


(ミラーデイン)「そのまま前へ。着陸だ。…ここが"スカイアワー"。右大陸発展の地だ。」


空中庭園:スカイアワー。

右大陸初期の技術は地で作られ、次第にそれらは、空へと登っていった。

この地こそ現時代の、右大陸技術の結晶なのである。


「さぁ、本部へと行こうか。」


―空中庭園:スカイアワー―

天空の中、雲糸にて浮かぶその大地。

かつて空を支配していた、"空蜘蛛:アマノムラクモ"。

突如空から降ってきた彼の死体を使い、空への橋をかけたのだ。


「ムデナ・パンドラ討伐について、話し合おう。狩人ディポラティア。」

「勝負を仕掛けるのは、もうすぐだ。」

「獣を喰らい、バハムートを支配すると言ったな。肉体の調子はどうだ?」

「良好だ。…痛みを伴うが確実に、奴の声が消えかかっている。」


ディポラティアの肉体を蝕んでいた呪いは、

今や他の獣達と調和し薄れている。


「あと一体程度と言ったところか…。武器も着実に、完成へと近付いている。」

「俺達は獣を探す。…天空にも、生態系はある。」

「…”狙いに行くのか?”あれを…。」

「いつか倒す者が必要だろう。」


天空にもまた、強大な獣が潜んでいる。


「準備を続けてくれ。決行した時、"人々の解放"は任せる…。」

「受けよう。…狩人狩りはこちらで処置をする。」

「任せた。…長い戦いで疲れが出ている。皆一度、休むとするよ。」


カメザメ、狩人狩り、ジフレッド。

強力な者達との戦いを、一日で繰り広げたディポラティア達。


「それがいい。」


―シュイーン…。―

自動扉の前。

ディポラティアは立ち止まり、ミラーデインに振り向く。


「…ミラーデイン。狩人狩りだが、"ムデナに買われた"狩人ではないかと思うんだ。」

「…。そうなると、状況を把握されている可能性があるな…。だが奴の性格だ。きっと離れず待つのだろう。"自身の理想郷"のために。」


―バッ…!―

左腕を上げ、手を振り、本部をあとにした。


ー雪山:アインサント(頂上)ー

―ズズ…!―

通信を繋げる男がいる。


(???)「通信が出来ない…。信号が切れている…。」


―ズズ…!―

別の相手に通信をかける。


(狩人狩り:ダライン)「俺だ。"ダライン"だ。気付いたか?スレインの信号が切れた。」

(???)「あぁ。知ってる。あいつ、獲物を見つけたって言ってたろ?」


―ドン…!―

相手の場所は分からないが、何かに当たっている事は音で分かる。


「俺らを待てば、殺れてたろ!!!」

「少し落ち着け。…手がかりがない訳ではない。」

「…?」

「俺の場所まで来い。我々も、空へ行くぞ。"グレイン"。」

(狩人狩り:グレイン)「ッフ…。なら舞うか…。」


―グググ…!!!バサァ…!ギャオオオオオオオン!!!―

ノイズに混ざって鳴き声が伝わる。


―ブツ…!―

「ハァ…。どいつも騒がしいな。」


―グググ…!バサァ…!―

「待っていろ…。ディポラティア…。」


不穏な二頭の影は、空へ羽ばたいた。


―次の日―

―ピカァァァ…!―

眩しい太陽光が、朝を届けに来た。

ホテルの前、ディポラティアは集合をかけていた。


「休めたか?」

(ハザキ)「私達はそれほど、疲弊していなかったからな。」

「うむ。」

(サン)「特に変わりなく。」

(ミア)「腕、大丈夫?」

「えぇ。治りましたよ。やはり、あなたの腕がいいのでしょうね。」

「物を作ったのなんて、数年振りだ。…素材が良かったのさ。」


管理組織から素材を貰い、オメガを修復していたサン。

離れてなおその腕には、技術が染み込んでいたのだ。


(ルナ)「次はどこに?」

「草原へ行く。山の上にある廃墟に、獲物はいる。」

「廃墟があるのか?」

「獣の研究施設だった。…だがある日、天空を舞う獣に襲撃され壊滅。以来、そいつの巣へと化してしまった。」

(ルナ)「獣が、人の進化に適応してるんだね。」

「そうだな。人工物を利用する者もいる。それに昔と比べた時、獣の動きに変化があると、学者達や老狩人達は言う。他者の動きを見て変化するのは、獣も同じだ。…旅の終わりも近い。相手の上を行き、進化し続けるぞ。」


―バッ…!!!―

手を固め、前へ突き出すディポラティア。

気持ちを鼓舞し、歩みを進めよう。

早くも旅は、佳境なのだから。

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