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不当防衛  作者: 西季幽司
第三章「業火に焼かれて」
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殺意の証明①

 事件の前に、田川はレストランで北城と会っていた可能性があった。レストランより防犯カメラの映像を押収し、確認を行ったところ、田川の姿を確認することができた。ほぼ日に一度の頻度で、レストランを訪れている。大抵は一人で食事をしている姿だったが、中に人を会っている様子が撮影された映像があった。事件から五日前の映像だ。田川と誰かがレストランで会っている姿が録画されていた。

 北城かもしれなかった。

 だが、防犯カメラから田川たちが座っている場所が遠く、常に背中を向けていた為、相手の顔がはっきりと映っていなかった。席を立つ一瞬、顔が映っていたのが、人相がはっきりしなかったので、科捜研に映像の鮮明化を依頼してあった。

 いずれにしろ、レストランで田川と北城が事件前に会っていた可能性が高くなった。レストランで二人が落ち合った時刻が分かった。上田と今村が当該時刻のレストラン周辺の防犯カメラの映像を探してくれていた。

 服部は祓川と共に、品川リバーシティ・ホテルを訪ねた。

 十年前の宿泊記録を洗う為だ。

 フロントでマネージャーを呼んでもらうと、小川と名乗るスリムな男が現れた。年配の人間を想像していたが、まだ三十代だろう。綺麗に撫で付けた頭髪とすらりと伸びた鼻筋が目を引く。魚顔とでも言うのだろうか。正面から見ると、細くて小さな顔だが、横から見ると幅が広い。

「十年前なんですけど、宿泊記録が残っていますか?」と尋ねると、あっさり「はい」と頷いた。「当ホテルでは創業以来、全ての宿泊記録を保存してございます。十年前でしたら、既にパソコンを使った予約管理システムを導入しておりましたから、直ぐに検索が可能です」と小川が胸を張った。

「名前は田川敦也。十年前の四月初め頃に、こちらに宿泊したかどうか確認して頂きたいのです。何時も朝食付きのスイートを予約していたそうです」

 小川は「毎度、ごひいき頂いてありがとうございます」と習慣になっているのか礼を言ってから、「それだけ教えていただければ、直ぐに分かると思います」と近くにあった端末をかたかたと操作した。

「ありました。タガワアツヤさんですね。確かに十年前の三月二十五日から四月十日まで、こちらの滞在されております。お部屋は朝食付きのスイート・ルームです」

 あっけないほど簡単に確認が取れた。田川は祐樹ちゃんが誘拐された日に、都内に宿泊していた。

 小川に丁寧に礼を言うと、品川リバーシティ・ホテルを後にした。

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