第十三話
七尾城を陥落させた大谷吉継だったが、ここから北は地形が大谷吉継には行軍が難しく、ここで大谷吉治たちの合流を待つことにした。
しかし、宅田城の村井長頼や松波城の長連龍たちは海上から七尾城奪還に向かう。
「アイツらが向こうから来てくれるとは助かる‥」
前田利長たちの部隊も七尾城に向けて集結しておりかなりヤバイ状態になりつつあった。
「殿の部隊も限界と見える‥!急がねばな」
平塚為広も大谷吉継救援に向かうが、大谷吉治たちは未だに京極攻めへ向かっていなかった。
「申し上げます!吉継様が七尾城で包囲されましたァ!」
大谷吉治たちは南下するのをやめて富山城へ。
「俺は行きたくねぇなァ!」
南部無右衛門がゴネはじめたので松倉城に留まらせる。
数週間後、七尾で両軍が激突した。
前田利長隊、村井長頼隊、長連龍隊が波状に押し寄せてくる。
「矢弾を惜しむな。撃てるだけ撃て。命より矢の方が軽い」
火矢が空を舞う。七尾の空が、紅の花を咲かせた。
やがて、吉継の所に飛び込んできた報告。
「為広様、単騎で突破を試みております!!」
「……あの男、死ぬ気か」
「いえ、救う気です」
報告した兵が、血に染まった顔で笑った。
吉継は小さく頷いた。
「ならば、ワシも死ぬ気で足並みを揃えねばなるまい」
夜明け、霧が晴れた瞬間。
七尾に、咆哮が響く。
「ブェエェェェエエ!!!」
叫びと同時に、血の池が湧く。
気が変わって七尾に来た南部無右衛門の突撃が敵の群れを裂いていく。
「無右衛門‥よく来れたな‥」
海沿いに敵を追い詰め、火と血が入り乱れた。
前田軍は退き、村井・長連龍は船で撤退。
戦後、焼け跡に立った吉継は、静かに空を見上げる。
「……やれやれ、逃がしてしまったか」
そこへ為広が現れ、苦笑した。
「どうみても大谷家滅亡の危機でしたぞ」
吉継はブフッと咳き込み、血に濡れた手を天に掲げた。
吉継の健康も限界であった。




