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第8話 この子はだぁれ?

 

 目を開けると、暗い森の中だった。


 (これは……夢か?)


 目の前には大きなからす

 血飛沫色の目玉をグリグリと回している。


 これは、なにか良くない存在だ。

 俺は本能的にそう思った。


 鴉は首をまわすとクチバシをパクパクした。


 「あぁ。滑稽。あぁ。滑稽」


 鴉が人間の言葉を話しているのに、俺は不思議と驚かなかった。


 「滑稽って、どういう意味だ?」


 すると、鴉は目の動きを止めて、俺を見た。


 「……だって、そうだろう? 死者が生者をかたっているのだから。君はいびつに過ぎる」


 「死者? 歪? どういう意味だ?」


 からすは、俺の言葉を無視して話し続けた。


 「吾輩をたばかる魔女の鎖……、あぁ、忌まわしい。忌まわしい……」


 

 まばたきをすると、いつもの見慣れた天井だった。手をかざすと、まだ若く血色のいい手の甲が見える。


 (こんな手が死人の訳がないし)


 ……やはり、夢だったらしい。

 

 気色の悪い夢だが、今の俺は精神的にも不安定だろうし、悪夢くらい見てもおかしくないか。


 大量に寝汗をかいてしまった。

 ベタベタして気持ち悪い。


 時計を見ると、まだ6時だった。

 学校まで時間もあるし、シャワーを浴びることにした。


 頭を洗い流しながら、俺は気づいたしまったのだ。


 前世の俺は大卒だった。

 しかも、そこそこの名門校。


 ……つまりだ。


 現状は、高校生の中に大卒者がまざっているようなもの。都護夜とこよ高が進学校だとしても、これは圧倒的アドバンテージっ!!


 もしかしたら。

 ちょっと頑張ったら東大とか入れちゃうかも?


 うんうん。

 夢は無限大だな。


 シャワーをしながら頷いていると、突然、浴室の折れ戸が開いた。


 「かあさん、勝手に入ってくるなよ」


 俺がそう言うと、誰かに抱きつかれた。

 横腹の辺りに、むにっと柔らかいものが当たった。


 「おにーちゃんっ!! 花鈴かりんだぞぉー!!」


 びっくりして目をあけると、そこには見た事のない少女がいた。


 しかも、全裸だ。


 こういう場合、大概はお子様だったりするのだが、普通に胸もあるし、下も……生えている。


 たぶん今の俺よりは年下だ。

 辛うじてだが。


 ショートカットで黒髪の少女。

 目は奥二重で、形のいい唇と、いたずらっぽい八重歯。


 なかなかに可愛い。


 ……えと。

 

 この子、いま俺を「おにーちゃん」って呼んだよね?


 俺に妹はいないのだけれど。

 こっちの飯塚君には、妹がいるのか?


 でも、こんなたわわな妹さんと一緒にお風呂はマズいだろう。元飯塚君、君はもしかして、禁断の恋みたいなタブーは犯してないよな?


 いやいや、そもそもだ。

 今まで家の中で、俺はこの子を見かけたことないぞ?


 どこから湧いて来た?

 

 ……やばい。

 混乱と興奮で、鼻血をだして卒倒してしまいそうなのだが。

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