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第15話 俺の答えをみつけたい。

 

 人生はバトンリレーみたいだと思う。


 誰かから受け取ったバトンを、また誰かにしっかりと渡す。きっと、人間の歴史はその繰り返しなのだ。


 俺は、紫乃からのバトン、亡くなった両親からのバトン、元飯塚からのバトンをちゃんと受け取れているのかな。


 そう考えていたら、なんだか無性に寂しくなって、目の前で眠っている花鈴を抱きしめた。花鈴の身体は、しなやかで柔らかくて、まるで、俺を赦し、受け入れてくれているかのようだった。


 ……俺は泣いていたらしい。


 花鈴は、いつのまにか目をあけていて、人間タオルの裾で、俺の涙を拭き取ってくれた。


 花鈴は、まるで年上のお姉さんのように微笑んで、抱き返してくれた。


 「……光希くん。わたしの身体の中に、君の思いを受け入れてあげようか?」


 花鈴はモゾモゾとパンツを脱ぎ始めた。

 受け入れるって、そのまんまの意味なのか……。


 「花鈴、そんなこと言ってると、本当にしちゃうよ?」


 花鈴は小声で答えた。


 「いいよ。でもね、そのかわりゴニョゴニョ……」


 俺は聞き返した。


 「ゴニョゴニョ部分がよく聞こえないんだけど」


 花鈴は、気まずそうに言い直した。


 「……もし、そうなったら、君とボクとの契約は成立して、君の肉体と魂は未来永劫、ボクと鎖で繋がれて離れられなくなるのだけれど」


 こいつ、一番大事な部分を誤魔化していやがった。重要事項を画面の右下に極小文字で書いている、通販番組みたいなことしやがって。


 「却下!!」


 俺は花鈴にデコピンした。

 花鈴は額を押さえて、涙目になっている。


 「インチキ商法みたいなことしやがって」


 俺がそういうと、花鈴は、なにやら必死に反論している。


 「ひっどーい。本気でおにーちゃんのこと心配してるのにぃ。ボクと見つめ合いながらそういうことしたら、世界一、気持ちよくなれるし。ぴゅーんって、辛い記憶、全部、綺麗さっぱりなくなるんだよ?」


 なにやら、最後に聞き捨てならない文句があったような。何かの呪術なのだろうか。

 

 記憶が全部綺麗にさっぱりって、本気で怖すぎるんだが。


 「ぴゅーんってさ……。お前とのエッチは、なんかの違法ドラッグなわけ?」


 俺は思わず突っ込んだ。

 花鈴は口を尖らせている。


 「それだけ、気持ちいいって意味じゃん」


 「ふぅーん。じゃあ、その間、お前は目を瞑ってろ」


 「それはダメっ。目を閉じてたら力を使えない。あ、いやっ。初体験くらい、見つめ合いながらしたいっていうか?♡」


 「やっぱ、却下。お前。嘘の練習した方がいいぞ?」


 そこで、俺は一つの疑問がわいた。

 女の子といい感じになるとする頭痛のことだ。


 「あのさ。俺、エッチなこと考えると拒否反応っていうか……頭痛と吐き気がするんだけど、お前としたら、そういうの突破できるの?」


 すると、花鈴は胸を張った。


 「よゆー。青が赤になんて負ける訳がない。えっへん」

 

 ってことは、コイツの誘惑は要注意ってことか。まぁ、でも、花鈴よけは簡単なのだ。


 「花鈴、お前、ちょっと匂うぞ?」


 俺がそういうと、花鈴は顔を真っ赤にして自分の二の腕の辺りをスンスンと嗅ぎはじめた。


 「えっ。いっぱい洗ったのに、なんで」


 うん。やっぱり、この子はちょろい。


 「うそうそ。ほんとは良い匂いだよ」


 すると、花鈴は安心したようだった。

 まぁ、それにしても……。


 「やっぱ、花鈴は嘘の練習しような?」



 (トントン)


 花鈴がまた何か反論しようとした時、ドアがノックされた。


 「入るぞ」


 返事を聞かず、父さんが部屋に入ってきた。


 そこにはベッドで抱き合う、下半身裸の花鈴と俺。父さんとベッドの間には、花鈴が脱ぎ捨てたパンツが転がっている。


 ……色々な意味で終わったわ。

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