役たたずですが、異世界で愛されて舞い戻ります。
初投稿、拙い文書で書き込みました。いつもお世話になっている。なろうさんの小説で想像の世界を楽しませて頂いてます。私の想像の一片でも誰かの想像の参考になれば幸いです。
薄暗い地下、聞こえるのは地面に落ちる水滴の音、灯はたまに食事を持ってくる召使が支障がない程度の灯のみ、その召使も、もう3日程ここには来ていない、落ちて来た水滴のみで命を繋いでいる状況で、走馬灯のように今までの出来事を思い出す。
私は歴史だけ古い貴族の家に生まれた、母は元メイドで父である領主の手つきで出来た子である。生まれたすぐは、メイドの子ではあったものの領主の子であったためそれなりの生活が出来た。しかし10歳の時、神殿で行われる魔力測定にて、魔力の測定値が皆無であった為、親から見放され、それから、召使の扱いに変わった。母も出来損ないを産んだとして雑に扱われ、召使として扱われてる私が暴力を振るわれてるのを庇った理由で、屋敷を追い出された。その時に私の引き取りを願ったが、後々、面倒ごとになると懸念され、
母だけが追い出されてしまった。庇ってくれる人がいなくなりさらに暴力が増えた。12歳の時に、使用人の1人に押し倒され、来ていた粗末の服を破られた、流石に怖くなり、手元にあった花瓶を振り回したら、使用人に当たりその音を聞いた別の使用人に取り押さえられた、わたしを襲った使用人は私に理由なく殴られたと主張し、私の言い分は聞いてもらえず、そのまま今地下に閉じ込められた。遠くからここの正妻や愛人の子供達のはしゃぎ声が時折聞こえてくる。彼らは少なからず、魔力が測定された為それなりに扱われている。どうしてわたしだけがと思うがもう涙も出て来ない、光のない朦朧とした目で牢の片隅から壁を見続ける日々、もうそろそろ死ねるかなと思った時、魔力測定の際一つだけスキルという記載があったのを思い出した、確か[開けごま]との記載で声に出しても何もおこらなかった、周りの人間も[ごま]が何の役に立つのだと嘲笑されて、領主はさらに腹を立てて、人目も憚らず私を蹴り飛ばした。今唱えたら[ごま]でもいい、食べ物が出て来るかなと声にならない声で囁いてみた、すると、見つめていた壁に取っ手がついてるのに気づいた、牢の入り口の格子とは違う、壁についた取っ手、昨日までは確かになかった不思議に思ったが少しだけもたげた興味心で取っ手に近づいた、ずっと食事なしで座りぱなしだった体はすぐにうこがず、転びながら取っ手に近づく、なんとか取っ手まで近づき、もたれかかるように取っ手に取り付いた勢いで取っ手が回り壁だった部分があちら側に開きそのままその中に倒れ込んでしまった。その瞬間世界が暗転し石畳でない地面の上に倒れ込んでしまった。閉じてしまっていた目を開くととても明るく草の匂いのする場所だった、そこで呆けていると何処からか女性の悲鳴のような声が聞こえた、其方を向くとつばの広い帽子を被った女性が慌てたように駆け寄って来た、駆け寄って来た女性は何かを私に声をかけているようだが、話してる内容が何もわからなかった。不思議そうに首を傾げ、見つめる私に郷をにやしたのか。私の手を握って立たせようとしてくれたが、先ほどの移動で力を使い果たした私は立ち上がる事ができず。女性は私を抱えてくれた、私も急な事に驚気はしたが力が残っておらず為されるがままにされた、その時女性がとても驚いた顔で私を見たのが印象的だった。そのまま近くの建物の中に連れて行かれたのだが、その建物は不思議な作りだった、石で出来ておらず木を組み合わせたような作りで今まで見た事がない建物だった、女性も室内に入ってすぐの段差がある場所で履物をわざわざ脱いで、段差上にある平たい履物に履き替えて室内を進んで行く、ある程度進んで横に開く扉の中に入り横に広いソファーに私を寝かしてくれた、そのまま私のおでこに手を当てて自分のおでこにも手お当てて何かを測っているようだった、そしてその部屋と繋がっている隣の部屋に向かって行き、戸棚から透明なコップを取り出して、壁から生えている筒から水を出してコップに注いでいた、コップにある程度水が溜まると慌てた様子で私の元に戻って来てコップを差し出してくれた、私は無い力を振り絞りコップを受け取ろうとしたが、うまくいかず女性が支えてくれながら水を口に含んだ、その水は驚く程透明で甘いと思える程美味しいく一気にのみ干してしまった。それを見た女性はやっと安心した表情をして、もう一度水を持って来てくれた。私は水を飲んで落ち着いたのか意識が遠くなるのを感じてそのまま眠ってしまった。
女性、佐々木千代は眠てしまった少女を見下ろし、どうしたものかと考えていた、日課の庭の手入れをしていた時に聞き覚えのない扉の閉まる音がして目を向けると、この少女が地面に倒れており、起きあがろうとしていたのだ、慌てて駆け寄り声をかけるも言葉がわかっていないようだった、それよりも明らかに栄養が足りていない顔つきに粗末な服?...いやコレは布切れを着ており、今にも消えてしまいそうな印象を受けた、手を握って立たせようとしたが足元がおぼつかないようなので、抱え上げた、その時の軽さと行ったら人を抱えてるとは思えずかなり驚いた、急いで家の中に運び込んで居間のソファーに寝かせた 額に手を当て体温を測り熱は無かったが驚く程冷たい額だった、急ぎ水をついで与えたら、震える手で受け取ろうとしてくれたので、コップを支えるのを手伝いながら水を呑ます事が出来た、それで少し落ち着きもう一度水を与える事が出来た。もう一度水を飲むとその少女はそのまま意識を失ってしまった。再度驚き慌てたが規則的な胸の規則的な動きを見て安心出来た。さてどうするか、警察に連絡それとも病院?主人に相談しようか、そもそもこの子は日本人には見えない、くすんでいるが髪は金髪なのだろう、また力なく開き切ってはいなかったが目の色は緑と紫のオッドアイと言われるものだった、そしてどうやってうちの庭に来たのだろうか不思議な事ばかりでうまく説明できる自信がなく戸惑っていると玄関の扉が開く音が聞こえて来た、主人が帰って来たのだろう。玄関に向かってすぐにこちらに来て欲しいと声をかけると足音がこちらに向かって来た。そして顔を出した主人が私とソファーに眠ている少女を見てとても驚いた顔をしていた、私は、あら珍しいと今の状況も帰りみず少し笑ってしまった。この無口で無愛想な人の顔色が変わるのを見たのはいつ頃だろうと不謹慎にも嬉しくなってしまったのだ、そんな私の顔を見て照れたのかゴホンと咳払いして目で説明を促して来た、私もわからない事だらけだか見たままを主人に伝えた。事情を聞いた主人は少し考えこんだ後、居間の固定電話に向かうと何処かに電話し始めた。会話の内容を聞くところ、元主人の教え子で今はそれなりの警察の立場についている知り合いに電話してるようだった、それを横目に少女の様子を再度確認する、規則的な胸の動きはしている為、今すぐにどうという事はないように思うが、驚く程青白い顔色、肉のついてない四肢、これは布切れの中も肉がついているように見えない、側から見ても碌に食事をしていないのがわかる。また、所々にアザも確認できる。
子供にこんな仕打ちをする人間がいるのかと思うとお腹の底から黒い感情が込み上がってくるのがわかる、そんな事を考えていると、無口な主人珍しく、警察に連絡した事、知り合いの病院のお医者がこちらにすぐ向かってくれる事を伝えてくれた。
しばらくしてお医者と警察が家に来た、相変わらず眠り続ける少女をお医者が脈や体温を測り極度の栄養失調と判断、同行した女性の看護師と私で布切れを脱がし、体を拭いて簡易的な衣服に着替えさした、また主人の連絡を受けた警察の知り合いが信用できる部下を派遣し事件性を調べてくれた、現在該当する行方不明や事件は起こっておらず、少女をどうするかと話になり、病院に入院させようと話にもなったが、話かできない少女を私以外に預ける事にどうしても抵抗があり、ここで寝かしてあげたいと強めに主張してしまった。主人も滅多に主張しない私に驚いた顔をしながらも、家で預かれるよう警察とお医者に話をつけてくれた。とりあえずその場で少女に点滴を射って看護師が付き添いしてくれた。
目を開けると変わった植物の匂いのする部屋に引かれたマット?の上に寝ていた、体の上に上掛けが載っており、とても肌触りが良く暖かく居心地が良かった。体を起こすととても体が軽く驚いた。回りを見渡すと、見たことがない物ばかりだった。部屋は明るく、紙がいっぱい貼り付けた窓から明かりが差し込んでいた。立ちあがろうとするとふらついて膝をついてしまった。もう一度立とうとすらと、足音と扉が開く音がして昨日の女性が入って来た、私の様子を見ると駆け寄って来て手に持っていたトレイを床に置いて私の体を支えてくれた、そのまま寝ていたところに戻るように促され、また寝かされてしまった。私はここは何処かと尋ねたが、彼女はまた驚いたような顔して何かを尋ねてる様だが、話がわからなかった。お互い何時か会話をこころみるもお互いの会話が伝わらず。女性は会話をやめて前に飲ませてくれた水を入れたコップを差し出してくれた。私はコップを受け取り今度は自分だけで水を飲み干す事が出来た、相変わらず美味しい水だった、前は久しぶりにまともな水を飲んだから美味しいのかと思ったが、もう一度飲んでも今までに飲んだ水より美味しいそれどころか、別物に思えた。水に関心していると、女性は白に黄色の模様がついた物の入っている器を差し出してくれた、それとその白いものを掬う為であろうスプーンを握らせてくれた、私は白い物からする芳醇な匂いで食べ物と判断し掻き込むようにスプーンで掬って口に入れると、口の中がとても熱く口をスプーンから離してしまった、それを見た女性は器とスプーンを、私から受けとると、白い食べ物をスプーンで掬いふうーふうーと息を吹きかけて私の口に運んでくれた、少し気恥ずかしさと抵抗があったが、幼い頃母がしてくれた事を思い出しされるがままに口に含んだ、口に含んだ瞬間口に広がる旨みと貴重な卵の味が広がった、最初感じた熱さも久しぶりに口に暖かい物を入れた為熱いと感じたが、少し冷ましたぐらいでこの熱さならそもそもそこまで熱く無かったのだろうと思う。そんな事を思いながら夢中で咀嚼して飲み込むとまるで乾いた土に水を落としたように体に染み渡るのを感じる。次が欲しくて、何も考えず再び口を開くと女性は笑顔でまた口にスプーンで掬った食べ物を運んでくれた、私は最初の気恥ずかしさも忘れ夢中で咀嚼し口を開け続けた。あっというまに器が空になり、それを残念に思っていると、女性は少し申し訳そうな顔で何事かをささやき、私の頭を撫でてくれた。頭を撫でてもらうなんていつ頃のことだろうと思った途端、もう出ることが無いと思っていた涙が溢れるように頬を伝った、それを見た女性は再度驚き、空になった器とスプーンを手放すと私をぎゅつと抱きしめてくれたその感触がとても心地よく、しばらくその状態で女性の胸で泣いていると、また眠気がやって来て私はそのまま意識を手放してしまった。
少女をうちで様子を見ることになり翌日、夜中に何時か立ち会ってくれた看護師と交代で様子を見ていたが目をさます様子がなく、夜が明けて、看護師には夜中付き合ってくれたお礼を行って朝には帰っていただいた。朝食を作るタイミングで少女ようにおかゆ(栄養を考えて卵入り)薄味を作り、冷ました物を持って少女の寝ている部屋に向かった、また寝てるかもと部屋を開けると彼女は布団から出ようとしたのか布団から少し出たところで、膝まついていた、急ぎ側に近づき支えるよう手伝いまだ安静にするよう布団に戻るよう促すと少女は素直に布団に戻ってくれた。そして何事かを喋っているようだが、予想通り言葉かわからなかった、私も日本語で尋ねるも、会話は伝わってる様子がなく、とりあえず会話は、断念して、おかゆと一緒に持って来た水入りのコップを差し出すと、今回は自分の力だけで一気に水を飲んでくれた、飲んだ後カラのコップを見つめていたが、お粥とサジを手渡すと、すぐに食べ物とわかったようで、急いで口に入れようとして、思いの他に熱かったのだろうか、サジから口を離してしまった。それなりに冷ましたと思ったのだが、まだ熱く感じるようなので、器とサジを再び引き取ると、サジにおかゆを掬い、昔自分の子供が幼かった時にしてあげたように息を吹きかけ口に運んであげた、抵抗を感じるかと思ったが少女は何の躊躇もなく、口に含んで咀嚼してしまった。その時、ずっと光が灯って無いように見えた目が大きく見開き目に光が宿ったように見えた、彼女は再び口を開いたので、すぐに少し息を吹きかけてから口に運んであげるのを繰り返すとあっというまに器が空になった、空になった器を見て少女は大変残念そうな顔をしたが、急に食べ物を沢山与えるのは不安だった為、申し訳ないと思いながらも、もう少し我慢してねと声をかけて、自然と少女の頭を撫でてしまった。すると、人形の様だと思った少女の顔かくしゃと歪み目から大粒の涙か溢れ出した、私は驚いだが、持っていた空の器とサジを床に落とし跳びつく様に少女を抱きしめてしまった。少女は抵抗をせずそのまま嗚咽をさせながそのまま時間が過ぎ、気づくとそのまま少女は眠りについた様だ
夕方、主人が帰って来て様子を伺って来た、少し目を覚まして、おかゆを食べた事を伝えると、凄く安心した様子だった。主人も一日中気掛かりだったのだろう。そして、今日あったことを伝え、少女が日本語が分からない事を伝えると、今後どうするかの話合いとなった、正式な対応としては、警察に預け、何処かの児童養護施設に預けるのが正しいのだろうが、日本語の喋れない身元不明の少女がどこまで保護してもらえるのか不安しか無い、それに先ほど見た少女の泣き顔を思い出すと、絶対に手元から離そうと思え無くて、主人にこのまま面倒を見たい事を伝えた、最初は考え込んでいた主人も私がどうしてもと引き下がらない事を感じると、渋々了解してくれて、そのまま、警察の知り合いや紹介してもらった関係各所に連絡すると、何とか話をつける事ができた様だった、詳しくはわからないないが、主人の元教え子や、近所の顔としての立場で物事が済んだ様だった。
再び目を開けると、同じ寝床で目が覚めた、あれからどれくらい時間が経ったのだろう、相変わらず自分のいる場所がわからない、前にいた場所がどうなったかも考えたが誰も心配も迷惑もかかってないと思い考えるのをやめた。
ただ日々の食事と今後どう生活していけばいいのかだけが不安だった。
そんな事を、考えてると、とても用を足したくなった、前の牢にいた時は片隅で用足していたが、今いるこの場所はどう見ても用を足せる場所では無かった、どうしようと思っていると、また足音と扉が開く音がしてそちらを見ると、見た事のない年配の男性が驚いた顔でこちらを見つめていた、こちらも驚いだが、用を足したいのを思い出し、おぼつかない足で立ち上がるとはしたないとも思ったが股をさして足をバタバタさせた、すると男性はすぐに理解した様で、手招きして付いて来るように伝えて来た私は急いで、ついて行って男性が開けてくれた扉の中を覗くと、白い壺?のある部屋だった、どうしたらいいのかと男性の方を見ると、男性は困った顔をすると、少し考えてから下の履物を脱ぐマネをして白い壺に座って見せた。同じようにするよう身振りで促されて白い壺を覗くと水が溜まっているのが見えたこんな底の浅い所に用を足したらすぐに満杯になるのではと思ったが男性は扉を閉めてしまい、我慢の限界の私は促された通りに壺に座って用を足してしまった。出した後の残ったままの壺をどうしたらいいのかわからず、そのまま壺の部屋の扉を開けて外を覗くと、見慣れた女性が立って待っていてくれた、女性は壺の部屋の中に入って来ると、壺の上部にある銀のレバーを引いた、すると壺の中の物が水と一緒に流れて無くなってしまった。驚いて見ていると、女性は側に合った白い丸いものから薄い紙状の物を引っ張り出し始めた。なんて薄い紙なんだろうと見ていると、適当なとこで切り離して、
その紙を手頃に下り重ねると、股を拭くような身振りをしてくれた、なるほどこれで、用をたした後の後始末をするのかと、なんて贅沢なんだろうおもいながら、手渡された紙を使って促されまま股を拭って、それをまた壺の中にに入れるよう促され壺に入れると、また銀のレバーを引いてその神は壺の中に吸い込まれて行った。
壺の部屋を出た後、寝てた部屋と違う所に連れて行かれた、そこは最初に寝かされたソファーがある部屋だった、そこには先ほど壺の部屋に案内してくれた、男性がソファーに座らす、床に小さなマットを引いて座っていた、私はソファーに案内されソファーに座るように促された、男性か床に座ってるのに申し訳ないと思っていると女性が笑顔で再度ソファーに座るように促し、同じソファーの横に一緒に座ってくれた。
私はお礼と再度、この場所を聞こうとしたが、やはり会話が伝わらず話が出来なかった。
とりあえず身振り手振りでやり取りを頑張って見たが、今後の生活など不安を払拭する事は出来なかった。
あれから一年が経った。
最初は会話が出来なかった少女だが一年も経つ頃には、みるみるうちに会話ができるようになって、多少イントネーションに差し障りがあるものの、外での買い物や学校を過ごすのも支障か無くなっていた、少女はとても物覚えがよく、好奇心旺盛であっというまに、周りの環境に慣れて行った。
そして少女の名前がシンシアだと分かった、家名とご家族の事を聞いたがわからないとの答えだった、言外に言いたくないのかと感じとり、私も主人もそれ以上詮索しなかった、彼女の最初の状態と今も行方不明の問い合わせが無いことも理由だった。
その後養子として一緒に生活を共にしている。
今では主人の人脈もあり関係各所に話を通して学校にも通っている。
今日も近所の悪ガキと評判の男の子が家の玄関まで少女を迎えに来た。
この男の子は前にいたずらがすぎて、うちの主人に公正するよう預けられた事がある子供だ、預けられた当初は大変な利かん坊で主人にも反抗していたが、今では主人の事を師匠と呼んで、懐いてくれている、それとは別に稽古に少女が参加する様になってからあからさまに稽古の力の入れようが変わったのが微笑ましく感じている。
玄関を開けると、大きな声で「シア行くぞー」と大きな声をかけて来た、すると、「はーい」と返事が帰って来て、日課の主人との瞑想を切り上げて道場からかけて来る足音が聞こえて来る。
私も見送りする為に玄関に向かう。
「おはよう。」と声かけるシンシアに「おう」と顔を赤らめてぶっきらぼうに答える少年こと三嶋大智君
大智も朝稽古参加しなよとシンシア、朝から師匠に投げられてたら、1日持たないと大智君、朝のいつものやり取りを聞きながら、2人とも遅刻するわよと、シンシア用のお弁当を手渡す。お弁当を受け取ったシンシアはありがとうと受け取ると、行ってきますと行って大智と玄関から駆け出して行く、おばさんの弁当うまいんだよな今日も分けてくれよと大智君が言うと、あんた毎日人の弁当取らなでよと押し問答しながら2人は学校に向かって行った。
そこへ、道場から出て来た主人が、二人の後ろ姿を見つめながら、ボソッとシンシアはワシに一本入れない限りやらんぞ、と大人気ない事を呟いてるのを、聞かないフリをして、お茶にしましょうと主人に声をかけた。
学校に着いて自分の席に座る、仲良しの美咲ちゃんがおはようと声をかけて来た私もおはようと挨拶して、何気ない会話を楽しむ。美咲ちゃんは学校に編入したばかりの会話がままならないわたしに付き添い友達になってくれた親友で恩人でもある。
また、大智も学校に編入する前から、養父の道場で私にに気をかけてくれたが気恥ずかしくて感謝を口に出せていない。
朝のホームルームの後に授業がはじまり、今ではだいぶ学校にも慣れ、学ぶ事が全て新鮮でとても楽しい日々が過ごせている、日々の生活や授業で習って行くうちに、ここが前いた場所と何もかもが違う事に、前の世界の外にほとんど出た事が無い私でも思い立ってしまう。この世界には、魔法は無かった。その代わり電気というエネルギーを使って前の世界と比べられ無いくらい技術が進んでいる世界である。
貧富の差はもちろんあるものの、この世界の日本という国であれば、法治国家であり、基本平等に人々が生活できており、一定の年齢まで学校に、通う義務がある為、識字率が高く、前の世界では考えられない程高度な計算を幼少期にはマスターできるほどだ。
本当に前の世界と比べて雲泥の差の生活を日々謳歌させてもらっている。
まだこの世界に来たばかりの頃、会話はできずこのままどうなるのかと心配ばかりしていたが会話がある程度理解できる様になると、今の養父と養母から養子にならないかと打診された時は嬉しくて、大泣きしてしまい、また養母に抱きしめられお互いに延々と泣き明かしたのがつい最近のように思う。養子となった後、ただ面倒を見てもらうことに後ろめたさを感じ家の手伝いを申し出て、最初は気にしなくていいと言われたが、少しずついろいろ手伝える事が増えて行き、養父の道場の清掃など手伝ったりした。そんな時にいたずらしすぎて連れてこられた大智と出会った。来たばかりの大智はとても反抗的で、養父に逆らってばっかりだった、でも養父は根気強く、腹を立てる事も無く真摯に大智に向き合っていた、でも私はそんな大智が許せなくて、大智に養父を困らすなと、取っ組み合いの喧嘩に発展した。お互い同じ年齢で13歳になると男の子の体格の方が良く私が負けてしまった。その時はさすがに養父も怒って、大智の頭に拳骨を当てていたのを覚えている。それから大智に負けたのが悔しくて、養父に武術の指導を頼み込み、最初は乗り気では無かった父も、真剣に私が頼み込んだのと、養母が今時は女性も護身術は身につけておくべきだと、後押ししてくれて、武術を習う事になった、武術を習ってしばらくして、養父のいう気の巡りを意識する事を学んだ、前の世界で魔法として顕現しなかったが、体内に流れる魔力にはなんとなく意識できた、試しに体に巡らせて見ると、体外には出せないが、いつもより早く体を動かす事が出来普段より力が出せた、また目に意識する事で自分だけでなく、相手の気の流れも見える気がした。一度大智と組み手を行った際大智の気の薄くなった場所にタイミングよく技をかけると初めて大智から一本取る事ができた、養父も大変驚き、凄く褒めてくれた、それが悔しかった大智にすぐ投げられて、また負けてしまったが、それから大智が、本気になって組み手をするようになった、たまに勝てるが、負け越しが続いていた時大智に投げられ、その勢いで大智が私の胸に倒れこんできた、組み手中のアクシデントで私は気にして無かったのだが、それから大智は私との組み手を避けるようになった。私が挑発しても、女を殴れるかと、あからさまに避けられた、養父に何とかするよう頼んだが、あいつも男として意識して来たのだから尊重してやれと話しをはぐらかされ、後少しで気の使い方を掴みかけて、リベンジできると思ったのにとても悔しい思いをしてしまった。
そんなこんなで日々を過ごしていると、外国の童話でアラジンという絵本の話しを聞いた、日本で生まれていればかなり幼少期に知る事できる童話だが、私は初めてその童話を知った、その中のセリフで[開けごま]聞いた時、忘れていた昔の事を思い出した。生家の事はどうでもいいが、最後まで私を庇ってくれた生みの母の安否だけが心配だった。だから前の世界に戻りたくはないが、もしかして戻れる可能性があるのかと[開けごま]と唱えてみたが何も起こらなかった。その数日後、寝る準備をして、布団に入る時に、ふと[開けごま]と何気なく呟くと、部屋の入り口とは違う壁に取っ手がついてるのに気づいた、まさかと思い近づいてみると、あの時、前の世界の牢の壁についていた取っ手と同じものだった。
少し逡巡したものの好奇心と生みの母の事が気になり扉を開けたら直後世界が暗転し意識が遠のいてしまった。
目が覚めると、牢の片隅で壁を見つめていた。我に帰り回りを確認すると、とても薄暗い牢に戻って来ている事を理解した。ただ目線がやけに低く手足や胸が小さくなっている事に気づいた、今までのが夢だったのかと、体内に意識を向けてみると、前は牢のなかで餓死寸前だったはずなのに、空腹はなく、手足は短くなっている物の肉付きや血色は健康そのもの、体内に気(魔法)を流す事もできた、目に気を意識して回りをみると薄暗い部屋が昼間以上にくっきり見えて、外の人間の気配も感知できた、日本にいた時以上に気を意識し活用出来る事に気づいた。そしてもう元の世界に戻れないのかと、心配になり、再び[開けごま]を唱えると、また壁に取っ手か現れた。私は急いで扉を開けるとまた意識が暗転し、気がつくと、日本の自分の部屋で早朝に目を覚ましていた。起き上がり急いで居間に行くと養母がおはよう、あらいつもよりさらに早いわねと声をかけてくれた。私も挨拶をしてなんか目が覚めちゃってと返事をして回りの変化を確認する。テレビをつけて先ほど寝ようとしていた次の日である事を確認、また自分の体の大きさも元に戻っていた。
その後はいつもの日課を過ごしながら、起こった事を整理して考えていると、瞑想の時に意識がぶれたらしく、養父にたるんでるぞ、と久しぶりに注意されてしまった。
学校に着いてからも、昨日の出来事を考えてしまって、授業に集中できず、お昼も気づくとお弁当のほとんどを大智に取られてしまっていた。あいつは後で、しばこうと思いながら家に帰って居間でふと[開けごま]と唱えても何も起こらなかった。不思議に思い昨日と同様に寝る準備をして、布団に入る前にもう一度[開けごま]と唱えると、今度は再び壁に取っ手が現れた。これは夜寝る前にしか使えないのかと仮定をたてて再び取っ手を回し扉を開けると、世界が暗転した。
目を覚ますとまた牢の片隅て壁を見つめている状態だった。体もまた小さくなっていて、ただ空腹は感じ無かった。戻れる事がわかると途端に余裕が出て来て、ここでできる事を考え始めた。とりあえずこの牢から出られるのか?目に気を意識して牢を見渡すと、天井付近に外壁と面した脆い場所がわかった、届くかと足に気を意識して飛び上がると思った以上に跳び上がり目の前に脆い壁があった、一旦牢の地面に着地するも、届く事がわかったので、全身に気を巡らせてもう一度ジャンプし目の前に来た脆い壁に当身をすると、思いの外簡単に穴が空いたそれを2、3度繰り返し今の小さな自分の体が通れる大きさなのを確認すると、そこから外に這い出す事ができた、この世界で何日ぶりの外だろうと思いながら回りを見渡す。月が明るく目に気を巡らせなくても良く見える夜だった。
まず何をするべきか、気掛かりである生みの母の安否が知りたいと思い母の居所を調べる事にした。時間は真夜中、どうしたものかと考えて、ここの家宰なら何か知ってると思い部屋に侵入しようと思い立ち方法を考える、確か家宰の寝室は4階の領主の部屋の下の階にあったはずと3階を、見上げる、さすがに飛び上がりでは無理かと違う方法を考えると、ここなら気を体外に出す事ができるのではと手の延長線上に意識してみた、すると思った通り手が伸びたような意識ができてそのまま手から気を伸ばして少し離れた石に意識を伸ばした気で掴んでみると離れた石を掴む事ができた。またその架空の手がどこまで伸びるのか試したところ3階まで問題なく伸ばす事ができる事気づいた。3階の窓の空いている部屋を探して、その窓枠に架空の手を伸ばして掴んだ後伸縮するとスルスルと壁を登る事ができた。そのまま中に入り全身に気を巡らせ、目に意識する事で周りの人間の気配も掴む事ができた。大体の使用人が相部屋だが家宰は一人部屋のはずだと回りを見渡すと、一番奥に一人だけの気配を感じる部屋を見つけた、ちなみに上の領主の部屋を伺うと領主以外に2人程同じ部屋にいる事がわかった。改めて軽蔑し、意識から外した。奥の部屋に静かに向かって扉に近づくと扉に鍵がかかっている事を確認、また気を伸ばして開けれるか試してみると気は扉を通り抜け掴みたいと意識したガキのつまみのみ掴むことができた。凄く便利だと思いながら鍵を静かに開けて部屋の中に侵入した。部屋の中には確認した通り家宰一人が眠っていて、他に警戒するものは無かった、どうやって母の事を聞き出そうか考え、便利な気を伸ばし家宰の鼻を摘んで見た、すると少しずつ苦しそうな呼吸をし出し、しばらくすると、ブハアと息継ぎの為に状態を起こして起き上がった、そのタイミングで口を気て押さえ声を出さないよう忠告した、喋れない家宰は何が起こっているのか理解出来ず目を白黒させている。再度声を出さないよう忠告したが、声の主が牢に入れられていた見窄らしい布切れを巻いた出来損ないとわかると急に目を尖らせ睨みつけて来た、そして何かを喋ろうとするも声がです口をパクパクさせていた、コレは手を離すと叫ばれると思いそのまま様子見をしていたが相変わらず口をパクパクしていたので、同時ハナを摘むと、呼吸ができなくなり白目を剥き出した、そこで、鼻を離し呼吸をさせて再度声を出さないよう忠告すると渋々の様子で頷いたので口から気を少しだけ離して解放した。
すると、途端に魔力無しの役立たずが何をしに来ただの悪態をつき始めた、大声を出そうとしたら口をを押さえるつもりだったが、大声は出すそぶりが無かったのでそのまま喋らせた、一通り喋って状況が理解できたのか、人呼吸おいて私を睨みつけて来た、私は意に関せずに生みの母の居場所を問いただすと、元いた孤児院に帰ったのだろうと、その後は知らないとの事だった、あんなアバズレ自業自得だのそれから生まれたからお前は役立たずだの囃し立てたので、再度口と鼻を気で押さえて今度は確実に白目を剥いて意識がなくなるまで押さえつけた。そのまま、家宰の窓の部屋からら外に飛び出し気を意識した足で難なく地上に飛び降りた。
そして、屋敷を振り返って思う、自分が何て狭い常識の中で暮らしていたのかと、回りの人間に役立たずと言われ、そのせいで、誰でもない自分自身が役立たずだと思っていた。でも、今は違う日本で暮らし養母や養父と一緒に暮らしあちらで沢山友達ができた。養母に抱きしめられお互い大泣きした時の抱きしめられた感触は今でも忘れられない。そして同じように抱きしめくれた母がこの世界にいるのであればどんな結果であれ安否を確かめたいと思い二度と戻る事がないであろう屋敷に背を向け駆け出した、屋敷の塀を軽々飛び越え、聞き出した孤児院向かって走り出した。
こんな、拙い文章に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございます。読んで頂いた方のコレからのより良い作品との出会いをお祈り申し上げます。