新しいお仕事
菊川タカセの上司は宇治宮タスク
菊川タカセと同じチームの長尾マヤ
長尾マヤの部下は今宮アサヒ(お久しぶり!)
今回は、区切りがつかず少し長めです。
宇治宮の部屋に行くと思っていたが、同じフロアのミーティングルールに案内された。
宇治宮の後に入ったマヤは入室時にドアについている電子掲示板に「会議中・途中入室不可」の文字を赤で表示した。これが表示されている時は、中の人が出てくるまで接触することはできないルールになっている。
「マヤさん!なんかカレー臭しますよ?」
先に部屋に入っていたマヤの古くからの部下の今宮が顔をしかめながらマヤを眺める
「こらこら、誰が加齢臭だよ!」
「誰も、加齢臭なんて言ってませんよ。カレー臭ですよ。」
知っててなのか今宮はにやりとしながら言い返した。
「マヤ座りなさい」
宇治宮があきれながらマヤに着席するようにうながす。
宇治宮、マヤ、今宮の三人が席に落ち着くと宇治宮が話始めた。
「私も社長になって数年がたったよ。私の『道標』はもうすぐ完了すると思う
それにしたがって次の道標を指し示す後継者を育てなければならない」
マヤと今宮は目を合わせた。
「それって、もう決まっているんですか?」
今宮は興味深そうに質問した。
「やっぱりタカセなんですか?」
マヤは結局ネクタイを胸ポケットに入れて宇治宮にきいた。
宇治宮は、やはり微笑みながら
「そうだね~。彼はいいよね。」
あまりいい反応がない宇治宮をみながらマヤも似たような感覚をもった
「宇治宮さんみたいに、ハラグ…。裏方ができる感じに見えませんよ?
タカセはできるんですか?宇治宮さんみたいに…。」
「ん~できないだろうね。」
宇治宮は、笑いながら言った。
「マヤ、そろそろ日本に腰をすえないかい?前回もだいぶ遊び過ぎているみたいじゃないか」
宇治宮がマヤの目をみて提案してきた。
遊んでないですからね。ちゃんとお仕事していただけでしょ。
さすがに遊んでいるを連呼されるとマヤもイライラしてきた。
「それって、菊川さんの見えないところをマヤさんが動かないといけないってことですか?
ちょっと勝手すぎませんか?さんざん使いまわしてこの結果って」
今宮はマヤをかばうように怒りを宇治宮にぶつけた。
タカセが宇治宮を尊敬するように今宮もマヤを尊敬しているのだ。自分の上司だけ辛酸をなめさせられているように感じたのだろう。
「イマ言いすぎだよ。でも、ありがと」
今宮の気持ちが分からないでもない。どうして自分だけこんなに危ない橋を渡ってきているのかわからない。もちろん、それなりの報酬・権限はもらっている。
でも、さっきまでいたタカセとの関係は悪くないとは思う。
どこかで、精神が疲れていたのかもしれない。ここ(日本)だとそこまでしんどい案件が
回ってこないとも思った。
「少し時間をもらってもいいですか?」
宇治宮は、いいよ2日ぐらいで覚悟を決めてね。と言うと
「じゃあ今日はここまで。あんまり時間をかけるとタカセがマヤに焼きもち焼いちゃうからね」
モテる男はつらいよ。と宇治宮はウィンクしながらミーティングルームを出た。
「宇治宮さんのことキラキラした目でみているの菊川さんぐらいですよ!!」
出ていく宇治宮に聞こえる様に今宮は言った。
マヤは言い捨てた今宮をみながら
「イマは、僕に惚れすぎだよ」
と肩を軽くたたいて退室した。
残された今宮は、ミーティングルームの後片付けを終えて電光掲示板の文字をオフにした。
マヤさんはチームにどうやって説得するのかな、まぁ~綺麗に言いくるめられるメンバーを
想像して思わず笑ってしまった。
「今宮さん、宇治宮さんか長尾さん見かけませんでしたか?」
今宮は気分的に今会いたくないランキング一位のタカセに声をかけられて
テンションが少し下がった。
「お疲れ様です。宇治宮さんは部屋に戻られたんじゃないですかね?
マヤさんは、ちょっと分からないです。」
今宮は、仕事中でも名前呼びしてるんだぞと大人げないマウントをとった。
少しスッキリした。
「ありがとう、一度宇治宮さんの部屋を覗いてみるよ」
タカセは、今宮に会釈をするとそれ以上は何も言わずに通り過ぎた。
今宮の少し棘のある態度に何か失礼なことをしたのかなと自分と今宮のこれまでの関わりを思い出したが特に揉めたこともなかったので、気にするのをやめた。
最後までお読みいただきありがとうございました。