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道標  作者: 鈴木澪人
過去編
7/40

昼食の出来事

菊川タカセの上司は宇治宮タスク

菊川タカセと同じチームの長尾マヤ

 数週間後マヤとの連携にも慣れてきて彼のことも少しずつ分かってきた。

マヤは、ダクト社では珍しくプロジェクトに入らず個人のチームを持っていた。そして、アジアエリアを中心に雑務をしていた事を教えてくれた。


「包み料理がおいしい支社以外はどこに行ってたことがあるの?」


マヤとランチをとりながらタカセは興味本位で聞いてみた。


「え~とどこだっけな・・・。」


思い出そうとしたのかマヤの今日のランチ、カレーうどんを無意識にすすってしまった。


ベちゃ


「あ”~ 新しいワイシャツがぁ~。」


ネクタイはかろうじて胸ポケットに入れていたため被害は免れたが、ワイシャツは

最悪だ・・・。タカセも一瞬妻の顔を思い出し、寒気がした。


「昼から外にでなきゃ行けなかったのに。ネクタイで隠せるかな?」


マヤは願いをこめてネクタイを胸ポケットから出して、正面のタカセに

上目づかいでお伺いをたてた。


「イヤ無理だから、ちゃんと見えてるから」


というか、そのままだとネクタイも二次被害に合いそうな気がすることは黙っておこう。

タカセは笑いをこらえていたが、悪戦苦闘するマヤをみていると我慢できず。


「ふっふふ」


タカセの肩が震えてるのをマヤが見つけるとマヤも笑い出した。

二人は周囲がみているのにもかまわず大笑いした。


「久しぶりだわ、こんなに笑ったの」


マヤはカレーうどんのトレイを持ち上げて


「これからワイシャツと話し合うから先に行くわー」


と言って席をたった。


タカセは飲んでいる水の入ったグラスを軽くあげていってらっしゃいと伝えた。

一人になっても思い出してしまい思わず声を出しそうになったが

がんばった。


 なんか、楽しいな・・・。


タカセは、マヤとの心地よい関係に絆され始めていた。

マヤは、トレーを返却口に戻した後ペーパーナプキンでカレーと戦いながら

とりあえず応急処置をしようとフロアのトイレに向かおうとしたとき


「長尾君、ちょっといいかな?」


向かい側から宇治宮の声が聞こえた。


「今は、忙しいでーす。お昼休憩でーす。」


軽い口調で拒否してみたが、宇治宮は壁にもたれ微笑みながら


「違うよ、お仕事の時間だよ」


マヤはオーバーリアクションぎみに肩をあげて溜息をつきながらお仕事配達人の後を追った。

そして宇治宮の部屋のあるフロアに行くためにエレベーターに二人で乗る。


「マヤの日本でのお仕事を楽しみにしているよ」


マヤの斜め後ろに立っている宇治宮の表情は見えないが言いたいことは理解した。

タカセは宇治宮の事を尊敬できる上司だとキラキラした目で語っていた。

イヤイヤそんないいものじゃないだろ・・・。ハラグロ紳士ってやつだな。

前回の仕事もギリギリの所で帰国できたから良かったけど。多分もう入国できないだろうな

辛い料理はおいしかったのに。



「はい」


マヤは小さな溜息と共に返事をした。


 今回は、ここでの活動か…。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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