タカセとシノン。
シノンが家を出て1週間後娘たちに声をかけられて二人で話し合うことになった。言い過ぎたのは分かっているけど、声をかけるきっかけがなくて時間だけが過ぎていく感じだった。
「あんまり詳しい事は分からないけどやっぱりお互いの気持ちを言わないとね」
「お父さん元気?よかったよ~」
娘たちは思うところがあるみたいだが私にもちゃんと声をかけてくれる。やさしい子達に育った。
ある休日、自宅で待っていると玄関のチャイムがなる。多分、シノンだろう。
出迎えに玄関まで向かう。自分の家なのに入りずらそうにしているシノンに少し申し訳なく思う。
「おかえり」
「ただいま」
シノンはケーキを持ってきたので珍しく私がコーヒーを入れる。
出されたコーヒーを一口飲んだシノンは
「タカセは、コーヒーを入れるのも上手なのね」と微笑みながら言った。
「そんなことないよ」と言いつつ自分もコーヒーを飲む。
次にかける言葉が見つからず部屋が静かになる。
「ごめんなさい。」シノンは静かに言った。
「タカセの為にって思ったの。でも、こんな結果になるなんて」
シノンの話を聞くと、あの後伏見と会って色々と話をしたそうだ。伏見もやはりやりすぎというか復讐の意味も込めて今回のクーデター騒ぎだったらしい。シノンにも謝罪をしたそうだ。
「そうか…。」
タカセは言葉を飲み込むように言った。
「私も、シノンに話さないといけない事があるんだ」
と言い、タカセはダクト社の社長を近い未来に手放す事、次の仕事場は決まりそうなんだけどかなり規模が小さい会社になるので今までの生活は厳しい事などを相談した。
それを聞き終わった後シノンは
「そう、分かったわ」と言い冷めたコーヒーを飲みながら。
「タカセのお仕事の事はタカセが決めた方がいいわ。ただ、こうしてタカセに色々説明してもらって思ったの。私達、あまり大切な話はお互いしなこなかったのね」
寂しそうに笑った。
「とりあえず、このマンションは手放さないといけないのかな?」と周囲を見ながらシノンは言った。
確かに都心のこの場所はダクト社での報酬があったからこそ維持できる場所だった。
タカセはしばらく考えて
「最終的にはそうなると思う。ごめん」
シノンは笑いながら
「じゃぁ私も何かお仕事でも始めようかな。子育ても落ち着いてきたしね」と笑いながら言った。
タカセは、改めて姿勢を正し
「また、一緒に過ごしてくれるかな?」とシノンに聞いた
シノンはにっこり微笑みながら
「そうね…。」
「で、なんでこのマンションなんですか???」
今宮は、少しいら立ちながらタカセを見る。
タカセは少し照れ笑いをしながら
「長尾さんに相談したらいい場所があるって言われて…。」
「で、ここを紹介してもらったんですか? 俺と同じですね!」
シノンが出した答えは、しばらく別々に暮らすことだった。
タカセが次の会社で落ち着いたらまた家族全員で新しい場所で暮らそうという話になった。
タカセも今のマンションは一人だと広すぎて管理できないので了承した。
シノンの実家は名士らしくて、娘二人の部屋は余裕で確保できるらしい。
シノンのご両親にもご挨拶をしに行ったタカセは、人生は長いんだから寄り道もあるよと優しい言葉をかけられた。
ただ、今宮さんと同じマンションを紹介してもらうとは思わな方タカセは、やっぱり今宮に冷たい態度をされる理由が分からないので少し困っていた。でも、引っ越しは手伝ってくれた。
「わーお父さん!この人だれ?」と下の娘が言ってきた。
「こんにちは、お父さんと同じ会社の今宮です」今宮は、娘には丁寧な対応をしてくれる。
「すみません、父がいつもお世話になっております。」長女が丁寧に今宮に挨拶をする。
「いえいえ、こちらもお世話になっていますので」と答える今宮
娘とは普通に会えるがシノンとはあれからマンションを引き払う時以来連絡をしていない。
娘たちが帰ると今宮も部屋を出ようとする。
「今宮さん、今日はありがとう」
「いいえ、長尾さんにも頼まれましたし」
「これからもよろしくね」タカセが言うと
「あんまり、よろしくしませんからね!」と今宮は言ってドアを閉めた。
それを見たタカセは苦笑いをしながら今宮を見送った。
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