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道標  作者: 鈴木澪人
再び現在編

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35/40

夫婦の会話 後編

ダクト日本支社 社 長 菊川タカセ

ダクト日本支社 副社長 伏見レイコ

            菊川タカセの妻は菊川シノン

            伏見レイコと菊川シノンは元上司と部下 遠縁関係

「レイコおばさんに、相談したんだ。」シノンは嬉しそうに説明する。


「そしたら、レイコおばさんが私が辛い思いをするんだったらなんとかしてくれるって!」


タカセは震える声を隠すように

「伏見さんがなんとかしてくれると言ったんだね?」


「そうよ!だからタカセはちゃんと社長になれたでしょ?」

シノンは嬉しそうにコーヒーを飲んだ。


「タカセを困らせていた人たちは会社からいなくなったでしょ?」

無邪気にシノンは語りかける。


「もちろん、レイコおばさんだけじゃなくて、私もちゃんとお手伝いしたのよ!」

シノンはタカセが伏見頼みにしていたのか疑問に思ったら困ると考え


「私はね、レイコおばさんが『タカセにいじわるしているけど気づいていないチームの何人かと連絡を取れないようにスマホを取り替えてほしいの』って言われたからちゃんと新しいスマホと取り替えたのよ」


すごいでしょ!と嬉しそうにタカセに報告した。


「あの時、連絡先が無くなっていたのは…」タカセは上を向いて目を閉じる


「私もがんばったのよ!少しドキドキした体験だったわ」シノンは思い出しながら感想を述べる。


タカセは、シノンを見ると。

「シノン、君がしたことでもしかすると仕事を失う人が出ていたかもしれないんだよ」

と伝える。


「えっ?」

シノンが欲しい言葉が返ってこないので戸惑っている。


タカセは続ける

「伏見さんはダクト社ではかなり権限を持っているんだ。シノンは私の為に動いてくれていたのかもしれないが、そのせいで誰かが職を失うかもって考えなかったのかい?」


シノンはタカセを見つめたまま

「実際上司は更迭、信頼していた何人かは解雇になり私のチームは無くなったよ。」


「社長は一人では切り盛りできない。信頼できる人が周囲にいて始めて稼働できるんだよ」


シノンに言い聞かせるように

「シノンが伏見さんに付いていた時は、伏見さんは一人でお仕事をしていたかい?」


シノンは思い出すように

「いいえ、確か桜井さんという人がパートナーとして仲良く働いていたと思う…。」


タカセは思った、アトラスの桜井さんか…。

「シノンは、私の為に動いてくれたのかも知れないが」


「私は、シノンにそばにいてもらえるだけで十分だったんだよ。

 少なくとも会社の実権を握っている人に夫婦の会話を話してはいけなかったね」


シノンは涙目になりながら

「でも、タカセは大変だったじゃない。そんな、いじわるしている人なんか…。」


「私達の愚痴を誰かに話すなんて思わなかったよ。」

タカセは自分が思った以上に冷たい口調で本音を話した。


「タカセの為だと思ったのに。タカセに誉めてもらえると思ったのに」

シノンはオロオロしながらつぶやく。その姿に少しタカセはイラつく


「そうゆう事は!必要なかったんだよ。私は、自分で判断して行動する。」


「上司には必要以上引き継ぎもされず、信頼していたチームは解散、今は他派閥の伏見さんに肩を借りながらかろうじてダクト社を稼働させているだよ!」


シノンに言っても仕方がないと思っているのに吐き出さずにはいられなかった。


シノンは、タカセの言葉にショックを受け最低限の持ち物を手にしリビングから出て行った。


「ごめんなさい。」

玄関のドアを閉めるときに言ったが、タカセには届かなかった。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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