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道標  作者: 鈴木澪人
再び現在編

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32/40

伏見と桜井 前編

ダクト日本支社 副社長 伏見レイコ

株式会社アトラス 社長 桜井サナ


菊川タカセの妻は菊川シノン(旧姓 久世)

タカセがいなくなり再び二人の間に沈黙が流れる。


 桜井は久世シノンの事を少し思い出していた。彼女は確か英語が苦手な伏見のサポートする為に呼ばれた帰国子女だったはず。おっとりした見た目に騙されるがなかなか賢い子だった。

当時は伏見と良好なパートナーの桜井も印象が悪いわけではなかった。


「あの子が菊川社長の奥さんだなんて…。」桜井は思わずつぶやく


そんな桜井を見ながら小さく溜息をつくと

「そして、私の遠縁の子だったのよ」と言った。


「珍しいわね、あなたが親戚を起用するなんて」伏見の事はまがりなりも知っている桜井の感想だった。


「親戚といっても紹介されて始めて認識できるほど遠いのよ。ただ、もし自分にパートナーがいて子供が生まれていればこんな感じの娘ができていたのかもと思うと少し対応に歪みが出てしまったのかもしれないわね」


 いつも凛とした雰囲気をまとっている彼女は珍しく弱音を吐いた。そんな彼女は少し小さく見える。


「それにしても、久世シノンの要望だとしてもこんな些細な事で会社を混乱に陥れるあなたじゃないでしょう」


「そうね、あなたが見てきた『私は』そう映るでしょうね」どこか投げやりな伏見だった。


「だったらどうして…。」人の人生を変えてしまうような事を起こすの…。最後まで桜井は言わなかったが。


「私の道標…。私たちの道標が潰えてしまったこんな会社に居る意味なんてあると思う?」

伏見が逆に桜井に質問してきた。


その言葉に桜井は怒りを覚える

「その道標を潰したのはあなたじゃないの!」

あれだけ二人で希望と期待を籠めて作り上げてきたのに、潰した上に私を排除して…。


「あの時…。私もダクト社のトップになる為に宇治宮を潰す勢いで勢力争いをしていたわ。私達が優位だったのも知っているよね?もうすこしでその地位が手に入ると思ったときに、直接本社から接触があったのよ」


 桜井が知らない話が始まるようだった。

「本社のCEOは私に問いかけてきたわ。一緒に秘密を共有する覚悟はあるかって。もちろん私はあると答えたわ。それが宇治宮への完全勝利ですもの。でも、それを共有するために犠牲を私は追うことができなかったのよ」


 伏見は苦笑いをしながら桜井を見た。


「何だったのよ?その犠牲って」

「私達の道標は本当に素晴らしかったのよ。世界の誰かがもしかすると助かるかもしれないそんな導きを掲げていたもの。でもね、それじゃあビジネスとしてこの世界では通用しないんだって」


伏見は、冷酷に笑う前CEOの表情を思い出す。

「君にも一人ぐらい使いつぶせる駒があるだろう…。例えば『サナ サクライ』とかね」

って言われちゃったのよ。

桜井は驚いた。多分、その当時伏見に私達の道標の為にどうか裏で動いてほしいって言われたらリスクもデメリットも考えずに頷いていたと思った。


「そんなの、できるわけないじゃない…。私だけ綺麗な道を歩いてあなたに足の踏み場のない道を裏でずっと彷徨いながら歩かせるなんて私には無理だった。そんな心の弱い私にはアジアエリアを牽引する力は無かったのよ」


「だから」


伏見は微笑みながら

「だから、宇治宮と話し合いをしたのよ。私が退くからあなたがトップになってくれないって?」

最後までお読みいただきありがとうございました。

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