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道標  作者: 鈴木澪人
再び現在編

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29/40

桜井の暴走 前編

ダクト日本支社  社 長 菊川タカセ

ダクト日本支社  副社長 伏見レイコ

株式会社アトラス 社 長 桜井サナ

         契約社員 海瀬シュンヤ 九条ツクモ 池田ゴウキ

株式会社エヌマヤ 社 長 長尾マヤ



会社のシステムはフィクションです。

 桜井は久しぶりにダクト社に足を踏み入れた。自分がいた頃の面影はなくいつもその時代の洗練された内装に整えられている。

ふと、腕時計を見ると約束の時間の10分前だった。

桜井は、受付前の端末に面会予定の人物とその人が発行した受付番号を入力する。


『  フシミ レイコ  DH2023Oct17 F32 』


面談日時の確認と、場所が表示される。OKのボタンを押すと

名刺サイズの用紙に印刷された。

その用紙をゲストネームプレートに入れて首にかける。

ダクト社入場ゲートにそのネームプレートを翳す(かざす)と無音で電車のホームに設置されていそうなゲートが開いた。


 桜井は面接場所を確認する。その場所は多分、伏見の部屋だ。

エレベーターに乗り役員フロアに着くと、伏見の秘書らしき人が待機していた。

お互い軽く挨拶をすると。秘書は何も言わず伏見の部屋へと案内しノックをした。


「アトラス社の桜井様がいらっしゃいました」


中から伏見がどうぞという声が聞こえる。

秘書は桜井のみ入室させ自分はそのままドアを閉めどこかへ行ったみたいだ。


何年振りかの伏見は年相応だった。もちろん自分も同じだけ年を重ねている。

一人で使用するには広すぎる部屋にポツンと佇む伏見のアンバランスさに桜井は表現しきれない感情に襲われる。


「お久しぶりね。桜井さん」 伏見は微笑みながら桜井に話しかける。


「そうですね。何年振りでしょう」桜井も言葉を返す。

そして、伏見にソファーに座る様に言われた。

伏見も対面に座り一呼吸おいてから桜井を見ながら


「今日のご用件はなんでしょうか?」と桜井に聞いた。


桜井も笑顔で

「先に、新体制発足おめでとうございます。次の道標も素敵ですね」

思ってもいない社交辞令を言った。


「わざわざ、ありがとうございます。」


感情を見せない伏見に苛立ちを感じる桜井。


「昔からそう…。」桜井が苛立ちを伏見に向けようとしていた時


コンコンコン、ノック音が聞こえる。


伏見は、一度桜井の言葉を無視して入室許可をだす。


ノックの主は伏見と知らない女性を見て一瞬ギョっとなる。


「すみません、商談中でしたか?」


声の主は焦りながら聞く。


「大丈夫よ。あなたにも同席してもらおうと思ってこの時間に来てもらったの」


伏見は、わざと二人が出会うように時間を合わせたようだった。


「菊川社長も入ってください。」


タカセは、伏見の隣に座り次の桜井を見て自己紹介をしようとすると


「大丈夫です。桜井さんが先にしてくれますよ」とタカセが先に言い出すことを止めた。


桜井はむっとしたがすぐに笑顔に戻り


「挨拶が遅れました。私は株式会社アトラスの代表をさせていただいてます。桜井サナと申します」


と言いながらタカセに名刺を渡した。

タカセも

「私は、ダクト日本支社の代表をしている菊川タカセです。名刺はちょっと今手元には…。すみません」


タカセは基本的に社内か会合などがあっても清水が色々と対応しているので普段は持ち合わせていなかった。


「菊川社長大丈夫ですよ。今回の要件では名刺は桜井さんは多分必要ないと思いますので」

伏見は桜井がここに来た理由を察しているような口調でタカセに話しかけた。


「そうなのでしょうか?」

タカセは少し混乱しながら、伏見を見ていた。


 桜井は、二人のやり取りを見た後覚悟を決めたように

「伏見さん、菊川さんをこの場に留めて本当にいいんですね?」

念を押すように聞いた。


伏見は「いずれ知ることになると思うので大丈夫ですよ」と答えた。


その言葉を聞いて桜井は、鞄からICレコーダーを取り出した。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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