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2_43 悪役令嬢達 カチコミ予定

ゴンゴン!

「ん?」

昼食後、カルネイルが書類を片付けていると、ノックにしてはいささかパワー過剰な音がした。

「入れ。」

「はっ! 失礼いたします! ヴィルヘルミーナ様が参られております!」

紫のの部下だったか。完全な挙動不審の状態である。

「待て待て。一体なんだ!?」

「港は全壊。港町は半壊いたしましたが、人的以外は軽微。多数のスカイドラゴンとクラーケンの大半をヴィルヘルミーナ様達が吹き飛ばしていただき、残党は騎士団とギルドの面々で制圧、恐らく根源がエプラスとのことで、ゲーキ経由で圧をかけに行くためアステアラカに寄られたとのことです!」

「情報が多い! 取りあえずヴィルヘルミーナ様はどこだ?」

「食事がまだとのことで、昼食を取られております。」

「向かうぞ! ルーとレンは?」

もはや弟の呼び方がプライベートになっているが気にしてない。

「それぞれご自身の残務処理に入っております。」

「呼び出せ。」

「はっ!」


早歩きで食堂に飛び込むと、優雅に食事をする絶世の美女と、少年と、瀕死の女が一人いた。

「誰だ?」

「ゲーキのミタリナ様です。ユーズゥ様の先輩にあたります。」

「ああ、例の。若いが魔獣か。見た目で判断できんな‥‥。」

「お久しぶりでございます。カルネイル様はご壮健の様子。」

ヴィルヘルミーナ様は食事を中断して綺麗な礼をされる。

「いや、気にされずとも良い。まずは食事を。私にも軽食を。」

「はっ!」

「ご用事は問題ありませんか?」

「なに、用事等無限にあるからな。何かしら理由をつけねば無限に働かされる。」

ささっとでてきたクラッカーをかじりながら苦笑する。

「港では世話になったようだな。国を代表して感謝する。」

「接岸に邪魔でしたので掃除致しました。手助けになったのであれば幸いで御座います。」

「ヴィルヘルミーナ様、正直とても助かった。あのままだと港どころかアステアラカが半壊していただろう。しかしあのような量のスカイドラゴンとクラーケンがどこにいたのか。」

「恐らくゲーキでしょう。ゲーキでは知性のない魔獣と家畜の境目がほぼありませんから。」

復活したてで青い顔をしながらミタリナがつぶやく。

紫のも頷く。

「しかし皆さまこれだけ早くどうやって?」

「ミタリナ様に全力を出していただきました。」

「頑張りましたぁ‥‥。」

ミタリナは元のデミフェンリルになり、ヴィルヘルミーナ様とレンツを乗せ、身体強化を第三者からかけられながら猛ダッシュするという拷‥‥いや、最短最速の移動をしていたとのこと。

「どうりでそれだけ疲弊しているわけか。ミタリナ嬢に肉を追加であげてくれ。」

「はっ! カルネイル様いい人ですね!!」

ミタリナの後ろに見えないがぶんぶんふるえるしっぽが見えるようである。

魔獣というのも思ったより意思疎通が容易だなと思ったカルネイル。

「ただ、このまま放置しておいても原因の解決にはなりませんので、今回此方に参りました。」

「ゲーキに向かわれる予定なのですか?」

「ゲーキで方がつくのであればそうですし、そうでないのであれば‥‥ですわね。」

「紫の。ゲーキに行くことは可能なのか?」

「そ‥‥それがですねぇ‥‥。」

紫のは盛大に挙動不審になる。

「魔道連絡網が破壊されてパスポートが認識しなくなりまして‥‥。行くことはできると思うのですが、魔道障壁を突破できるかが分からないのです。」

「ふむ、まあ、やってみないと分かりませんわね。」

ヴィルヘルミーナはにこりと笑う。

「え?」

「修理を待っている時間はおそらくないでしょう。というかそれは敵の思うつぼでございましょう。であれば逆の手を打つしかございません。そこまでが敵の策の可能性はございますが、無駄に待つよりは攻め入る方が性に合っております。」

「あ‥‥あのぉ! ゲーキを滅ぼす‥‥つもりなのですか!?!?」

紫のは震えながら尋ねる。

「現状其の予定はございませんが、ナーラックに敵対している場合はやむを得ない可能性がございますわね。」

「やむを‥‥。」

やむを得ないの一言で国を亡ぼすつもりと言われたゲーキの面々は絶句。

「まあ、レム様の動きやみなさまの感じを見る限りそうそう悪い話にはならないとは思いますが。いずれにしても此方では恐らく情報がないままでございましょう。」

「まあ、どっちにしろほかの手段が無いでしょう。スカイドラゴンとクラーケンの定期便に怯えながら生きていくのは不可能でしょうし。」

レンツの発言にカルネイルは頷く。

「アステアラカのバックアップとは口が裂けても言えないのが口惜しいが、表立って以外であればなんでも用立てる。」

アステアラカバックアップでゲーキにカチコミした場合は純粋な侵略戦争になる。

ヴィルヘルミーナ単独で突っ込んだ場合は、よくわからないヤバい人のテロなのか神罰かで収まるだろうという算段である。

「レンツ、お前はそれでいいのか?」

カルネイルは真剣な目でレンツを見る。

ゲーキ相手だとレンツの命が危ないのは火を見るよりも明らかである。

「まあ、乗り掛かった舟だし。観光もしてみたいし。」

軽く笑って首をすくめるレンツ。

言葉のまま受け取るほど馬鹿ではないが、言いたいことは理解した。

「承知した。紫の。定期の風龍は何時で出せる?」

「ええ!? 本気でs‥‥なんですね!? 1時間もあれば。」

「ではヴィルヘルミーナ様。食事と金子を用意するので準備のほうお願いする。

「承知いたしました。いかほどで到着予定ですか?」

「風によりますが10時間程度です。」

「思ったより早いですわね。ミタリナ様は此方に残られますか?」

「そうですね。シーリカ様と連絡も必要ですし、きな臭い感じもしますので。現状ここに私以上の手練れは居なさそうです。」

ミタリナは鼻をスンスンさせて周りを見る。

「たしかにミタリナ様の索敵能力は素晴らしかったです。カルネイル様。ミタリナ様をおそばにおくと良いと思いますわ。」

「そうしていただければ安心できる。」

カルネイルはほっとため息をつく。

正直首都を狙わない理由はない。

「数キロ位でしたら見つけれますのでご安心を。」

にこりと笑うミタリナ。

「助かる。今もう沿岸に大聖女や遠距離が得意な魔導士を終結させている。アステアラカは当分大丈夫だ。ナーラックは内陸だし、謎の手練れも多い。此方は任せてくれ。彼方を頼んだ。」

「承知いたしました。」


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