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2_40 悪役令嬢一味上陸

「よし! こいつで最後か! 食らえ!」

元副団長 現団長の飛ぶ斬撃によって、逃げようとしていたクラーケンは真っ二つになる。

「「うおおお!!」」

燃え上がる港町に勝鬨の声がこだまする。

「よし、魔力に余裕がある者は消火活動だ。肉体強化が得意なものは音を拾え、要救護者を念のため探すぞ。」

ふぅ、とため息をついた瞬間、はっとする。

「‥‥、いや、新副団長から停戦の合図はない。お前らもう一度全体を注視!」

新団長は壁に駆け上がり周りを見回す。

「‥‥!」

強化した視力で見回すと、北の空が引き返してきたスカイドラゴンで埋め尽くされているのが見えた。

「北から魔獣が接近! くっそ、前哨戦だったか‥‥。お前ら、もうひと踏ん張りだ!」

「「うおおお!!」」

もうひと踏ん張りとは自らを鼓舞するが、正直満身創痍だ。

「団長‥‥、約束は守れないかもしれません。」

新団長は剣を構えて対峙する。

「団長! 南からもモンスターが!」

「挟撃か‥‥! 南の国は何をして‥‥いや、ただ一匹だ! メガタート‥‥ん??」

見たことないレベルのサイズのメガタートルの背中から空に魔力の花火が打ちあがる。

アステアラカでよく使われる停戦の信号だ。

「ああん??」

もう一度全力を込めてメガタートルを見ると、その背中に何人かの人が乗っているのが見える。

「停戦の花火、お前らにも見えたか?」

「はっ‥‥! 理解しかねますが!」

「よし、どっちにしろ割けん! 南の亀は味方と仮定! 短距離戦闘組は海岸で待機、遠距離組は高台でスカイドラゴンにぶちかましてやれ! 一人は向こうに合図をしろ! どうせ視力強化もできるだろ。」

「「了解!」」


「うーん、うーん、敵の気配が‥‥。」

ミタリナ様はうなされております。

「北のあれかな?」

レンツ様は空を睨んでいらっしゃいます。

「性懲りもなくスカイドラゴンだけど、なんでスカイドラゴンなんだろう?」

「‥‥ひょっとしたらテイマーが居るのかもしれません。同じ種属同士だと大量に操ることは別種と比較しますとかなり難易度は下がります。とはいえあの量の魔獣を操るとなると尋常ではない能力ではありますが‥‥。」

デルクマールと呼ばれていたダゴンの船長は思案しながらそうつぶやかれております。

「ヴィルさんにばっかり頼るわけにはいかないし、ちょっと試したい技やってみるね。」

レンツ様はニューデットちゃんの背中の一番高いところで剣を構えられます。

「‥‥よし。」

レンツ様の体に亜魔人の紋様が浮かび上がり、爆発的な魔力が剣にまとわりつくのが見えます。

「おお! なんという魔力!!」

デルクマール様はわなわなされております。

目を覚ましそうだったミタリナ様は再度泡を吹いて倒れられております。

「スラッシュ!」

レンツ様の剣から飛び出した斬撃は、遥か彼方の雲霞サイズのスカイドラゴン達まで届き、1~2割を真っ二つにされました。

「はぁー、きっついぃ‥‥。」

其の儘ぱったり倒られました。

「大丈夫でございますか?」

「魔力もうスッカラカンだよ。やっぱりヴィルさんは遠いなぁ‥‥。」

「精進あるのみでございますわね。では残りは港に来る前に始末してしまいましょう。」

かなりの数ですので久々に魔力を練りましょう。

「さて、いかほどの力になるでしょうか。」

ギィィィイと金属がこすれるような音が致します。

懐かしい、圧縮した魔力が変質するときの音でございます。

「聞いたことない音してるんだけど。あとダゴンの人たちがみんな五体投地してる。」

デルクマール様含め船員の皆様は床に頭をこすりつけるようにして震えていらっしゃいます。

「まあ、あまり脅かすのもあれですので早めにケリをつけましょう。四の名を持つ重き者、その力顕現せよ、ヴィルヘルミーナの名において、虫けらをすり潰せ。グラヴィオン。」

其の儘ぐっと手を握りますと、対応した空間が圧縮されます。

雲のようにひろがっていたスカイドラゴンの群れは、1か所に圧縮され、そのまま小さな水しぶきを立てて海の底に沈んでいきました。

それと同時にその海域に濃霧が発生したかと思うと、竜巻となって空へ消えていきます。

「めちゃくちゃ吸い込まれてない?」

「まあ、圧縮いたしましたからやむなしというところでございましょうか。時を置かず収まりますのでご安心を。」

「初めて呪文唱えてるの見たけどえげつないね。」

「ゴミ掃除には便利な呪文なのですが。」

「まあ、ある意味とてもきれいに掃除できているけれど‥‥。あ、なんか雨降ってきた。」

「圧縮された水蒸気の影響でございましょうか? 火の手も上がっておられるので丁度良いですわね。」

「そういうもんかなぁ。」

『あむ』

ニューデットちゃんは我関せずという形で港へ全力前進されております。


接岸いたしますと、そこにはアステアラカの騎士団勢ぞろいでございました。

「私は緊急で団長となったテルジオン・インフラージュだ! 此方は敵意はない! そちらも敵意がないものとして判断してよいか!?」

真っ青な顔をされている自称騎士団長様とその後ろで困惑している騎士団の方々数名に出迎えられております。

その合間奥の方では消火活動等が進んでいるようでございます。

ただ雨のおかげで消火自体はあっという間に終わりそうな形でございます。

避難漏れの生命反応もなさそうですので、とりあえずはひと段落というところでございましょうか。

「わ‥‥私はアステアラカ王子カルネイル様より全権を委任されているミタリナです! 此方がその書状となっております。ご確認を!」

ミタリナ様は騎士団長に書類を渡されます。

「正式な書類に見えるな。よし、幾つか質問をしたら上陸の許可を出す! 現場は混乱しているので失礼を承知の上だが理解していただきたい!」

「勿論でございます。」

「敵意はないか!?」

「御座いません。」

「上陸してよし!」

騎士団長の発言にレンツ様がずっこけます。

「え!? こっちが言うのもあれだけどあっさりすぎない!?」

「敵意がない、王子の書類っぽいものもある、現場は大混乱、雨も降ってる、そちらのお嬢さんはかなり上位貴族の気配がする、あと多分スカイドラゴンを倒す手練れに対処する余力はもうない。以上をもって忖度した!」

「忖度って言い切ってる‥‥。」

「ありがたい話でございます。では皆さま荷揚げと、医療物資の余剰があれば配布を、その前に癒しをかけておきましょうか。」

スカイドラゴンの時に練ったはいいものの余っていた魔力がございますので癒しに変換して港全域に振りまいておきます。

「おおお!! なんと神々し‥‥くはないが、心にしみ‥‥もしないが、心地よい、が、座りも悪い‥‥いや、なんにせよ怪我が治ったぞ! お前ら!」

「「うおおお! 大聖女様!!」」

騎士団は大盛り上がりでございます。

「では事情のすり合わせと参りましょう。あまりこちらも時間は取れませんが、お互い新しい情報がある方がよろしいでしょう。」

「承知した! ええと。」

「ヴィルヘルミーナでございます。ヴィルとお呼びください。」

「ヴィル様ですな。大聖女ヴィル様を司令部へ!」

「「承知しました!」」


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