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2_38 悪役令嬢達とニューデットちゃん

「なるほど、メガタートルに乗ってアステアラカへ向かわれたのですね。」

お久しぶりです。ヴィルでございます。この挨拶もまた久しぶりな気が致します。

現在ライネイ様のご招待で、夕食を共に食べながら情報のすり合わせをしている最中でございます。

レム様とウロウ様も共に夕食を取っておりますが、端っこで小さくなっておられます。

「海の中とは存外気持ち良いものなのですね。私存じ上げておりませんでした。」

「ナーラックは内陸でしたかな?」

「さようですね。例の祠がある以外はいたって普通の農村といった感じでございます。とても長閑ですので、静養にはよろしいですわね。」

「ふむ、私も仕事が片付いたら一度行ってみましょうかな。」

ライネイ様の発言に目が飛び出るほどリアクションされるゲーキのお二方。

「その時はぜひ歓待させてくださいませ。」

「楽しみにしております。ところでメガタートルに乗ってアステアラカに向かわれたとのことですが、港が壊滅していると先ほど聞いたのですが、あれは一体?」

「それはですね‥‥。」


そして話はまたアステアラカ到着前に戻ります。


「うわあー、すごい、ガラスこれ? わあー、魚が‥‥はるか遠くに‥‥。」

レンツ様はテンションが上がったり下がったりされております。

「流石にこれほどの魔獣がいると魚は近寄って来ないですね。」

ミタリナ様は何度か乗られているとのことで慣れたもののようでございます。

「魔獣の上とは思えない静かさでございますね。」

「馬車などと違ってあまり揺れませんからね。このまま1~2日程度で到着する予定です。」

ミタリナ様はホットココアを渡してくださいます。

「酸素作成の魔石で常に空気は保たれていますのでご安心を。一定基準を切るとアラートが鳴るようになっておりますし、サブも御座います。」

壁のほうにある機器を指さして教えてくださいます。

「やはり人類圏より技術は進歩しているのでしょうか?」

「いや、どうでしょう。アステアラカの研究所で作ったものもありますが、ただ市井に下ろすほど価格は安くはないですね。技術はあるのですが、あまり革新が進むとパワーバランスを取るのがまた面倒とのことであまり進んではいないようです。」

ミタリナ様は裏事情を話してくださいます。

「住居のレベルはそこまで低くなく、上下水道もきちんとしている割には大規模インフラ自体が明らかに時代のレベルが異なっていたのはそういうことなのですね。」

ふむふむと納得いたします。

「技術の抑制もありますが、恐らくあのクリスタルではないですか?」

「と申しますと?」

「恐らく大規模なエネルギーを要する物は先の大戦で失われたのでは。そのため大規模な輸送や通信等インフラが亡びましたが、こまごましたあまりエネルギーを使わないものは生き残っているという説はいかがでしょう?」

「ありえないことは無さそうな話ですわね。あとは技術抑制がそれに入って現状のようなやや歪な状況が生まれているということですか。」

「恐らくは。とはいえ私が生まれる前の話ですので何ともですが。」

ミタリナ様は思案されております。

「ただあの祠だけとは考えにくいですわね。各地に似たようなものがあったと考えてしかるべきだと思われます。戦争の折になくなってしまったのでしょうか。」

「かなり双方痛手があったと聞いております。その可能性はありますね。」

「まあ、ゲーキのほうで恐らく古い文章とかもあるでしょう。可能でしたら見せてもらえないか聞いてみましょうか。」

「それが良いですね。」

ちなみにレンツ様はずっと窓の外をキラキラした目で見ていらっしゃいました。


その翌日

「ヴィルヘルミーナ様。あと半日で到着予定なのではありますが‥‥。」

ミタリナ様は薄い目で天井を睨んでいらっしゃいます。

「何か変な気配でも?」

生き物の気配は致しますが、私は正直あまり悪意とか敵意を感知する能力は高く御座いません。どちらでもさほど関係のないような生活を送っていた弊害でございます。

「敵襲です! 緊急浮上! 戦闘態勢!」

『あむ』

ニューデットちゃんの返事とともに急浮上いたします。


「これは‥‥。」

レンツ様は引きつっていらっしゃいます。

「クラーケンとスカイドラゴンでございましょうか。何故アステアラカの港を破壊していらっしゃるのでしょうか?」

遠くに見える港では襲い掛かる魔獣に対抗する冒険者ギルドや傭兵などの魔法やらなんやらで爆音が鳴り響いております。

そのうち何匹かが此方をロックオンしてやってまいりました。

『グルォオオオ!』

スカイドラゴンが炎を吐きかけてこられます。

「ヴィルさん!」

「防げ。」

炎を不可視のシールドで弾き返します。

「おお! なんと凄い防御魔法!」

「ミタリナ様は、此方の魔獣の方々のお知合いですか?」

「全くお知りません!!」

動揺のためか微妙に奇妙な言葉を話すミタリナ様

『グルオオ!』

『あむ』『グオオオ‥‥!?』

こっそり近寄ってきてたクラーケンを静かに嚙み殺すニューデットちゃん。

流石Sに近いAランク魔獣でございます。恐らくニューデットちゃんはその中でも輸送が可能なほど巨大な個体でございますのでSランクはあるのではないでしょうか。

もにゅもにゅと咀嚼するニューデットちゃんに恐れをなしてクラーケンは近寄れない様子。

『あむ』

ニューデットちゃんの口から人1人くらいの太さの水鉄砲が飛び出て、スカイドラゴンを2~3体まとめて叩き落しております。

「ニューデットちゃん無茶苦茶強くない?」

レンツ様は引きつっております。

「そりゃもうメガタートルの中でも最強に近いのがニューデットちゃんですからね。海域だとほぼ最強ですよ。とはいえのっそりしてますし、あまり多数相手は得意ではないので増えてきたら私たちの出番です。」

ダゴンの皆様もニューデットちゃんほどでは御座いませんが、水魔法でスカイドラゴンを叩き落しておられます。炎は私が防いでおりますので一方的でございます。

「うーん、スカイドラゴンてもう少し脅威度は本当は高いんですけどねぇ。ってのんびりしている場合じゃないです! アステアラカが大変です!」

ミタリナ様ははっと気づかれております。

「やむをえませんがこのまま接岸いたしましょう! 海中より速度が速いです!」

「現地の人に誤爆されないのを祈るしかないかなぁ。」

「とりあえずシールドは張ったままにしておきますね。」


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